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共感を呼ぶメダリストのレジリエンス

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ソチオリンピックでの感動の数々。人々はなぜ、メダリストの勇姿に感動をするのか。

世界レベルの演技から溢れ出す美しさや、超人的な高い運動能力に魅せられるのは当然だが、それ以上に感動を呼ぶのは、選手が持つ「共感できる精神的な弱さとそれを克服する強さ」にあるのではないだろうか。メダリストのパフォーマンスやインタビュー、ストーリーを見るたびに、オリンピックメダリストには高い「レジリエンス(=しなやかな回復力)」が備わっていることを実感できる。この「レジリエンス」は、人間の悲観的な感情や弱気な内面をまるで持たない超人のような「ふてぶてしい」強さではない。むしろ、弱い自分や大きなプレッシャーに悩み、押しつぶされそうになりながらも、その困難や逆境に対して前向きに、しなやかに適応し、困難を糧にして乗り越え勝利する強さである。この「しなやかな強さ」に多くの国民は共感し、尊敬の念を抱くのではないだろうか。特に私は、フィギアスケートの金メダリスト羽生結弦選手とスキージャンプの銀メダリスト葛西紀明選手の2人に共通の高いレジリエンスを感じた。

心理学・行動科学の観点から、高いレジリエンスを持つ人にはある一定の特徴があることがわかっている。そして、この要素は実践を通じて高めることができると言われている。ここで、羽生・葛西両選手に特徴的といえるレジリンスの要素を紹介したい。

【人生を通じて自分の支えとなる価値観や信念がある】

羽生選手の場合、「ロシアの皇帝」と呼ばれたプルシェンコという永遠のアイドル・ヒーローという存在があり、常に彼のようなスケーターになりたい、という自分自身の軸があった。そして、なによりスケートが大好き、というぶれない信念を持ち続けている。また、葛西選手にもジャンプが大好きであること、家族のために金メダルをとって勇気づけてあげたい、という揺るがない信念があった。

【困難な状況を切り抜けてきたことが、今の自分の強さや経験値の一部になっていると思える】

羽生選手は東日本大震災で自らも被災をし、練習場も確保できない状態で、スケート継続が危ぶまれる程のダメージを負った。しかし、その挫折を、被災地の人々を自分の演技で勇気づけたい、希望を与えたいという信念に昇華させた。葛西選手は長野オリンピック直前に火事という悲劇で母を亡くし、妹が再生不良性貧血という難病にかかり、自分自身も幾度となく怪我に悩まされた。さらに左右の板を平行にしたクラシカルスタイルから、スキーの先を開くV字ジャンプにルールが変わった。高校卒業後に所属した地崎工業、マイカルは相次いで廃部となり、たび重なる大きな環境変化を味わっても、好きだからこそ、ジャンプに取り組む姿勢は変わらなかったという。

 【社会や組織に対して貢献をしたいと思える】

羽生選手は東北の人々への恩返しと貢献をしたい、という想いを強く持っている。そして、葛西選手は団体若手メンバーへの貢献心が強く、彼らにメダルを取らせてあげたい、という想いが強いからこそ、自分の銀メダル獲得の時以上に、団体で銅メダルを獲得した時には涙を見せた。

【他の人の観点に耳を傾けることができる】

羽生選手の19歳とは思えぬメンタル面の強さの陰には、彼のコーチであるブライアン・オーサー氏の金言とそれに耳を傾ける素直さがあった。「試合のことは試合直前に考えてみなさい。ユズルは試合までに心のエネルギーを使いすぎる」と助言されていたという。コーチの助言を素直に採り入れ「今できることをしっかりやる」ことが冷静さを保つ秘訣となったという。一方の葛西選手は、2002年のソルトレイクシティーオリンピックで惨敗を期した後、現在所属する企業である土屋ホームが2名のフィンランド人をコーチに迎えることを決めた。自らを頑固者と評する葛西選手も、次のオリンピックでのメダル獲得のために、自分よりも年下の外国人コーチからすべてを吸収しようと決意。それが現在のジャンプフォームの獲得に大きくつながったという。他者の視点やアドバイスを積極的に取り入れることで、「日本の頑固者」が「世界のレジェンド」へと変化したのだ。

【動揺したり興奮したりした後でも、落ち着きを取り戻せる】

羽生選手は金メダルがかかったフリーの4回転サルコーと3回転フリップを失敗したものの、4回転トーループ、そして後半に予定されていたトリプルアクセルからの連続ジャンプを2回きっちり成功させた。葛西選手は期待されていたノーマルヒルでは8位とメダルに届かず、本人も色々な事が頭の中を葛藤し、『今の調子ならメダルは取れる!というメダルへの重圧やノーマルヒルのようにメダルを取れなかったらどうしよう』といった自信と不安が行ったり来たりしたことを認めている。そのような中でも冷静さを取り戻し、ラージヒルでは2本ともプレッシャーに勝ち最高のジャンプをし、銀メダルを獲得した。

2人のレジリエンスの高さに多くの日本人が勇気づけられたと感じているが、奇しくもオリンピック直前の年末にこの世を去ったネルソン・マンデラ氏が残した金言はレジリエンスの本質を語っている。

「勇者とは怖れを知らない人間ではない。怖れを克服する人間のことなのだ。」

荻原 国啓(おぎわら くにひろ)プロフィール
過去コラム一覧

ピースマインド・イープ株式会社代表取締役社長

慶應義塾大学経済学部卒。在学中より人事コンサルティング会社新規事業開発や、新卒人材紹介事業等、人事マネジメント分野に従事後、(株)ピースマインド代表取締役社長(1998年創業~2011年3月)を経て現職。

日本国内最大規模のEAP(従業員支援プログラム)提供企業としてEAPやメンタルヘルス支援など、心理学・行動科学の専門性を活かした人と組織に関わる支援とコンサルティングを550以上の組織に展開。精神保健福祉士・産業カウンセラー・心理相談員。日本の起業家を世界に輩出する唯一の世界的起業家表彰制度EOYjapan2008セミファイナリスト。日本の次世代若手ベンチャー起業家を称える表彰制度DREAM GATE AWARD2008受賞。『クリックからはじめる自殺予防支援』代表世話人。

専門分野は人事・組織マネジメント、人材開発、EAP(従業員支援プログラム)、ストレスマネジメント、メンタルヘルス、震災ケア、レジリエンス、クライシスケア、ソーシャルビジネス等。

掲載日:2014年2月20日

 
 
    

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