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官に政策あれば民に対策あり

以前、中国には「上に政策あれば下に対策あり」ということわざがあるという話を聞きました。上とか、下という言い方にはちょっと抵抗がありますが、主旨は良く分かります。ただ、従順に国が決めたことに従うのではなく、日本でも法的に許される範囲で国民は自らを守るしぶとさが必要な時代なのだと思います。

日本の公的部門の債務が膨大な金額に昇っていることはご存じだと思います。新聞などでもよく、国民一人当たりの借金が〇〇円というような書き方をします。これは誤解を招きやすい表現です。国民一人当りの「借金」ではなく、国民一人当たりが政府に貸している金額なのです。

また、日本の公的な債務はほとんど日本国内で調達されているのだから心配はないという議論もあります。それは事実です。政府は徴税権を持っています。ですから、借金を返すためには税金をあげれば良いのです。また、金融政策によりインフレを誘導すれば、実質的な借金の金額を減らすこともできます。しかし、これは国民の負担のもとで財政を再建するということに他なりません。事実、4月1日より消費税が上がり、日銀はインフレ・ターゲットを目指して異次元の金融緩和をしています。要するに国民の負担での財政健全化はすでに始まっているのです。

それでは我々、個人はどのようにして自分の資産を守れば良いのでしょうか。まず、金融資産をインフレ抵抗力の強いものとすることです。そのための手段は物価連動国債を組み入れたファンドを保有する、全世界の主要株式をすべて保有するグローバルな株式インデックス・ファンドに資産の一部を投資をするなどが考えられます。

それと同時に「税金は運用のコスト」であると認識して、できる限り非課税の制度を活用することでしょう。NISAや財形貯蓄を利用するのもその方法です。また、あまり活用されているとは言えない個人向けの確定拠出年金に加入するというのも良いと思います。さらにさまざまな助成金や給付金なども調べてみるべきです。

これからかなりの長期にわたって政府による財政再建が続くでしょう。そして、政府にカネを貸しているのがほとんど日本人なのですから、その負担の大部分は国民が負うことになります。官に政策あれば、民に対策あり。日本人もこれからは自分の資産の実質的な価値を守るために対策を講じなければならない時代になったといえるでしょう。

岡本 和久(おかもと かずひさ)氏プロフィール
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ファイナンシャル・ヒーラー®

CFA 協会認定証券アナリスト (Chartered Financial Analyst)
I-O ウェルス・アドバイザーズ株式会社 代表取締役社長

慶應義塾大学経済学部卒。大手証券会社のニューヨーク現地法人、情報部などで証券アナリスト・ストラテジスト業務に従事、1990年に、バークレイズ・グローバル・インベスターズを設立、2005年まで 15年間代表取締役社長として年金運用業務に携わる。
2005年5月、個人投資家向け投資セミナーを行うI-Oウェルス・アドバイザーズ株式会社を設立、代表取締役社長に就任。現在、同社でマンスリー・セミナー、ハッピー・マネー教室などを開催する傍ら、長期投資家仲間によるクラブ・インベストライフを主宰。

著書に『瞑想でつかむ投資の成功法』(総合法令)、『金遣いの王道』(林望氏との共著、日経プレミアシリーズ)、『資産アップトレーニング』(日本経済新聞出版社)、『100歳までの長期投資*コア・サテライト戦略のすすめ』(日本経済新聞出版社)、『長期投資道』(パンローリング)、『老荘に学ぶリラックス投資術』(パンローリング)、『親子で学ぶマネーレッスン』(創成社)など多数。

日本証券投資顧問業協会理事、同協会副会長兼自主規制委員会委員長、投資信託協会理事、日本CFA(Chartered Financial Analyst)協会会長。経済同友会会員。

掲載日:2014年4月17日

 
    

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