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消費税増税に負けないアウトレット業界

日本にアウトレットが初上陸したのは、バブル崩壊の1993年のことである。

小売業界は、景気上昇局面では直営店など正価販売のプロパー店が増加し、転じて景気後退局面に入ると、余剰在庫の受け皿としてディスカウント店やアウトレットの出店が増えるという特性をもつ。わが国のアウトレットの歴史は、日本経済の"失われた20年"と符号を合わせたかのように、発展を遂げた。

この20年、日本全国40以上ものアウトレットが誕生した。とりわけ開業ラッシュとなったのは、1999年から2002年にかけてである。わずか4年で、18のアウトレットが国内に誕生した。世界金融危機に見舞われた2008年あたりから、第二次アウトレットブームが到来した。メーカーはアウトレット向けの商品を企画製造、販売するようになり、百貨店からの返品サイクルも短くなるなど、アウトレットの商品構成に厚みが増したころである。一つの確たる流通チャネルとして、日本に根づきをみせた。

そもそもアウトレットとは、1980年代後半に米国で確立された流通の新業態である。日本へは、現在の姿に醸成されたのち流入した。
米国におけるアウトレットモールは、最盛期には全米で約330を数えたが、1996年をピークに減少に転じ、今では200を超す程度に淘汰された。生き残ったアウトレットの大きな特徴は、有名観光地に隣接するか、観光周遊ルート上に立地する点にある。米国アウトレットは、観光地の集客力が来場者数を左右することを、その成熟過程において立証した。

今ある日本のアウトレットのなかで最大の集客数を誇るのが、三菱地所・サイモン(※)の御殿場プレミアム・アウトレット(2000年開業)である。大商圏・東京や東海地方からのアクセスがよく、箱根・湯河原という一大観光地の要衝に立地する。何より、世界遺産・富士山を借景に米国風の街並みが広がり、非日常を感じさせる。

御殿場プレミアム・アウトレット

その御殿場は、開業から13年たった今も、活況に沸いている。2013年春ごろから、ラグジュアリーブランドを中心に売り上げがさらに伸び、客単価も大きく伸長しているというのだ。消費者の景気好転への期待感が、如実に表れている。

さらには、訪日外国人客の増加も著しい。査証緩和を追い風にタイ人が急増したほか、インドネシア人も増えており、ムスリム向けの礼拝室も2013年夏に完備した。中国人も力強く回復をみせ、この春節には1日80台以上もの観光バスが到着したという。

政府は、2020年東京五輪開催年に訪日外国人客2,000万人という中期目標を、新たにすえた。さらなる誘致策が打たれることは必至である。

一方、国内では、近づく消費税増税に、駆け込み消費が今、ピークにある。その対象は、大型出費となる耐久消費財がおもだつ。4月以降、季節衣料や生活雑貨など身の回りの品は、「できるだけ安く、賢い買い物をしたい」とする消費者心理がはたらくことは間違いなさそうだ。増税後もなお、ブランドを軒先に数多く集積するアウトレットに、消費者の興味が衰えることはなさそうだ。

(※)三菱地所と、全米各地で約65のアウトレットを展開するサイモン・プロパティ・グループの合弁会社

千葉 千枝子(ちば ちえこ)プロフィール
過去コラム一覧

観光ジャーナリスト 横浜商科大学講師

中央大学卒業後、富士銀行に入行。シティバンクを経て、JTBに入社。96年有限会社千葉千枝子事務所を設立。運輸・観光全般に関する執筆、講演活動を行いラジオ、テレビにも多数出演。神奈川県観光審議会・沖縄県感動体験戦略検討委員会・釜石食ブランド開発検討協議会などの委員。日本観光研究学会、日本観光ホスピタリティ教育学会、日本旅行業女性の会、日本旅行作家協会会員。ファイナンシャルプランナー、総合旅行業務取扱管理者を有する。著書に「JTB 旅をみがく現場力」(東洋経済新報社)、「観光ビジネスの新潮流」(学芸出版社)など多数。

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掲載日:2014年3月12日

 
    

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