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現役経営者が何を思い、何に気を付けているか(その11)

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経営者に求められる能力として、私が最も重要視しているのは"判断力"です。人を動かす立場なので、ひとたび判断ミスをすると社員に無益な努力をさせますし、会社に重大なダメージを与えます。判断が的確と思えない人は、どんなに他の能力が優秀だとしても人の上に立つべきではないとまで考えています。


【ポイント33】大場より急場

囲碁は陣地取りゲームですので、一手の価値が大きなところから順番に打ちます。序盤は一手の価値が20~30目あるけれど、だんだん価値が小さくなり、終盤では1目や半目になって行きます。

この原則だけだと大味になってしまいますが、実は囲碁には「大場より急場」という格言があります。大場とは1手の価値の大きなところですが、時にはそれよりも急を要する場所があるという意味です。たとえば、黒と白が競っている最中は、よそに大場があっても競り合いを続けなけばなりません。

仕事でも「大場より急場」が大事なときがあります。外部環境が大きく変化した場合は、計画通りの進行よりも、早急な対策が必要になります。例えば、リーマンショック。実際には米国でリーマンブラザーズが破たんしてから1年後に大打撃がやってきたのですが、その間に引き締めをやっていれば影響を小さくできたはずです。

難しいのは大場と急場の価値判断です。格言を知っていても目先の急場だけに目を奪われる人は、やっぱり囲碁が下手なのです。ビジネスの世界でも同じです。大場を頭に入れながら、それ以上の急場がないかをチェックしながら経営しなければなりません。


【ポイント34】ミート・イン・ザ・ミドル

経営者は「売上重視」「利益重視」「キャッシュフロー重視」などの方針を示します。会社はある方向性に足並みがそろった方がパワーを発揮しますので、トップが方針を明確にするのが正しいリーダーシップ論と言えます。

当社も前の中期計画(2010)では「利益重視」の方針でしたが、次の中期計画(2013)では「売上重視」に大きく方針を切り替えました。私の本音は「バランス良く!」なのですが、そんな方向性のない掛け声だと、受け取り方が難しく社員がとまどってしまうかも知れません。

そんなふうにやっておきながらも、私は「中庸に真理あり」をモットーとしています。現代は、物事をどちらかに決めようとする風潮が強いように感じていますが、ビジネスの世界では二者択一でないケースが実に多く、バランス感覚が重要だと思っています。

「トップダウンかボトムアップか」も、いろいろな場面で議論になるテーマです。あることに関してはトップダウンが効果的で、別のことに関してはボトムアップがふさわしいというように、対象項目により向き不向きがあります。例えば「プロジェクト管理の徹底」だとトップダウン、「最新技術へのキャッチアップ」のようなものはボトムアップが適しているでしょう。

私の好きなのは、両方を併用してスパイラルで進めてゆく「ミート イン ザ ミドル」です。私が物事を考えたり、設計したりするとき、このアプローチをよく使います。碁を打つときに部分のヨミでうんうんうなりながら、ときどき顔を離して盤面全体を見るのも、ある意味でミート イン ザ ミドルと言えます。

余談ですが、先日この言葉を話したら、社員が「知っている」と言うのでびっくりしました。よく聞いたらキャットフードにそんな名前があるそうです(笑)。


【ポイント35】目をつぶって考え、朝令暮改を恐れない

ビジネスでは、問題が次から次へと湧き起こります。経営者は、それらの問題の本質を理解し、最適な対応方法を指示しなければなりません。判断を間違うと社員に無駄な苦労をかけたり、会社に大きなダメージを与えることになります。

私自身、迷うこともよくあります。そんなときは「目をつぶって正しいことはどっち?」と原点に立ち返ってものを考えることにしています。目先の利益やしがらみにとらわれず、いったん本質的なところを考えてみると、正しい判断がなんなのかが見えてきます。

もちろん、それでも間違うときがあります。そんなときは朝令暮改を恐れず、違ったと思ったらすぐに撤回しなければなりません。人は自分で言ったことに縛られてしまうものですが、それは小さな見栄や沽券です。誤りは誤りと素直に認め、より正しい方向に修正できる、そんな度量の大きな経営者になりたいと思っています。

ミスそのものよりも、ミスした後の対処の方が大事です。有名企業で起こった不祥事やトラブルに対して、経営者の対処の仕方のまずさで事態を深刻化させてしまうケースが後を絶ちません。その光景を見るにつけ「目をつぶって、何が正しいか」を判断してから記者会見すればいいのにといつも思います。

梅田 弘之(うめだ ひろゆき)プロフィール
過去コラム一覧


株式会社システムインテグレータ(証券コード:3626) 代表取締役 社長

1957年新潟県生まれ。新潟高校、静岡大学出身。株式会社東京芝浦電気(現東芝)、株式会社住商コンピュータサービス(現SCSK)を経て1995年株式会社システムインテグレータを創立。現在に至る。 

「日本のITを世界に!」と「IT業界の合理化」の2つをライフテーマにし、「時間を奪うのではなく、時間を与えるソフトウェアを創り続ける」というコーポレートスローガンを掲げて、時代ニーズに合ったパッケージソフトウェアを次々にリリースしている。主なプロダクトに、ECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」、開発支援ツール「SI Object Browser」、Web-ERP「GRANDIT」、プロジェクト管理システム「OBPM」、O2Oマーケティングサービス「モバポタ」、設計書ジェネレータ「OBDZ」などがある。

 「グラス片手にデータベース設計」シリーズ(翔泳社)や「実践!プロジェクト管理」(翔泳社)、「パッケージから学ぶ4大分野の業務知識」(翔泳社)など著書も多数。

システムインテグレータ社

掲載日:2014年5月29日

 
 
    

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