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マイルド・インフレにはなぜ株式投資が有効か

アベノミクス効果かどうかは別として、世の中、少しずつデフレ・マインドからの脱却が進んでいます。長期的な視点で見れば人類は常に生産できる以上のものを欲しがるので物価は上昇しているのが普通です。

デフレ時代は現金を引出に入れておけば物価が下がってくれたのでお金の価値は上がっていました。しかし、これからはせめて物価が上昇するぐらいにはお金を増やしていかないと価値が減ってしまうことになります。つまり、購買力を維持することが必要なのです。

人生を通じての資産運用の収益目標は「購買力の維持+アルファ」です。まず、購買力を維持するためには二つの方法があります。一つは今後、人生で必要とされるあらゆる物資をいま、すべて購入しそれを倉庫に保管しておくことです。しかし、これは不可能であることは明白です。第二の方法は今後、人生で必要とされる財やサービスを提供してくれる生産設備を保有することです。

株式を保有するということは企業のオーナーとなることです。これは企業の生産設備を保有することに他なりません。ですから、我々の生活を支えてくれる世界中の産業・企業の株式を保有しておけば、我々の生活に必要とされる財やサービスが値上りしてもその分、保有している企業の価値が増加することになります。

株価は影です。企業の実態価値を中心として、短期的には上にも下にも大きく変動をします。しかし、長期的に見れば企業の価値の増加に沿って株価も上昇しているのです。幅広い企業群を保有していればその傾向は顕著です。人生を通じての資産運用は当然、長期ですから、世界中の主要な企業をすべて保有すれば長期的には物価上昇に対する備えにはなります。

さて、最初に人生を通じての資産運用の目的は「購買力の維持+アルファ」であると述べました。以下、「+アルファ」部分について考えてみましょう。企業の売上面での成長には価格効果と数量成長があります。価格効果についてはすでに述べた通りです。一個100円で100万個売れていたものが、物価上昇で一個110円で売れるようになれば売上も1割増加します。売り上げ増による利益は最終的には株主が享受します。

同時にもし、需要が増加して110万個売れたらどうでしょう。値段が100円のままでも1割の増収、もし、それに110円への値上げが加われば21%の売り上げ増となります。世界の人口はいま約70億人ですが、今後、それが100億人に近づくと言われています。今後、発展途上国の生活水準が向上し、情報化やグローバル化により世界のインフラ投資も拡大するでしょう。また、エネルギーや環境、ライフサイエンスなどの技術革新も進むでしょう。そう考えると世界中の企業をすべてひとまとめにしてみると、かなりの数量成長も見込めそうです。

マイルド・インフレ時代にはなぜ、株式投資が有効かと言えば、まず、長期的には購買力の維持に役立つのみでなく、同時に世界経済全体の成長による「+アルファ」効果も期待できることにあるのです。金融資産のすべてを株式にする必要はまったくありません。どんなに分散しても株式は短期的には大きく変動します。しかし、これからの時代、すべての金融資産を預金だけにしているのは購買力を維持するという点から大きなリスクがあります。資産の一部をグローバルな株式インデックス投信などにしておけば、購買力を維持しつつ世界の成長を享受できることになり、それはとても賢明な対処法だと言えるでしょう。

岡本 和久(おかもと かずひさ)氏プロフィール
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ファイナンシャル・ヒーラー ®

CFA 協会認定証券アナリスト (Chartered Financial Analyst)
I-O ウェルス・アドバイザーズ株式会社 代表取締役社長

慶應義塾大学経済学部卒。大手証券会社のニューヨーク現地法人、情報部などで証券アナリスト・ストラテジスト業務に従事、1990年に、バークレイズ・グローバル・インベスターズを設立、2005年まで 15年間代表取締役社長として年金運用業務に携わる。
2005年5月、個人投資家向け投資セミナーを行うI-Oウェルス・アドバイザーズ株式会社を設立、代表取締役社長に就任。現在、同社でマンスリー・セミナー、ハッピー・マネー教室などを開催する傍ら、長期投資家仲間によるクラブ・インベストライフを主宰。

著書に『瞑想でつかむ投資の成功法』(総合法令)、『金遣いの王道』(林望氏との共著、日経プレミアシリーズ)、『資産アップトレーニング』(日本経済新聞出版社)、『100歳までの長期投資*コア・サテライト戦略のすすめ』(日本経済新聞出版社)、『長期投資道』(パンローリング)、『老荘に学ぶリラックス投資術』(パンローリング)、『親子で学ぶマネーレッスン』(創成社)など多数。

日本証券投資顧問業協会理事、同協会副会長兼自主規制委員会委員長、投資信託協会理事、日本CFA(Chartered Financial Analyst)協会会長。経済同友会会員。

掲載日:2014年2月13日

 
    

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