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「投資はなくしてもかまわないお金で」と言われたら信用してはいけない

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「投資はなくしてもかまわないお金で」というもっともらしいウソを疑え

前回「投資はまとまったお金で」というアドバイザーはウソつきだ、という話をしましたが、投資についてもうひとつ悪いウソがあります。

それは「なくしてもかまわないお金で投資しましょう」という台詞です。

私たちが投資について話を聞くときよく、「投資はなくしてもかまわないお金で行いましょう」という台詞を耳にしたり、書籍で目にします。確かに投資は元本割れする可能性があるわけですから、なくしてもかまわないぐらいの覚悟が必要なのかと納得してしまったりします。

しかし、もっともらしい台詞ほど、疑ってかかるべきで、こうした言説はウソの類いです。

このウソを軽々しく口にする金融機関の職員やファイナンシャルプランナーは投資についてちゃんと説明する能力がないことを露呈しているといっても過言ではありません。

普通の人には当然、お金持ちであろうと「なくしてもかまわないお金」などない

そもそも疑うべきポイントは「なくしてもかまわないお金」なんてないということです。普通の人にとって、なくしてもかまわないお金などありません。富裕層であっても、なくしてもかまわないお金はありません。

宝くじや競馬で当たった一時的な資産であろうと、「ぱーっと使おう」という目的があるはずで、なくしていいお金ではないはずです。

老後のための資産運用なども「なくしてはいけないお金」ですから、リスクを取ってはいけないことになってしまいます。しかし、私たちはリスクを取ってお金を増やす努力が必要です。

実は、なくしてもかまわないお金、というキーワードを口にした人たちは、それによってラクになるのです。そう。あなたに投資商品を販売する人か、投資についてアドバイスを行う人々です。

彼らは、あなたに投資の提案を行ったり金融商品を販売する際、元本割れした場合に後日クレームを受ける可能性があります。もちろん投資ですから元本割れの可能性を受け入れたうえで購入しなければならないのですが、説明が不十分であった顧客から後で怒られる可能性を排除する「言質」を取りたくなります。それが「なくしてもかまわないお金で投資」なのです。

私たちは「なくしてもかまわないお金で投資をしてください」といわれて、軽く「そうですね」と頷いてはいけないのです。

そもそも全損する投資はあまりない

次に疑って欲しいのは「そもそも全損する投資はあまりない(あるいは避けられる)」ということです。公的年金運用(GPIF)では、日本株の期待リターンを4.8%、リスクを22.48%としています。これはつまり、3分の2くらいの確率で27.28%~-17.68%のブレ幅があるということです。大きな損失であっても20%のマイナスで下げ止まります。

これはインデックスで運用した場合ですから、個別の株式であればリスクはさらに大きくなります。しかし、1月あたりでもっとも値下がりした個別銘柄はだいたい50%下がるくらいで、せいぜい月に数銘柄くらいです。「なくす」とまではいきません。

上場廃止となる企業であっても、上場廃止日まで売り買いができますから半額くらいで手放すことは十分に可能です。最終日でも90%下げくらいで手放せることでしょう。

完全に全損する可能性があるのは信用取引を行って3割以上の損失が生じた場合や、10倍以上のレバレッジでFXを行い10%為替が振れた場合などでしょう。しかし、こうした投資は行わなければいいだけのことです(初心者に勧められることはまずありません)。

つまり「なくすかもしれない投資」を簡単に口にする人はちゃんと投資の実態を知らない可能性があります。ますます信用に値しないことになります。

「○割ならなくしてもいい」にレベルアップしよう

「なくしてもかまわない」からステップアップするには「○割ならなくしてもかまわない」を具体化していくしかありません。

「国内に投資をする株式投資信託、買ってみようと思います。年率20%の損失がありうる投資対象であることは理解したうえで投資をするなら、いくらぐらい購入するのがいいでしょうか」と、もしあなたがたずねて、具体的な投資額について議論ができれば、そのアドバイザーは相談相手としてアリです。

きちんと分散投資をした例として、公的年金運用や企業年金運用をみてみると、公的年金ではリーマンショック後の年度に-7.57%、企業年金では-18.34%の損失が生じました(この差は株式投資比率および海外投資比率の多少による)。このあたりが分散投資した最悪のケースとして想定できます。

分からない場合は「どれくらい損失可能性があるのか」を率直に聞いてみるのもいい方法です。投資でどれくらいの損失可能性があるのかも示せず「なくしてもかまわないお金」なんていう相手とは取引する必要はありません。

ちゃんとリスク管理を行えば、投資は「なくすか、増やすか」ギャンブル的なものではなく「一定の損失を覚悟しつつ中長期的には増えていく可能性が高い」ものになっていきます。

もっともらしい「なくしてもかまわないお金で投資」にダマされないようにしてください。

山崎 俊輔(やまさき しゅんすけ)プロフィー
過去コラム一覧


1972年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。AFP、消費生活アドバイザー、1級DCプランナー。

企業年金研究所、FP総研を経て独立。商工会議所年金教育センター主任研究員、企業年金連合会調査役DC担当など歴任。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。
論文「個人の老後資産形成を実現可能とするための、退職給付制度の視点からの検討と提言」にて、第5回FP学会賞優秀論文賞を受賞。近著に『お金の知恵は45歳までに身につけなさい』(青春出版社)。日経新聞電子版「20代から始める バラ色老後のデザイン術」など連載多数。
投資教育家として、twitterでも4年以上にわたり毎日「FPお金の知恵」を配信するなど、若い世代のためのマネープランに関する啓発にも取り組んでいる(@yam_syun)。

ホームページ: http://financialwisdom.jp

掲載日:2014年6月12日

 
 
    

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