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ストレスチェック法制化を契機に、企業は職場改善に目を向けよ

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企業のストレスチェック実施の法制化を目前に控え、先日、当社の調査・研究機関である国際EAP研究センターは「企業におけるストレス調査実施状況に関するアンケート調査」を実施した。

調査の結果、まず過去に一度もストレス調査を実施したことがないと回答した企業は24%も存在することが明らかになった。また、ストレス調査を実施したことのある企業のうち、ストレス調査の実施目的として、「個人のセルフケアの促進のため」が78%、「ストレス度の高い従業員に対するフォローの実施」が63%、「安全配慮義務等を意識した従業員のストレス状況の把握」が63%だったのだが、これは現状の実施目的が、今回の法改正で義務化される項目と概ね一致していると言えるだろう。しかし、その一方で、これらの目的を「今後の調査実施目的に追加したいが、現状の実施目的に出来ない」と回答した企業の50%以上が、その理由として「実施に必要な専門知識やスキルを有する人材が社内に不足している」ことを挙げている。これは、今回の法改正を踏まえた従業員への適切なフォロー等の対応が、社内の人材だけでは難しい状況を示している。法改正後、政府の指針等に沿って、ストレス調査を展開していく中で、企業は人材を含む社内の資源に加えて、ストレス調査や組織分析の豊富な実施経験と専門知識を有する専門家、専門組織等の外部機関を活用することも、こうした課題に対する解決策の1つであると考えられる。  

また、「ストレス調査を実施したことがある」と回答した企業のうち、「調査結果を利用した職場改善やチームビルディング等」といった職場環境の向上を目的としている企業も51%と高い割合を占めた。実際、当社がコンサルティングを行っている企業の中には、すでにストレス調査の結果を受けて職場改善活動を実行している企業が増えている。

例えばA社は、ストレス調査の結果が悪かったある部署に対して、当社のコンサルタントが個別ヒアリングを実施した。このヒアリングによって当該部署が抱えていた課題が明らかになり、そのレポートを当該部署の管理職以上で共有。その後、当該部署主導で様々な職場改善が開始された。また、B社では、ストレス調査後に管理職向け報告会を実施。調査結果と当社が提供している対策集を参考に、各部署の業務目標に職場改善のための行動計画を設定するよう社長からトップダウンで指示が出され、実際に職場改善計画が盛り込まれた。

上記はごく一例だが、これらはストレス調査の結果を個人のセルフケアの促進のみでなく、職場改善のために能動的に活用しようという、企業の意識と行動の表れであると言えるだろう。

一方、現状は調査実施目的として「調査結果を利用した職場改善やチームビルディング等」を含めていない企業から、その理由として「必要な予算が確保できないから」という回答も60%を占めた。つまり、チームビルディングをはじめとする職場改善のための施策としてストレス調査を有望視しているものの、まだまだ経営の資源配分として重要視しているとは言えず、予算が十分に確保できないために、個人のセルフケア促進としての目的に留まっている企業も一定数存在していることになる。

ストレスチェック法制化の目的である従業員のストレス軽減を長期的に達成するためには、個人への働きかけだけでは不十分である。個人のセルフケアの促進と同時に、ストレス調査の結果に基づいた職場改善を行い、職場のストレス要因を軽減する等の根本的な対策を行うことが重要であり、いわばセルフケアの促進と職場改善の取組みは車の両輪である。

企業のストレスチェック義務化の予算を、単なる受け身のリスクマネジメントとしてのコスト(フロー)として捉えるか、それとも経営として積極的で継続的な職場改善の動きにつながる資産(ストック)としての施策と捉えるのか・・・。当然、継年で積み重ねていくべき投資予算であり、目に見えない組織資産を高める施策であると企業は捉えるべきである。

※今回の調査結果サマリーはこちら

荻原 国啓(おぎわら くにひろ)プロフィール
過去コラム一覧

ピースマインド・イープ株式会社代表取締役社長

慶應義塾大学経済学部卒。在学中より人事コンサルティング会社新規事業開発や、新卒人材紹介事業等、人事マネジメント分野に従事後、(株)ピースマインド代表取締役社長(1998年創業~2011年3月)を経て現職。

日本国内最大規模のEAP(従業員支援プログラム)提供企業としてEAPやメンタルヘルス支援など、心理学・行動科学の専門性を活かした人と組織に関わる支援とコンサルティングを550以上の組織に展開。精神保健福祉士・産業カウンセラー・心理相談員。日本の起業家を世界に輩出する唯一の世界的起業家表彰制度EOYjapan2008セミファイナリスト。日本の次世代若手ベンチャー起業家を称える表彰制度DREAM GATE AWARD2008受賞。『クリックからはじめる自殺予防支援』代表世話人。

専門分野は人事・組織マネジメント、人材開発、EAP(従業員支援プログラム)、ストレスマネジメント、メンタルヘルス、震災ケア、レジリエンス、クライシスケア、ソーシャルビジネス等。

著書:『レジリエンス ビルディング――「変化に強い」人と組織のつくり方』(英治出版)

掲載日:2014年5月31日

 
 
    

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