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ジンバブエ

ひょんなことから100兆ドル紙幣を手に入れた。といっても米ドルではない。アフリカ南部にあるジンバブエ共和国で2004年の年末まで使われていたお金である。世界一高額紙幣だろうと思っていたら、100ジョ(10の25乗)Zドル札も発行されたことがあるという。原因は凄まじいハイパーインフレ。

英国領南ローデシアだったジンバブエは1980年の総選挙を経て活気に満ちた共和国となり、教育レベルも高く経済は安定していた。ところが87年に首相だったムガベが大統領に就任してからは悪政がはびこり、経済は崩壊へと一直線。なにしろ最悪期のインフレ率が790億6,000万%というのだから気が遠くなる。物価は1日ごとに倍以上上昇し、7億Zドルで買えたのはパン1斤だったという。そんな国の通貨は自国民でさえ信用しない。2008年についに経済が完全に破たんし、国民は難民となってお隣の南アフリカになだれ込んだ。コレラまで流行し、分かっているだけで4,000人以上が死亡している。国民にとってはまさに踏んだり蹴ったりである。

国際社会からの厳しい批判や国内の反体制勢力の突き上げに、さすがのムガベ大統領も09年に野党との連立政権を樹立し独裁体制にひと区切りついた形だが、ムガベが退陣しない限り抜本的な解決にはならないだろうという見方が大勢だ。

緊急経済対策としてジンバブエ政府は信用が完全に失墜したジンバブエドルに変えて米ドルと南アフリカランドを法定通貨とし、併せて5つ外国通貨の国内流通を公式に認めた。そして今年1月、中国人民元、インド・ルピー、豪ドルに加えてなんと日本円も法定通貨のひとつに認められた。理由は紙幣が不足しているため。自国通貨がない国を想像するのは難しいかもしれないが、これによって経済は復興の兆しをみせている。観光客も少しずつ戻り始め、私が持つ100兆Zドル札もお土産物として500円から1,000円ぐらいの価値になっているらしい。

それにしても通貨暴落は恐ろしいことだ。通貨安によってその国の資産価値は目減りし、行き過ぎればジンバブエのように国の経済が崩壊する。日本ではアベノミクスによる円安を持て囃しているが考え直した方がいい。ちなみに通貨高で破たんした国はない。

蟹瀬 誠一(かにせ せいいち)プロフィール
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ジャーナリスト・キャスター、明治大学国際日本学教授

(株)アバージェンス取締役、(株)ケイ・アソシエイツ取締役副社長

掲載日:2014年3月13日

 
    

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