株式・投資信託・ETF・退職・年金 投資に役立つ「ケイゾンマネー」

NISA(ニーサ)の次はNITA(ニータ)を

マル優の株式版

今年から始まったNISA(ニーサ、日本版インディビジュアル・セービングス・アカウント=個人貯蓄非課税口座)は実に意義深い制度だと思いますが、日本の株式市場における個人の「主導権=価格支配力」を高める目的からすると力不足でしょうね。

個人の主導権を高めることを目的とするならNISAよりも、「NITA」(ニータ、日本版インディビジュアル・トレーディング・アカウント=個人売買非課税口座)と呼ぶような制度が望ましい、と私は強く主張したいところですね。例えば、残高300万円とか500万円の範囲内での株式トレーディングから得たキャピタルゲインを非課税にする、といった制度です。

昔、マル優(少額貯蓄非課税制度)というのがありました。(なつかしい言葉ですね。今も一部の預金者については制度が継続されていますが。)個人貯蓄(投信なども含む)の350万円までの元本について利息に税金がかからない、という制度でした。これを株式売買に適用するといった感覚です。(構想としては以前からあちこちで聞いたような気もします。)

個人には大いに歓迎される制度になるはず、と思いますね。実際、今年から始まったNISAの非課税枠を「トレーディング益を無税する」目的で使っている(あるいはもう使い切ってしまった)個人は多いでしょう。(貴方もそうかも?)彼らはNITAがあれば「継続的に」もっと活発にトレーディング益を目指してトレーディングをするに違いありません。そうなれば株式市場における個人の主導権は確実に高まります。


外国人の主導権の源泉

日本の株式市場の構造を見ますと、ざっくり言って保有比率では個人が2割ほどで外国人が3割弱、しかし、売買高に占める割合では個人が保有比率より少し多い2割5分~3割に対して外国人は6割くらいあるいはそれ以上、ということになっています。

個人の市場参加者は印象として売買回転率が高いように思えるのですが、実際のところは売買回転率が極めて高いのは外国人だ、ということになっています。そして、外国人のこの売買回転率の高さ→売買高に占める比率の高さ、が「外国人の主導権=相場支配力」の源泉になっている、と見ることができるのです。

外国人の中にも売買回転率の低い投資家はもちろんいるはずですから、外国人の売買回転率が高い、ということは、外国人の中に売買回転率の非常に高い人たち(投機的な市場参加者と呼ぶことにしましょうか)がいる、ということを示します。

つまり、日本の株式市場における外国人の「主導権」(=価格支配力の高さ、それが本当かどうかは別にして、そのように思われているの)は、外国人の中に「投機的な市場参加者がいることから来る」となるのです。

日本の株式市場が外国人の投機的な連中に価格支配されてはならない、のかどうか、は知りませんが、もしそれを問題であると思うなら、日本人の市場参加者の中からそれに対抗するだけの投機的な市場参加者を出すべきだ、ということになりますよね。


FX市場を見よ!

年金を運用する国内の投資顧問会社や投資信託(委託会社)に向かって投機的な高速回転売買をしてくれ、と言うわけにはいかないでしょうから、期待するとすれば「個人」ということになります。

個人の市場参加者に投機的な高速回転売買を期待する、などということは禁句の一種かもしれませんが、おそらく「条件と状況さえ許せば」個人の市場参加者の「一部」は、株式市場においてそういう行動をすることを厭わない、と思いますね。

外国為替市場では、「ミセス・ワタナベ」などと「象徴的に」呼ばれる一群の「個人(たち)」が相場の主導権を取るという高いプレゼンスを示しています。(少なくとも、そう言われることがありますね。)

実際に売買してみれば実感することですが、今の日本のFX取引市場は個人の市場参加者にとって「夢のように素晴らしい」世界ですね。FX取引の関係者の方々の努力の成果を強く感じます。

同じことは日本の株式市場でも起きるはずです。日本の個人に日本の株式市場でもっと強い主導権を発揮してもらうことは可能なはずです。(新興市場の銘柄では時折個人主導の大相場といったことはありますが。)

振り返りますと、昔の方が個人の株式投機力は強かったような気がします。年間50回以上かつ売買株数20万株以上の「反復継続取引」でない限り個人の株式売買のキャピタルゲインは無税、などという今では考えられないような優遇措置が個人の株式売買にはありました(昭和28年~平成元年)。個人の投機的な株式売買は昔の方が今より活発だったように思います。(と言いますか、個人以外の市場参加者との相対的比較において規模がもっと大きかったですね。)

昔に帰るわけにはいかないのですが、ネット取引が当たり前になり(つまり少額の資金で活発に売買する個人の市場参加者を増やすことが容易になり)、あらゆる面でグローバル化が進展(個人の売買動機が多様化)した今という時点で、もう少し個人の市場参加者の力を強くする工夫がなされるなら、日本の株式市場はもっと強いものになるような気が私はします。

松下 律(まつした りつ)プロフィール
過去コラム一覧

証券アナリスト、社団法人日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

1976年慶應義塾大学工学部大学院修士課程修了
大学院修了後国内証券会社入社、証券アナリスト。その後国内投信委託会社、外資系信託銀行、外資系投信投資顧問会社で長年にわたりファンドマネジャー。
2000年以降は独立証券アナリストとして活動。インターネットを通じて個人投資家向けの情報発信している。

掲載日:2014年3月11日

 
    

特集

「証券アナリストの調査手法とこだわり」(全6回)

「証券アナリストの調査手法とこだわり」

証券アナリストの行動パターンをご紹介!個人投資家のリスク回避術を学ぼう。

特集を読む »

おもしろ企業探検隊

おもしろ企業探検隊

平林亮子&内田まさみの「そうだ!社長に会いに行こう」ナブテスコ株式会社

特集を読む »