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インフレ時代に負けない投資とは?

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グロソブ陥落

2014年度の新年度入りと共に、日本の投資信託業界は大きな転機となる事象が起きました。これまで12年間に亘って国内最大ファンドとして君臨を続けて来た「グローバル・ソブリン・オープン」(グロソブ)が、その座を明け渡すことになったのです。

最盛期には5兆8千億円もの純資産残高を誇り、毎月分配型ブームの火付け役として圧倒的なスケールの巨艦ファンドだったグロソブでしたが、今ではその規模は5分の1程度にまで縮小してしまいました。

一時は全国ありとあらゆる銀行窓販ではグロソブが勧められ、毎月おこづかいが出る預貯金の代替商品として一世風靡しましたが、ピークをつけてからは残高減少一辺倒で、リーマンショック後の高分配型ファンド人気の中で商品的魅力を失って以降は、他の新たな高分配ファンドへの乗換ターゲットとして販売会社からの解約攻勢に遭ってしまったのです。

日本経済が成長出来ぬデフレ構造のもたらしたゼロ金利時代の定着と共に脚光を浴び続けて来た毎月分配型ファンド、その先駆たるグロソブの凋落は、確かに日本の投資信託業界におけるひとつの歴史の終わりではありますが、それは個人投資家が高いリスクを選好し始めた、といったメディアや有識者の表層的見解にとどまらず、日本の社会構造大転換、即ちデフレ社会の終焉とインフレ時代の到来というパラダイムシフトを示唆する現象と捉えるべきでありましょう。

世界に類を見ない毎月分配型だらけな我が国投資信託のその姿は、デフレ時代に咲いたあだ花だったと、やがて業界挙げて気付くことになるはずです。

新たな最大ファンドは?

さて、グロソブに代わって今般最大ファンドの座についたのが「USハイ・イールドファンド」です。このファンドの設定日は1998年4月1日と古く、16年目で首位に立ったわけですが、実は現残高の過半にあたる6千億円は昨年度に積み上がったもので、その強味はやはり名称の通り、原資産からのハイイールド(高利回り)が毎月高分配を実現させていることにあります。

つまりこの国の個人投資家は、相変わらずより高い分配金を志向していて、販売会社もその嗜好を満たす商品を専ら売れ筋ファンドとして勧め続けているということでしょう。

笑止千万?

ところで当該ファンドの商品品質自体は決して悪いものではなく、問題は果たして日本最大の投資信託が米国ハイイールド債ファンドで良いのか?ということです。

本来ならば、ケレン味なく長期で我が国の事業活動を支える普通の日本株ファンドが厳然と存在しているべきでありましょう。ところが日本の投信規模上位10本以内に日本株ファンドはひとつもありません。これは米国でも欧州でもあり得ない事象です。

おまけに最大ファンドは米国の低格付け債(ジャンク債)運用だとなると、欧米の業界からは笑止千万と言われても仕方ありません。

私はかつて長く海外債券のポートフォリオ運用に従事して、ジャンク債への投資にも少なからず携わって来ましたが、この市場へのアクセスには単純な債券投資を超えた高いレベルの知見と経験そして専門性が必要とされます。

それは決して金利のみで成立するマーケットではなく、発行体の信用力を示す指標(信用スプレッド)がそのプライシング(値付け)に大きく影響を与える上に、流動性に乏しく、従って環境変化による市場全体の振れ幅も極めて大きいため、決してポートフォリオのコア(中心)に据えられるはずもなく、プロである機関投資家にとってもサテライト(代替)として扱う対象なのです。

1兆円を超える規模のハイイールド運用は、実際に運用する現場の側で考えると、市場変化への対応へは想像を超えた困難と恐怖を感じざるを得ません。

足るを知る時代に

そもそも日本の個人投資家が世界有数のハイリスク志向であると断定することは、やっぱり根拠が希薄であって、日本の大規模ファンドがこうしたハイインカム(高い分配金)に偏重している現実は、販売する側の販売姿勢に帰結すると考えるのが妥当でありましょう。

デフレ時代は、ゼロ金利の預貯金に業を煮やした人たちが、相対的に高い毎月分配金に魅力を感じることに理が存在していたとしても、高分配がハイリスクの重層によってのみ提供される現状は明らかにスペキュレーション(投機)奨励に等しく、インフレ前提の時代にそぐう投資姿勢とは程遠いものです。

インフレ時代にふさわしい投資行動とは、インフレに打ち克つことを目的として、インフレ構造の中にお金を働きに出し、経済成長から養分をいただきながらお金を育てて行く長期投資が王道です。それは換言すれば、成長を超えるリターンは求めない「足るを知る投資」でもあります。

現金を抱えている人がインフレ時代の敗者となることは自明の理ですが、さりとてもっともっと、他人より自分が、とガツガツギラギラ動き回っていても、インフレは決して克服出来ません。

インフレ時代が定着した時、今ある販売会社主導の投信ラインアップは瓦解しているに違いありません。日本はデフレからインフレへというメガトレンドの途上にあります。そして早く気付いて「足るを知る」長期投資に舵を切った生活者が主役になる!そんな投信業界に向けられた変化は必定なのです。

中野 晴啓(なかの はるひろ)プロフィール
過去コラム一覧

セゾン投信株式会社 代表取締役社長http://www.saison-am.co.jp/

1963年東京生まれ。1987年明治大学商学部卒。同年、株式会社クレディセゾン入社。セゾングループの金融子会社にて債券ポートフォリオを中心に資金運用業務に従事した後、投資顧問事業を立ち上げ運用責任者としてグループ資金の運用のほか外国籍投資信託をはじめとした海外契約資産等の運用アドバイスを手がける。その後、(株)クレディセゾン インベストメント事業部長を経て2006年セゾン投信(株)を設立、2007年4月より現職。米バンガード・グループとの提携を実現させ、現在2本の長期投資型ファンドを設定、販売会社を介さず資産形成世代を中心に直接販売を行っている。また、全国各地で講演やセミナーを行い、社会を元気にするための活動を続けている。

 公益財団法人 セゾン文化財団理事
NPO法人 元気な日本をつくる会理事

著書
『運用のプロが教える草食系投資』(共著)日本経済新聞出版社
『積立王子の毎月5000円からはじめる投資入門』中経出版
『投資信託は、この8本から選びなさい。』ダイヤモンド社
『定年までにいくらあれば生きていけるか』アスキー新書
『20代のうちにこそ始めたいお金のこと』すばる舎
『30歳からはじめるお金の育て方入門』(共著)同文館出版
『年収500万円からはじめる投資信託入門』ビジネス社
『投資信託は、この9本から選びなさい。』ダイヤモンド社  等

ブログ「積立王子のブログ」 http://ameblo.jp/saisonam/
HP「社長対談"今"を変えるチカラ」 http://www.saison-am.co.jp/taidan/index.html
Facebookアカウント https://www.facebook.com/haruhiro.nakano.3
twitterアカウント@halu04

掲載日:2014年4月18日

 
 
    

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