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性的少数者への理解を深める教育を

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1.   否定的な情報やイメージの払拭が急務

10年ほど前に20代の男性から相談を受けたことがある。「僕は男性しか恋愛の対象にできないのですが、それを親に告げるべきでしょうか」と。当時、息子を持つ母親の一人として、息子から私自身がそのように告げられた場合をあれこれ想像し、彼の質問に即答ができなかった。

「人にはいろいろな選択と生き方がある。ご両親が自然にわかる時が来るまで、敢えて言う必要はないかもね。」と答えたように記憶している。「性的少数者」という言葉を耳にするとき、今でもその時の答え方が彼を傷つけたのではないかと考えることがある。

レズビアン(女性に惹かれる女性)、ゲイ(男性に惹かれる男性)、バイ・セクシャル(両性愛者)、トランスジェンダー(性同一性障害)の頭文字を取ったLGBTは、性的少数者(セクシャル・マイノリティ)をあらわす言葉で、心の性、身体の性によってその中身は多様であるとされる。

電通総研が実施した調査(2012年)では、性的少数者の数は人口の5.2%とされ、20人いれば1人の性的少数者が存在することになる。学校や職場に確実に性的少数者がいるはずなのに、その姿はほとんど見えてこない。その背景には性的少数者であることを周囲に知られることで生じる偏見や蔑視に対する恐怖があるのではないだろうか。依然として「変わり者」、「変態」といったネガティブイメージが社会には存在するからである。

2.   性的少数者の多くがいじめを経験

都内の民間団体が実施した調査では、同性愛や性同一性障害などの性的少数者の7割が子どもの頃に、学校で暴力やいじめを受けた経験を持つ。その内容は、「言葉による暴力」(53%)と次いで、「無視・仲間外れ」(49%)が多く、「身体的な暴力」は20%、「服を脱がされるなど性的な暴力」も11%いた。だが被害者の52%が誰にも相談できていない。

こうした課題について、これまで教育の場で基礎的な知識を学ぶ機会はなく、教育現場は「寝た子を起こすな」的な発想で蓋をしてきたが、性的志向の多様性について、どう教えていくかを考慮すべきである。

さらに驚くべき結果もある。性的少数者は家族にも理解されず、子どもの頃から前述のようないじめを受けることで自己肯定感が持てない。職場においても性的少数者をからかうような雰囲気があり、LGBTというセクシャリティ(性)についての話題がタブー視されるなど、目に見えない圧力がかかっている。
性的少数者であることが周囲に分かった時に、職場での孤立、就職・昇進差別、解雇等にあう恐れがあって、自分を隠し続ける中で、緊張、孤立、ストレスがあり、精神面に悪影響が出やすい。 こうした生きづらさからメンタルヘルスの問題を抱え自殺リスクが高くなるという。LGBTの排除によって個人の尊厳が保てないことはもちろんのこと、従業員のモチベーションやメンタルへルスの問題が生じることで企業の生産性にも影響が出てくる。

3.   性的少数者を企業のダイバーシティ(多様性)戦略の中に

日本には性的少数者を守る法律はまだない。ある米国企業の人事担当者に聞いたところでは、LGBTであることを会社に申告し上司に理解を求めることも出来るそうだ。だが、日本ではまだLGBTの存在についての理解が希薄で、職場の差別禁止規定の中にも性的指向、性自認等は含まれない。家族手当や配偶者のための健康診断補助など、異性のパートナー間では使える福利厚生が、同性のパートナーには使えないなどLGBTにとっては機会の不平等が生じている。まずは人事部門や労働組合、所属する組織と契約を結んでいる医療機関等で性的少数者に関する知識と理解を深めるべきである。

「ダイバーシティ(多様性)」の基本概念は、個々人の「違い」を尊重し受け入れること、職務に関係のない特質を無視し、個人の、成果、能力、貢献だけを考慮することであり、「違い」に係わらず、全社員の能力を最大限発揮させることが求められている。

企業は性的少数者の問題をダイバーシティー戦略の一環として捉え、性的少数者に差別や不利益を生じさせない対応策に着手すべきである。

白石 真澄(しらいし ますみ)プロフィール
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関西大学教授

1987年 関西大学大学院修士課程 工学研究科 建築計画学専攻 修了
(株)西武百貨店、(株)ニッセイ基礎研究所 主任研究員を経て、2002年4月より東洋大学経済学部 社会経済システム学科教授
専門テーマは「バリアフリー」、「少子・高齢化と地域システム」


掲載日:2014年6月11日

 
 
    

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