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「セクハラやじ」だけじゃない!急増するハラスメント相談が示唆する日本の職場の今後

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6月18日に起こった都議会での女性議員に対する男性議員の「セクハラやじ」の問題が今、メディアで大きく取り上げられている。今回のやじは女性蔑視も甚だしいセクハラ発言だが、セクハラはもちろん、ハラスメント全般の問題が政治の世界だけではなく、企業現場でも見過ごせない状況になっている。

厚生労働省がまとめた平成25年度の民事上の個別労働紛争相談の内訳は、いわゆるハラスメントと呼ばれる『いじめ・嫌がらせ』が59,197件と最多で、昨年比で14.6%も増加している。その他の相談内容で『解雇』が43,956件で昨年比14.7%減少、『労働条件引き下げ』については30,067件で昨年比11.5%減少していることからも、ハラスメント相談が特に増加傾向にあることがわかる。

なかでも「パワーハラスメント(パワハラ)」が近年、問題視されるようになってきている。その背景には何が考えられるのだろうか。厚生労働省が2012年にまとめた「職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」によると、パワハラが増えた、もしくは変わらずパワハラが存在する理由として上位にきたものは、以下の通りである。

①パワハラへの関心が高まった
②仕事のストレスが増えている
③パワハラについて相談しやすくなった
④仕事の負担が増えている
⑤価値観が多様化している
⑥職場のコミュニケーションが少ない

①「パワハラへの関心が高まった」と③「パワハラについて相談しやすくなった」については、近年のメディアでの訴求や厚労省の啓発、相談体制の強化などによりこれまで潜在化していたニーズが表面化したことは確かだろう。「職場のいじめ、嫌がらせ」は古くて新しい問題でもある。実際、当社が提供するEAP(従業員支援プログラム)の相談窓口でも、各テレビ局が一斉にパワハラのことを報道した翌日以降は、「自分も放送を見て該当すると考えた」といった相談が入ることもあった。

また、企業経営者やマネジメント層は、②仕事のストレスが増えている④仕事の負担が増えている⑤価値観が多様化している⑥職場のコミュニケーションが少ない、といった理由に注視すべきではないだろうか。ハラスメントの問題は表面化する労働紛争であるよりも、むしろダイバシティーが進み、職場で多様な価値観を持った人材が増えていく中で生じうる問題の一つと捉えたほうが適切である。競争環境がグローバル化し、仕事の負荷が益々高まっている中で、社員のストレスも増加している。当然、ストレスの高い職場では、潜在化していた問題や軋轢、価値観の相違によるトラブルが顕在化しやすい。

今後、日本国内の職場でも性別・国籍を問わずダイバシティーが益々進んでいくだろう。ワークスタイルにおいても、生産性を上げていくためにクラウド環境やモバイルツールを活用した遠隔コミュニケーションも進んでいくのだが、その一方で、対面コミュニケーションはさらに減っていくことが予測できる。こういった変化の過程で、ハラスメントの問題は当然増加していくと考えられ、ハラスメントの形態も多様化、複雑化していくはずである。遠隔コミュニケーションが増えることで、メールやSNSを駆使した上司・部下間のコミュニケーション頻度が高まるため、当然、価値観に相違のある上司・部下間でのメールやSNSでのコミュニケーションにおいてもハラスメント的なトラブルも増加していくだろう。

経営者はセクハラ、パワハラ問わず、ハラスメントが職場で起こっているか?という問いに対し、数値や傾向をどう見るべきか?------ハラスメントの有無は、ダイバシティー化する組織構成メンバーの価値観の相互理解や尊重が適切に進んでいるか、組織の生産性やメンタルヘルスが健全であるか、といった「経営課題に対する適応状況のリトマス紙(代理指標)である」という視点を持つべきであり、遅れを取っている職場は積極的に改善に努めるべきである。

荻原 国啓(おぎわら くにひろ)プロフィール
過去コラム一覧

ピースマインド・イープ株式会社代表取締役社長

慶應義塾大学経済学部卒。在学中より人事コンサルティング会社新規事業開発や、新卒人材紹介事業等、人事マネジメント分野に従事後、(株)ピースマインド代表取締役社長(1998年創業~2011年3月)を経て現職。

日本国内最大規模のEAP(従業員支援プログラム)提供企業としてEAPやメンタルヘルス支援など、心理学・行動科学の専門性を活かした人と組織に関わる支援とコンサルティングを550以上の組織に展開。精神保健福祉士・産業カウンセラー・心理相談員。日本の起業家を世界に輩出する唯一の世界的起業家表彰制度EOYjapan2008セミファイナリスト。日本の次世代若手ベンチャー起業家を称える表彰制度DREAM GATE AWARD2008受賞。『クリックからはじめる自殺予防支援』代表世話人。

専門分野は人事・組織マネジメント、人材開発、EAP(従業員支援プログラム)、ストレスマネジメント、メンタルヘルス、震災ケア、レジリエンス、クライシスケア、ソーシャルビジネス等。

著書:『レジリエンス ビルディング――「変化に強い」人と組織のつくり方』(英治出版)

掲載日:2014年6月26日

 
 
    

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