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シェール革命は世界のエネルギー地図を塗り替えるゲームチェンジャー

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世の中の流れを一気に変えてしまう人物や出来事のことを英語で「ゲームチェンジャー」という。

例えばiPadはパソコンの風景をすっかり変えてしまった。最近のゲームチェンジャーといえばやはりシェールだろう。といってもアカデミー賞とグラミー賞をダブル受賞した米女性歌手シェールではない。地下深くに存在するシェールガス・オイルである。なにしろ世界のエネルギー地図を一気に塗り替えただけでなく、国際的なパワーバランスまで大きく変えようとしているから日本にとっても他人事ではない。

大量のシェールガス・オイルが米国などに存在していることは専門家の間ではずいぶん前から知られていた。しかし地下数千メートルに頁岩(シェール)の極小の隙間に閉じ込められているため、採掘はとうてい不可能だと思われてきた。ところが米国企業が画期的な採掘技術の開発に成功したため、早晩枯渇するといわれていた化石燃料の寿命が一気に400年以上伸びたのである。これがシェール革命といわれる所以だ。

いちばん喜んだのはもちろんシェール層が国土のほぼ全域に広がっている米国である。産業の生命線である石油・天然ガスを中東に依存する必要がなくなるどころか、2020年頃にはエネルギー輸入国から輸出国に変貌する可能性も出てきたからだ。

一方、苦境に立たされるのは先進国に石油や天然ガスを売りつけていた中東産油国。なにしろこれまで上顧客だった米国が突然最強のライバルになろうとしているのだから大変だ。慌てて欧州諸国に安値で売り込もうとしている。そうなると次に困るのがこれまで欧州に高値で天然ガスを輸出してきたロシア。こちらも慌てて地理的に近い中国・韓国や日本に売り込みをかけている。シェールガス・オイルはまさに世界のエネルギー勢力地図を塗り替えるゲームチェンジャーなのだ。

しかし先行きはじつはかなり不透明だ。今がチャンスだとみた多数のベンチャー企業が参入して生産競争に走ったため、供給過剰で大幅な価格低下を招いているからだ。天然ガスの指標価格であるヘンリーハブ価格は2008年の12.17ドルだったが2012年には3ドル以下にまで下落してしまった。消費者にとっては朗報かもしれないが、8ドル程度まで価格が回復としないと事業として採算がとれないので「生産すればするほど赤字になる」構造だ。それだけではない。伝統的ガス田や油田の可採年数が数十年であるのに対して、シェールガス・オイル田は産出量が数年で激減するため可採年数は2~3年しかないことが分かった。つまり期待と現実のギャップが拡大しているのだ。このままではシェール革命はシェールバブルに終わってしまうかもしれない。

しかし、ことは日本にとっては思案の為所だ。なぜなら日ロ関係が前進する可能性があるからだ。ロシアでは同国の最大の輸出商品である天然ガスの値崩れ不安が広がり、「シェール革命の亡霊」(英エコノミスト誌)に怯えている。ならば日本はその不安を北方領土問題の解決と平和条約の締結に向けて利用しない手はない。この秋に来日が予定されているプーチン大統領は日ロ双方に利益がある解決策を模索している。モスクワでの森喜朗元首相との会談で彼自身が「引き分け」という言葉を使ったのはそういう意味だと説明している。思わぬところでシェールガス・オイルが日ロ関係のゲームチェンジャーになるかもしれない。

蟹瀬 誠一(かにせ せいいち)プロフィール
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ジャーナリスト・キャスター、明治大学国際日本学教授

(株)アバージェンス取締役、(株)ケイ・アソシエイツ取締役副社長

掲載日:2014年6月19日

 
 
    

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