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デフレ脱却と株式投資

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景気に対する悪影響が懸念されていた消費税率の引き上げだったが、これまで明らかになっている経済指標などからは、増税前の駆け込み需要からの反動減の動きは懸念されていたほどではないようだ。多くのエコノミストが指摘してきたように、春闘での賃上げなどによって、勤労者世帯については実質的な増税負担はそれほど大きくはないことが大きいと考えられる。

ところで、物価面を見ると、大半の財やサービスで増税分がきちんと価格に転嫁されたようだ。個別に見れば価格が据え置かれたものもあるだろうが、一方で円安や電気代の上昇などによるここ1年間のコスト増加分を、4月1日に価格に反映させるなどする動きもみられたようで、全体としてみれば消費増税分を除いても物価の上昇傾向は続いていると判断される。

増税後の景気の落ち込みが、駆け込み需要からの消費反動減による一時的なものにとどまり、比較的早期に再浮揚し、一方で物価の上昇傾向が保たれるのであれば、年後半にはすでに日本経済はデフレから脱却したのではないかという議論が高まろう。おそらくは、政府は消費税率の第二弾引き上げ(2015年10月:8%→10%)決定に合わせる形で、年内にデフレ脱却宣言を行うと予想される。

デフレとは、物価が下落傾向を辿ることに間違いない。しかしもう一つ、経済規模が縮小傾向を辿る圧力が強まるという側面もある。実際、2013年度の日本の名目GDPは481.7兆円だが、これはデフレ突入直前である1997年度の521.3兆円から▲7.6%も少ない規模である。

ところで、資産価格は中長期的には経済規模(名目GDP)に比例して推移するという性質がある。したがって、成長率が高い国ほど資産価格の上昇ペースも速く、逆に成長率が低い国では資産価格の上昇ペースもマイルドなものになりやすい。

では、デフレの国はどうかというと、経済規模が縮小傾向を辿るなかでは、資産価格にも下落圧力がかかりやすくなり、たとえば株価(より正確には時価総額)にも中長期的には下落圧力が生じることになる。したがって、デフレ下の経済では株式の長期投資は不向きとなる。長く持てば持つほど、株価は投資した時点より下落している可能性が高まるからだ。日本の株式市場では長期投資家がいないと指摘されることが多いが、それは当たり前と言えば当たり前なのである。一方で、短期的には利益を上げる可能性は否定されないので、"投機家"とも揶揄されるような短期投資家の比率が高まり、結果として日本株は短期的な材料に振り回され、不安定な展開が目立つことになる。このような環境では、政府や証券団体が目指すような、投資家の裾野の広がりは困難だ。

ところがインフレになると、名目GDP成長率はプラス傾向に転じ、経済規模は中長期的に拡大しやすくなる。資産価格もこれに合わせて上昇トレンドを描くと考えられるため、株式投資も長期になるほど高いリターンが期待されることになる。長期投資家が増えれば、たとえば一時的な不透明材料などで株が割安な水準にまで下落すれば、中長期的な視点では割安と見て買入を増やし、結果として株価の安定性に寄与することとなろう。そうなれば、将来の資産構成の一つの選択肢として"株"を上げる人も増えてこよう。

このように、デフレ脱却は株式投資という観点でも大きな変化をもたらし、株価形成にもポジティブな影響を及ぼすと考えられる。


嶌峰 義清(しまみね よしきよ)プロフィール
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株式会社第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト

1990年青山学院大学経済学部卒。同年岡三証券入社。岡三経済研究所、日本総合研究所を経て、1998年第一生命経済研究所入社。2011年より現職。日本経済、米国経済など各国経済担当を経て、現在は金融市場全般を担当。


掲載日:2014年6月10日

 
 
    

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