株式・投資信託・ETF・退職・年金 投資に役立つ「ケイゾンマネー」

日本のクルーズ新時代の幕開け 日本発着本格デビューの春

クルーズと聞くと、豪華客船にタキシードドレス、料金もお高いイメージを持たれることだろう。経済成熟した欧米では、時間をお金で買うジェットセットな旅はビジネスマンにまかせ、鉄道やクルーズといった、ゆったりとした時間軸での旅が心豊かに受け入れられて久しい。もはや欧米でクルーズは、一部の富裕層だけが楽しむ旅のあり方ではなく、よい意味で一般大衆化がなされている。

なかでもプレミアムやカジュアルクラスの客船が、大いに人気を博しているが、これらはドレスコードが緩やかで、しかし華やぎがあり、嬉しいことにリーズナブルだ。なんといってもオールインクルーシブといって、三度の食事や移動費、エンターテイメントなどが全て込みの料金設定なのが特徴で、小遣いを多めに見積もる必要がない。旅の予算立てがしやすく、費用対効果が高い旅の代名詞といえる。

このカジュアルクルーズが、ついに日本にも来航を始めている。なかでも注目されるのが、プリンセス・クルーズ(米国本拠)だ。テレビCMで、もうお馴染だろう。かの名女優オードリー・ヘプバーンは、プリンセス・クルーズの初代「スター・プリンセス」号の名づけの親でもある。1989年、命名式を終えた彼女は、そのまま客船に乗り込んでカリブ海クルーズに旅立った。日本がバブルに沸いたころの話である。


(c)Princess Cruises

初代「スター・プリンセス」号の命名式に臨んだ名女優オードリー・ヘプバーンクルーズは人生の目標や憧れに近似値の豊かで希少な体験を与えてくれる
(c)Princess Cruises


そのプリンセス・クルーズが保有、三菱重工長崎造船所で建造された「ダイヤモンド・プリンセス」号が、この春、横浜を拠点に日本発着クルーズの運航を開始する。船内には、洋上最大級の日本式大浴場「泉の湯」を併設した。

2014年春、横浜を拠点に日本発着のクルーズ「ダイヤモンド・プリンセス」号が就航。本格的なクルーズ新時代に突入する
(c)Princess Cruises


すでに就航している「サン・プリンセス」号とあわせ、2014年4~10月の日本発着クルーズが、外国客船史上過去最多の10コース、42本(チャーター含む)が用意された。

これまで退職シニアの旅のスタイルと捉われがちだったクルーズだが、30代以降の働きざかり世代も参加できるよう、5日間クルーズ6万円台も登場した。北海道の各港をめぐり知床半島からサハリン・コルサコフを巡る小樽発着のコースなど、どれも魅力的だ。2隻ともに洋上ディナーでは、かつてオードリーが実際に食したフランス料理のコースメニューが再現され、乗船客に振る舞われるという。

船旅は、一度荷物をもって乗船してしまえば、寄港地観光は身軽にこなせる。夜、寝ている間に航海する運航スケジュールが一般的で、昼間の航海であっても船上での楽しみが世代を問わず、豊富にそろう点も嬉しい。これまで船旅を経験したことのない人たちにとって、開眼の悦びとなるであろう。

日本においてカジュアルクルーズは、LCCと同様に「アジアの空白地帯」といわれた。世界のクルーズビジネスが注目をするなか、一方で中国マーケットにおける船旅の需要が増大を遂げている。とはいえ日本発着のクルーズであれば、さほど乗客の国籍比率を気にする必要もない。

一方で、日本が門戸を広げることで政府が推し進める訪日外国人客の増加にも、一役買うことであろう。自治体のなかには、バースや客船ターミナルにおけるCIQ(※)の整備を急ぐところも少なくない。空港に押されがちだった港湾も、今や大きく口を開けて、来航を待ちわびる。

就航記者会見にあたり去る1月、来日したプリンセス・クルーズのジャン・スワーツ社長は、「日本におけるクルーズの潜在的なニーズの高さを確信した」と熱く語った。日本のクルーズ新時代の、本格的な幕開けを予感させる。

※CIQ=出入国時の手続き(税関・出入口管理・検疫)をさす。

千葉 千枝子(ちば ちえこ)プロフィール

観光ジャーナリスト 横浜商科大学講師

中央大学卒業後、富士銀行に入行。シティバンクを経て、JTBに入社。96年有限会社千葉千枝子事務所を設立。運輸・観光全般に関する執筆、講演活動を行いラジオ、テレビにも多数出演。神奈川県観光審議会・沖縄県感動体験戦略検討委員会・釜石食ブランド開発検討協議会などの委員。日本観光研究学会、日本観光ホスピタリティ教育学会、日本旅行業女性の会、日本旅行作家協会会員。ファイナンシャルプランナー、総合旅行業務取扱管理者を有する。著書に「JTB 旅をみがく現場力」(東洋経済新報社)、「観光ビジネスの新潮流」(学芸出版社)など多数。

ブログ(毎日更新)「旅のエクセレンス」
公式ホームページ「Long Stay Style」

掲載日:2014年2月10日

 
    

特集

「証券アナリストの調査手法とこだわり」(全6回)

「証券アナリストの調査手法とこだわり」

証券アナリストの行動パターンをご紹介!個人投資家のリスク回避術を学ぼう。

特集を読む »

おもしろ企業探検隊

おもしろ企業探検隊

平林亮子&内田まさみの「そうだ!社長に会いに行こう」ナブテスコ株式会社

特集を読む »