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ワークプレイスナイサ、企業にとっての導入メリット

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ナイサが7月1日にスタート

3月25日から28日までロンドンで現地のISAの調査に行ってきました。ちょうど前週19日に英国財務省が2014/15年の予算を発表し、New ISAの構想を発表したことから、予算の中身はともかく日本でも「英国ISAの拠出額が15,000ポンドに大幅に引き上げられた」として、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

年間15,000ポンドの拠出が非課税投資の対象となる。これは1ポンド=170円で換算すると255万円、夫婦で考えると年間510万円の非課税投資が可能になるという、かなり大きな投資優遇です。さらにこれまで株式型ISAと預金型ISAの2つのタイプがあったのですが、これも一本化され、合計で上限枠を超えなければどちらにでも資金を拠出できるようにもなりました。もちろん1つの口座を作ることもできます。7月1日からNew ISAがスタートしますが、ISAは1999年の創設以来、15年を経て大きく変貌したと言えます。

そうそう、ちなみに拡張されたISAはNew ISAとしてNISAと呼ばれることになり、日本と同じ表記となりました。ただ発音は「ニーサ」ではなく「ナイサ」です。

Workplace NISAは時代の要請

ところで以前にもこのコラムでWorkplace ISA(ワークプレイス アイサ)について触れました。日本ではニーサが高齢者を中心とした既存投資家の利用にとどまっていることから、現役世代のニーサ利用を促進し、「貯蓄から投資へ」を進めるためにもワークプレイス ニーサは不可欠なアプローチと言えます。ただ、金融機関側が一生懸命になっても、企業側に導入を進めようとするインセンティブが少なければ、なかなか簡単には進みません。

英国でもこれまでそれほど企業側に強いインセンティブがあったわけではありません。もちろん従業員にとっては、(1)Webサイトを使うことによって企業年金とアイサの資産を合わせて管理できる、(2)手数料などのディスカウントを受けられる、(3)年金と違って引き出しの自由度が高い、(4)2011年に年金への拠出減額が大幅に引き下げられその補完として活用できる、といったメリットがあります。企業にとっての導入のインセンティブは、こうした従業員に対する福利厚生的なメリットが優秀な労働力を確保する手段となるというものに尽きるようでした。

しかし、今回、改めて最近の状況を聞くと、少し違った指摘が出てきました。これは米国でも同じなのですが、英国では2011年から65歳の退職年齢による退職は勧告できなくなりました。そのため、退職後の生活資産が確保できない限り、従業員はできるだけ働き続けたいと考え、これが企業にとっては従業員の年齢構成等にも大きな影響を与える大きな課題となりかねない事態になってきたのです。従業員の退職後の生活資金をできるだけ早く確保できるように支援することは、企業にとって単なる複利厚生施策的な観点からだけではなく、人事政策としての意味を持ち始めていることになります。ワークプレイス アイサからワークプレイス ナイサに替わる時期に、企業にとっての新たな導入インセンティブが出てきているのは時代の流れ、要請なのではないでしょうか。

こうした潮流は世界中で進んでおり、企業はこれまで以上に、従業員の退職後生活資金の確保に企業も多くの知恵を巡らし、施策を用意する必要に迫られつつあるように思います。翻って、日本は世界に冠たる超高齢社会で退職後の生活は世界一長い国の一つになっています。その日本こそ、ワークプレイス ニーサの導入の意味と責務があるように思えてなりません。

野尻 哲史(のじり さとし)プロフィール
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フィデリティ投信 フィデリティ退職・投資教育研究所所長

一橋大学卒業後、内外の証券会社調査部を経て、2006年からフィデリティ投信株式会社 フィデリティ退職・投資教育研究所所長。大規模なアンケート調査をもとに投資家への提言をするなど、投資教育に従事。

退職金は何もしないと消えていく」(2008年) 、「老後難民 50代夫婦の生き残り策」(2010年)、「40代のサイフ」(宝島社、2012年)、「50歳から始めるお金の話」(2013年2月、小学館文庫)など著書も多数。

現在、日本アナリスト協会検定会員、日本FP学会、日本証券経済学会、行動経済学会などの会員。

 

掲載日:2014年5月15日

 
 
    

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