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先行きを読み間違える経済専門家の未来予測

それにしても酷い。まったく頼りにならない。といっても政治家のことではない。経済学者、経済評論家、アナリスト、ストラタジストなどの経済専門家の未来予測のことだ。ものの見事に外している。

例えば、2007年、多くの専門家が2008年はすこぶる良い年になるだろうと予測した。とんでもない。リーマンショックで世界は金融危機に見舞われた。同じ年、原油価格は1バレル140ドルに急騰した。専門家は早い時期に200ドルに到達するだろうと言っていた。ところがそのわずか数カ月後原油価格は1バレル30ドルまで急落した。アジア通貨危機に際して、ノーベル経済学賞授賞の経済学者ポール・クルーグマンはアジア各国が通貨管理をしないと世界的な恐慌が起きると予測した。だが、通貨管理しなくても2年でアジアの景気は回復した。

さらに歴史を遡れば、1929年の世界大恐慌の引き金となったニューヨーク株式市場暴落の時にあの著名な経済学者ジョン・メイナード・ケインズは「ロンドンには影響ないだろう。明るい未来が待っている」と見事に経済の先行きを読み間違えている。

なにも失敗談ばかりを取り上げて経済専門家の上げ足を取ろうとしているのではない。科学的に検証しても、明らかに経済専門家の予測は当たらない。いやそれどころではない。カナダ人ジャーナリスト、ダン・ガードナーの著作"FUTURE BABBLE"によれば彼らの予測はしばしばサル以下だという。という訳で日本語訳のタイトルはズバリ『専門家の予測はサルにも劣る』。

とりわけ酷いのはテレビに頻繁に出演しているような有名経済学者や経済評論家だ、とカリフォルニア大学バークレー校組織行動学者教授だったフィリップ・テトロック博士は指摘している。なぜなら専門家は一般的に思われているほど予測能力が高くないのに自己の見解に自信過剰で、データの十分な検討を怠っているからだ。確かに一般投資家は彼らの御宣託に騙され続けてきた。それでも私たちは彼らの言葉に耳を傾ける。なぜなら不確実な世界でありもしない確実なものを求め続けているからだ。しかし現実には未来は過去や現在の延長線上にはない。

ガードナーは経済の先行きを占ううえで次の3つのことが大切だと結論づけている。1.いつも未来は不透明であるということを自覚しておくこと。2.ものごとを謙虚に判断すること。3.正確な予測をしようとするのではなく、可能性に対するおおまかな感覚を持つこと。これであなたにも2014年の世界経済の先行きが見えてくるはずだ。グッドラック!

蟹瀬 誠一(かにせ せいいち)プロフィール
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ジャーナリスト・キャスター、明治大学国際日本学教授

(株)アバージェンス取締役、(株)ケイ・アソシエイツ取締役副社長

掲載日:2014年2月11日

 
    

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