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ピンハネ金融時代の終焉(2)

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リーマンショックの教訓

2008年9月、米大手投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻しました。原因はサブプライムローンの在庫を大量に抱えたまま、資金繰りに窮してしまったことです。

信用力を欠いた資産を集めてパッケージし、確率統計学のマジックで糊塗したまやかしの金融商品は、それが張子の虎であると発覚した途端、誰も見向きもしなくなり、かき集めた原資産を証券化し多額の手数料を差し引いての横流しを繰り返していたリーマン社に、誰も資金を融通しなくなってしまったことの顛末でした。

ところがリーマンショックは、リーマン単体への不信にとどまらなかったのです。他の大手投資銀行も同じ穴のムジナであろう!さらには大手商業銀行だってそうした張りぼて金融商品を抱え込んでいるのでは?と金融機関同士が疑心暗鬼の連鎖反応を起こしてしまいました。

相互の信用で成り立っている短期金融市場に不信が充満して、日々の資金融通が完全に麻痺してしまったのです。これがリーマンショック後に世界の金融市場を襲った金融危機。リーマン倒産から数カ月に亘って、世界中のマネーの流れが滞ってしまったのです。

マネーゲームに酔いどれた輩が鉄槌を食らうだけの因果応報をはるかに超えて、金融機能の不随が実体経済活動をも停止させてしまうことになったわけで、この苦汁の体験はグローバル金融システムを再考させる、甚大なる教訓を世界に与えたのでした。

世界の次なる課題

この未曽有の金融危機を収束させるため、米国の中央銀行であるFRBのバーナンキ議長(当時)が有意決行したのが、QE(量的金融緩和)と呼ばれる斬新な金融政策でした。インチキ金融商品のとばっちりを受けて、実体ある金融商品まで取引されなくなってしまった、ならばそれらを中央銀行であるFRBが自ら買い上げようではないか!と決断し、米国債のみならず売り叩かれて買い手不在となった米住宅ローン債権までも、FRBがひたすら買い支える側に立ったのです。

リーマンショックから半年ほどたってようやく金融不全が解消して、実体経済活動にも資金が回るようになり、更には半値になった世界中の株式市場も、2年後には危機前の水準に回復したのでした(但し日本だけは回復まで更に2年を要しましたが)。

金融危機から5年を経て、世界経済は日本も含め成長軌道を回復させる一方で、米国が主導し日欧先進国が追随する形で今も続く量的金融緩和政策によって、世界中に巨額のマネーが供給され続ける状況が、世界の金融市場に次なる課題を突き付けています。

行き場を求めて彷徨う(さまよう)余剰マネーは投機化して、新興国市場を出たり入ったりで席巻し、或いはユーロ危機の端緒となった南欧諸国の国債が再び買い進められるなど、本来ならインフレに導くはずのジャブジャブ金融政策が、必ずしも実体経済を惹起させる効果につながらず、資産バブルを生じさせる懸念を高めているのです。

グローバルなトレンド

この過剰流動性を放置すれば、再びいつか来た道。第二のリーマンショック→金融危機が再現されてしまいます。彷徨する余剰マネーは実体経済の成長を上回る高いリターンを求めて投機化し、それは金融業者のピンハネ意欲を再び高揚させることは必定でしょう。

6年前の危機を教訓に、世界は実体経済活動を守る為の金融システムと、マネーゲームによる翻弄は金融機能の障害であるとした勧善懲悪的な金融秩序の再構築へと、議論を本格化させ始めています。

世界経済は先進国(G7)のみで語れなくなって久しいですが、金融市場も同様、新たなる枠組み(G20)がプラットフォームとなっての、グローバルな金融構造改革が主要国中央銀行や金融当局間で進んでいて、日本からは金融庁と日銀が参画しています。その話し合いの場がFinancial Stability Board(通称FSBまたは金融安定化理事会)で、2009年のG20ロンドンサミットで創設された国際会議体です。

バーゼルⅢ、シャドーバンキング、SIFI・・・等々難しい専門的議論が進められていますが、要するに大手商業銀行を本来の産業金融の役割に特化させると共に、大銀行が金融システムを揺るがすことのないよう監視を徹底させる。そして投資銀行やヘッジファンドなど巨額の投機マネーを操り市場かく乱をもたらす業態の行動を、金融システムによって規制し掌握して行く、といった目的のための国際ルール作りを行っているのです。

世界は今やはっきりと、金融という産業は性悪説を前提として、断固として実体経済活動を損なわぬよう、協調して行動して行こうという潮流になりつつあります。

金融の原点回帰

金融の社会的役割とは、マネーがマネーを生み出すマネーゲームであるはずもなく、あくまでも産業界や生活者が必要とする資金を供給して行く社会インフラであり、即ち金融の存在は経済活動の裏方に過ぎないのです。そして実体経済活動が生み出す成長によって、利益分配を受けるのが金融業の事業リターンでありましょう!

そうした社会的機能に向けた原点回帰こそが、世界の金融システム改革のメガトレンドです。リーマンショックがもたらした100年に一度の危機から学んだ新たなるグローバル金融秩序とは、他人の懐から利益を貪る(むさぼる)ピンハネ金融を峻別して、経済活動や実体社会生活を支える裏方金融の存在を厳格に守ることに最優先順位を据えることにほかなりません。

我が国金融業界の現状からは、残念ながら未だそうした変化を見出しにくいですが、日本の銀行業界・証券業界に、そして資産運用業界にも早晩、このグローバルスタンダードの洗礼が浴びせられることは間違いありません。

中野 晴啓(なかの はるひろ)プロフィール
過去コラム一覧

セゾン投信株式会社 代表取締役社長http://www.saison-am.co.jp/

1963年東京生まれ。1987年明治大学商学部卒。同年、株式会社クレディセゾン入社。セゾングループの金融子会社にて債券ポートフォリオを中心に資金運用業務に従事した後、投資顧問事業を立ち上げ運用責任者としてグループ資金の運用のほか外国籍投資信託をはじめとした海外契約資産等の運用アドバイスを手がける。その後、(株)クレディセゾン インベストメント事業部長を経て2006年セゾン投信(株)を設立、2007年4月より現職。米バンガード・グループとの提携を実現させ、現在2本の長期投資型ファンドを設定、販売会社を介さず資産形成世代を中心に直接販売を行っている。また、全国各地で講演やセミナーを行い、社会を元気にするための活動を続けている。

公益財団法人 セゾン文化財団理事
NPO法人 元気な日本をつくる会理事

著書
『運用のプロが教える草食系投資』(共著)日本経済新聞出版社
『積立王子の毎月5000円からはじめる投資入門』中経出版
『投資信託は、この8本から選びなさい。』ダイヤモンド社
『定年までにいくらあれば生きていけるか』アスキー新書
『20代のうちにこそ始めたいお金のこと』すばる舎
『30歳からはじめるお金の育て方入門』(共著)同文館出版
『年収500万円からはじめる投資信託入門』ビジネス社
『投資信託は、この9本から選びなさい。』ダイヤモンド社  等

ブログ「積立王子のブログ」 http://ameblo.jp/saisonam/
HP「社長対談"今"を変えるチカラ」 http://www.saison-am.co.jp/taidan/index.html
Facebookアカウント https://www.facebook.com/haruhiro.nakano.3
twitterアカウント@halu04

掲載日:2014年6月24日

 
 
    

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