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経営者の攻める力

今年度も残すところあと一カ月ですね。ふり返ると、マーケットに関わる仕事をしているせいなのか、一年を通して「アベノミクス」という言葉が、一番印象に残っています。

デフレ脱却を目指した安倍政権と黒田日銀の政策は、円安進行に寄与。同時に外部環境が改善したことで、日本企業は目を見張る力強さを見せてくれました。

先日、「上場企業の2014年3月期の連結経常利益は、前期比30%増となる見通し」と報じられましたが、実際、多くの経営者からは、数字以上に強い事業環境と、先行きに対する期待を伺えた一年でもありました。

 ようやく吹いてきた追い風。でも、企業はこの時をただ待っていたわけではありません。

 経営には『向かい風の時に、どんな準備をするのかが重要』と話してくれたのは、株式会社堀場製作所 代表取締役会長兼社長 堀場厚氏です。

堀場製作所が発表した2013年12月期の決算は、主力事業の排気ガス検査事業を始め、医療、半導体など全ての分野の業績が好転。堀場氏は、好業績の背景を「半導体が良くなったからね」と、解説して下さいました。そしてその後に、趣味のヨットの漕艇に会社経営を例えた、前述の『向かい風の時に、どんな準備をするのかが重要』という言葉を続けたのです。

 堀場氏が社長に就任したのは、日本のバブル景気が終焉を迎えた1990年代。就任してから様々な改革をしたものの、3年連続で減収減益。前向きな性格の堀場氏もさすがに頭を抱えたそうです。その厳しい状況で、堀場氏が選んだ道は「先々を見据えた投資を積極的な行うこと」でした。多くの企業が、投資を控え、借金を返済することを優先したこの時期に、堀場氏は逆に攻めの姿勢に転じたのです。

1996年にフランスの医療機器メーカーを買収。また、2005年にはドイツの自動車関連計測事業部門を傘下におさめました。また、国内でも、熊本に工場を建設するなど、半導体分野への投資を積極的に行いました。堀場氏は「工場が出来た当時、敷地内の草取りが主な仕事だったよ」と、冗談なのか本当なのか...笑いを交えながら話してくださいました。その工場は現在、フル稼働状態。医療分野は事業の大きな柱に育ち、ドイツの事業部門買収は、堀場製作所を新エンジン開発のためになくてはならない存在へと成長させました。

 堀場氏は、趣味であるヨットの漕艇から「突発的な出来事への対応は、教科書通りにはいかないこと」「正解はひとつではなく、厳しい時こそチャレンジし続けることの大切さ」を学んだといいます。向かい風でも、常に先端の技術を取り入れて、追い風が吹いた時には他が追いつけない差がついている。この堀場氏の経営力で、これからも大波にも打ち勝ってくれるのでしょう。

 消費税増税とともに始まる来年度。多くの経営者は、業績見通しを慎重に考えているようです。ただ、企業はその時のための準備をもうずいぶん前から進めているのです。努力し続ける日本企業が、その底力を見せつけられる新年度になることを、心から願っています。

内田 まさみ(うちだ まさみ)プロフィール
過去コラム一覧

ラジオNIKKEI等で活躍中のフリーアナウンサー。1999年に日本短波放送に入社。数々の経済番組を担当した後、フリーに。

現在ではアナウンサー業に加え、ディレクターとして番組制作も手掛けている。また、雑誌や新聞などでの執筆活動も行っている。オールアバウトのFX担当ガイド

現在出演中の番組
・ザ・マネー 16:00-16:45 毎週月・火曜日担当
・陳満咲杜のFXトレンドの真実 21:30-22:00 毎週月曜日
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・ザ☆スマートトレーダーPLUS 毎週木曜日16:45-17:15
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(いずれもラジオNIKKEIで放送中)


掲載日:2014年3月14日

 
    

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