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地銀の整理統合を急げ

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いわゆるバブル崩壊が日本経済に残した傷跡は深かったが、1990年代後半から2000年代前半にかけて、不良債権処理が終わり、大手都市銀行が3つのメガバンクに統合され経営的に強くなり、一昨年末の安倍政権成立から始まったいわゆる「アベノミクス」の効果でデフレを脱却しつつある。

時間は掛かったが順調な推移だといいたいところだが、一つ大きな未処理案件がある。それは、地域金融機関の整理統合だ。

もともと、金融はサービスの対象がお金であり、地域を単位としてマーケットに参入障壁を作ることは難しい。

また、仮にマーケットへの新規参入を食い止めることが出来ても、競争優位の1位の金融機関が2位金融機関が提供出来るぎりぎりの条件をオファーして競争すれば、1位は儲かりながら、3位以下のマーケットを食って成長出来るといったメカニズムで、3位以下は存続が難しくなるゲーム構造になっている。競争力において地域で3位以下の金融機関は、生き残ることが出来ないと考えるべきだろう。実は、筆者は、日本にメガバンクが3行あるのは、「1行多い」と考えている。

加えて、2040年時点くらいを視野に、多くの地方自治体の「消滅」が現実味を帯びて語られている。人口の動向から見て、地方経済の規模そのものが急激に縮小に向かう地域が少なくないはずだ。「一県一行」は全く経済合理的でない。

メガバンクは収益源を海外に求めることが出来、現実に収益に占める海外部門の比率が上がって来ているが、多くの地方銀行にあっては、追加的な収益源を想定することが難しい。

貸出拡大の困難から預貸率(預金に対する貸し出しの比率)が50%を切って、国債を中心に有価証券運用に資金を回す「国際金融機関」ならぬ「国債金融機関」のような地銀も少なくない。こうした地銀は、今後に生じる金利上昇局面で、急激に財務内容が劣化するリスクがある。

金融行政の観点から地銀の整理統合は待ったなしなのであるが、困ったことに、経営が順調な間は、合併後に主導権を取ることが難しいと考える金融機関は徹底的に合併を避けようとする。民間企業の経営に過剰な干渉はできないが、さりとて、嫌がる者の自主性に任せていては物事が進まない。

今にして振り返ると、バブル崩壊後の経営が苦しい時期に、ビジネス基盤がより脆弱な地銀の統廃合こそを強力に進めておくべきだった。現実には、「そこまで手が回らなかった」ということなのだろうが、金融行政の大きな手抜かりであり、積み残し案件だ。

現在、銀行の自己資本比率規制にあって、国際業務を行う銀行が8%で、行わない銀行は4%でいいことになっているが、後者は収益源の多様化が出来ない分経営的に脆弱なのだから、少なくとも前者並みの厳しさでリスクに対する備えを持たせる必要があるだろう。

もちろん、地銀自身が様々な組み合わせで経営統合を考えて行くことになるだろうが、何れの場合にあっても、障害になるのは人事であり、特に劣位で合併する立場の銀行のエリート層が抵抗勢力になることが考えられる。

長期的には、合併後の銀行人事の成功モデルを作ることが肝心だが、合併を機に退任する役員に「ゴールデン・パラシュート」的な割増退職金を払ったり、あるいは、合併行の行員に対して有利な条件で統合後の株式を買うことができるストック・オプションを与えるなど、意思決定をして、実務を進める行員に対する経済的なインセンティブを一工夫してもいいのではないか。

地銀に対してどうやって合併する気になって貰うかは、金融庁と共に、合併を仲介する投資銀行マンにとっても工夫のしどころだ。

山崎 元(やまさき はじめ)プロフィール
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楽天証券経済研究所客員研究員

獨協大学 経済学部特任教授
株式会社マイベンチマーク代表取締役

1981年東京大学卒業後、三菱商事、野村投信を筆頭に、住友生命、住友信託、メリルリンチ証券、パリバ証券、山一証券、明治生命、UFJ総研など、計12回の転職を経て現職に至る。

ファンドマネジャー、コンサルタント等の経験を踏まえ、資産運用分野が専門。
雑誌やウェブサイトで多数連載を執筆し、テレビのコメンテーターとしても活躍。

掲載日:2014年6月9日

 
 
    

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