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国づくりは 人づくり

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今、経済再生とならぶ日本の最重要課題として、21世紀の日本にふさわしい教育体制を構築し教育の再生を図ろうと、政府の教育再生実行会議の場で議論が進められています。また、「創造力」「解決力」を育む新教育モデルをOECDと共同開発する動きも報道されていました。教育に関するこうした議論をする場合には、かつて世界から高く評価された日本の教育の良さがどこにあったのかを知ることも大切でしょう。

明治時代に日本を世界に知らしめた著書の一つ「代表的日本人」(岩波文庫)の中で、著者の内村鑑三は、一人の教育者を紹介しています。江戸時代初期の陽明学者 中江藤樹です。中江藤樹は、28歳の時に郷里の近江国小川村(現在の滋賀県高島市)に私塾を建て、村人の教育に一生を捧げた人物です。私は、特定の宗教や教義等を信仰する者ではありませんが、後に中江藤樹を世に知らしめるきっかけとなり、開国後は、世界から評価されることになる日本独自の教育の在り方を分かり易く伝えたこんなエピソードが本の中に書かれていますので紹介します。

ある侍が主君の命で首府に上り、数百両の金を託されて帰る途中の宿泊先で財布を馬の鞍に結びつけたまま馬子を返してしまいます。財布を忘れたことに気付いたものの、馬子はどこの誰かも分かりません。侍は切腹を覚悟し、主君に書状を送ろうとしていたその夜、忘れた大金を馬子が宿に届けてくれたのでした。一切の謝礼を受け取ろうとしない馬子に対して、侍がその正直で誠実な振る舞いの理由を質したところ、馬子は、「わが村は中江藤樹の指導で人の道について教わっているのだ」と答えたのです。
後に岡山藩の財政を担う熊沢蕃山は、その話を耳にして弟子入りを乞い、やがて中江藤樹の名は近江の聖人として日本中に知れ渡ることとなったのでした。

明治の時代、内村鑑三などの母国を離れた日本人は外国の地でよく次のように聞かれたといいます。
「諸君は日本でどのような学校教育を授けられていたのであるか。日本人諸君は異教徒にしてはもっとも賢明な国民にみえる。・・・さぞかし道徳的、知的な教育を受けてきたにちがいない・・・」
この問いに対して内村鑑三はこう答えています。「私ども(日本人)は十戒のうち少なくとも八戒は、母の膝にいる間に父の口から学んでいる。力は正義ではないこと、天地は利己主義のうえに成り立ってはいないこと、泥棒はいかなるものでもよろしくないこと、生命や財産は、結局のところ私どもにとり最終目的にならないこと・・・学校もあり教師もいたが、それは西洋にみられ今我が国でも模倣しているような学校教育とは全く異なる。第一に、学校を知的修練の売り場とは決して考えなかった。真の人間になるためだった。更に、同時に多くの異なる科目を教えられることはなかった。主に教えられたのは道徳、それも実践道徳であった。クラスに分けて教えられることもなかった。人間は分類してまとめることのできないもの・・・教師は、一人一人、それぞれのもつ肉体的、知的、霊的な特性にしたがって教えたのである」

こうしたやり取りをみると、かつて教育制度がない中で、日本の教育水準が世界から注目されるほどに高かった理由は、親の道徳理念や教育者の揺るぎない人間教育、そこから醸し出される人間的魅力にあることを感じます。

参考までに、現在のわが国では教育理念をこのように謳っています。
「我々日本国民は、たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願うものである。
我々は、この理想を実現するため、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する」
「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」

教育基本法の前文と第一条(目的)です。今まであまり意識したことはありませんでしたが崇高です。困難や課題に直面した時、常に基本理念に立ち返って自らの行動を省みる・・・そこに改革の第一歩があると感じます。

鎌田 恭幸(かまた やすゆき)プロフィール
過去コラム一覧


鎌倉投信株式会社 代表取締役 社長

1965年島根県生まれ。日系・外資系信託銀行を通じて25年にわたり資産運用業務に携わる。
2008年11月 鎌倉投信(株) 創業。2011年8月テレビ東京系列「ガイアの夜明け」で紹介される。

著書「日本で一番投資したい会社」(アチーブメント出版)
共著「21世紀をつくる人を幸せにする会社」(ディスカヴァー21)

 掲載日:2014年6月3日

 
 
    

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