株式・投資信託・ETF・退職・年金 投資に役立つ「ケイゾンマネー」

金融立国化こそ最強の成長戦略

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偉大なるローカル市場東京

 私は1987年からずっと資産運用の仕事に携わって来ましたが、当時から私達にとってグローバル金融の最重要市場はニューヨークであることに変わりなく、しかしその次にはロンドン・東京と必ず列記され、金融取引は3大市場と厳然たるヒエラルキーが存在していました。

 東証の時価総額は80年代後半にはニューヨークを凌駕して、ジャパンマネーが世界の金融を席巻しました。かく言う私もその頃まだ駆け出しの運用者でしたが、今の常識ではあり得ぬ極端に安いコストで銀行や生保から調達した巨額資金を、日米欧の金融市場へダイナミックに投資していました。

 当時の日本は大幅な貿易黒字とプラザ合意後の大金融緩和で未曽有のカネ余り、それが株式・債券・不動産などに向かって資産バブルを演出し、国内投資マネーの膨張によって東京市場は世界最大規模の金融センターになったわけです。

 そして欧米の金融機関はこぞって東京に拠点を構え、アジアの取引も専ら東京からアクセスしていました。世界の大型起債やIPOでもニューヨークの次は必ず東京に発行体が来て、私ら機関投資家を招いては豪勢なロードショーをやっていましたし、夜の銀座や六本木のクラブは、外資系金融機関の連中でいつも賑わっていました。

 それから20年余り、日本はバブル崩壊から不良債権処理に苦しみ、その後は深刻なデフレ病に陥ったまま凋落の一途だったことはご存知の通りで、マネーセンター東京も今は昔。アジアの金融拠点は香港・シンガポールにその座を奪われました。

 今や国内機関投資家マネーは風前の灯、個人はデフレ経済の中せっせと預貯金に励み続けていて、東京株式市場の取引の6割超が海外投機マネーの短期売買中心で、これはまるで発展途上国の金融市場を見るようです。

 それでもかつてのジャパンアズナンバーワン時代の遺産を食いつぶしつつ、東京市場の時価総額は現在でもニューヨークに次ぐ世界第2の規模を何とか維持していますが、やはりグローバルマネーの世界でも「ジャパンバッシング」が常識化して、今では世界第2の時価総額を誇る、偉大なるローカル市場が東京なのです。

預貯金を投資マネーへ

 アベノミクスの第三の矢は本当にしっかり放たれるのか?海外投資家は成長戦略の実行に懐疑的になって、日本株投資へ慎重になっていますが、実は岩盤規制を切り崩す構造改革より遥かに即効的でパワフルな成長戦略があります。それが日本の生活者が有する865兆円の預貯金の活用です。

 衆知の通りこの国のGDPの1.7倍もの巨額な現ナマが、ゼロ金利の預貯金に滞留して久しくお金は失業状態に甘んじています。挙げ句余った預金が銀行から国債で政府に吸い上げられて、財政赤字のツケ回しを助長するなど不効率温存をもたらす始末。

 この預貯金を失業状態から富を生み出す方向へと働きに出すだけで、日本経済の景色は大きく変わるはずです。日本の銀行の平均預貸率はざっと7割。つまり預金の3割は貸し出しに回せず余っているわけで、865兆円のうち余剰になっている3割、260兆円が投資マネーとして動き出したら、少なく見積もっても数兆円いやそれ以上の富を生み出すとすぐに気付きます。

 今年から始まったNISAは、政府・行政当局が明確に「貯蓄から長期投資へ」の意志を示しており、生活者の預貯金を経済活動に参加する投資マネーへ、即ちビジネスの成長によって富を生み出す成長マネーに転換させようとの意図を持った、立派な成長戦略なのです。

 そしてアベノミクスによるインフレ経済の到来によって、私達生活者は投資へと行動惹起させられるはずです。

東京のポテンシャリティ

 私達生活者が持つ莫大な預貯金から、経済活動に参加する真っ当な長期投資マネーが日本に湧出し始めたなら、国内のみならず世界中から、ビジネスに必要な資金調達を目的に、元気な企業が日本を目指して集まって来ることでしょう、

 現在そうした資金需要に応える資本市場はニューヨークが圧倒的で、次いでロンドンへと向かいます。なぜ東京には来ないのか?それは私達生活者のお金が預貯金に偏向していて、それ故資金の出し手がいないからです。裏を返せばニューヨークには米国民からリスクマネーが供給されていて、それがベースとなって金融市場が世界の投資マネーを呼び込む厚みを構築しているからで、ロンドンもそうした流れを自ら促して来ました。自国民のお金が自らの金融市場の担い手となるのが金融立国の姿なのです。

新たなる金融資本主義の国へ

 リスクマネーが集まる市場にはビジネスがやって来ます。ワクワクするような新しい事業が生まれ、新たな産業が育ち始めます。そしてそれを支える金融も需要に沿ってどんどん厚みを増して行く。やがてリスク度合いに準じた多様なマーケットが生まれ育って来る、これがニューヨーク・ロンドンで実現させた金融立国の発展の流れです。

 繰り返す通り、日本には865兆円の預貯金が存在し、それは私達生活者の意志で自由に動かせるお金であって、私達の行動ひとつで数十兆円・数百兆円の資金需要に応えられる潜在力があるのです。

 それらがリスクマネーとして成長を支え、成長から新たな富が生まれ、富が生まれ育っているところには必ず、世界からお金もビジネスもやって来るものです。

 アベノミクスの第三の矢を洞が峠よろしく評論するより前に、私達生活者主導で強烈な成長戦略を実践して、日本を長期投資マネーが溢れる金融立国に変えて行きましょう!

中野 晴啓(なかの はるひろ)プロフィール
過去コラム一覧

セゾン投信株式会社 代表取締役社長http://www.saison-am.co.jp/

1963年東京生まれ。1987年明治大学商学部卒。同年、株式会社クレディセゾン入社。セゾングループの金融子会社にて債券ポートフォリオを中心に資金運用業務に従事した後、投資顧問事業を立ち上げ運用責任者としてグループ資金の運用のほか外国籍投資信託をはじめとした海外契約資産等の運用アドバイスを手がける。その後、(株)クレディセゾン インベストメント事業部長を経て2006年セゾン投信(株)を設立、2007年4月より現職。米バンガード・グループとの提携を実現させ、現在2本の長期投資型ファンドを設定、販売会社を介さず資産形成世代を中心に直接販売を行っている。また、全国各地で講演やセミナーを行い、社会を元気にするための活動を続けている。

 公益財団法人 セゾン文化財団理事
NPO法人 元気な日本をつくる会理事

著書
『運用のプロが教える草食系投資』(共著)日本経済新聞出版社
『積立王子の毎月5000円からはじめる投資入門』中経出版
『投資信託は、この8本から選びなさい。』ダイヤモンド社
『定年までにいくらあれば生きていけるか』アスキー新書
『20代のうちにこそ始めたいお金のこと』すばる舎
『30歳からはじめるお金の育て方入門』(共著)同文館出版
『年収500万円からはじめる投資信託入門』ビジネス社
『投資信託は、この9本から選びなさい。』ダイヤモンド社  等

ブログ「積立王子のブログ」 http://ameblo.jp/saisonam/
HP「社長対談"今"を変えるチカラ」 http://www.saison-am.co.jp/taidan/index.html
Facebookアカウント https://www.facebook.com/haruhiro.nakano.3
twitterアカウント@halu04

掲載日:2014年3月18日

 
 
    

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