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"もったいない" NISA

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NISA(少額投資非課税制度)は3つの面で"もったいない"と思います。最も使ってほしい現役世代がNISAを使いきれておらず"もったいない"って思うこと、その現役層、なかでも若年層が自身の大切な武器である「時間」を有利に活用しない"もったいなさ"、そしてNISAの制度自身がまだまだ中途半端で"もったいない"状況であることです。


若い人が使わないのは"もったいない"

NISAは現役層にまだまだ使われていませんが、使っていない人には3つのタイプがありそうです。NISAを知らないから使っていない人、NISAを知っていてでもどう使えばいいのかわからない人、そしてNISA口座を開設したのにまだ使っていない人です。

6月に金融庁が発表した3月末のNISA口座開設数は650万件で、そのうち現役世代は4割、261万人でした。口座開設者がすべて働いている人と仮定して、就業者6,389万人をベースに同率は4.1%となります。これをフィデリティ退職・投資教育研究所が2014年4月上旬に行った勤労者3万人アンケート(全国、20-59歳の男女、3万2,494人の回答、)の結果と比べてみましょう。口座の開設率はアンケートでは15.0%と実数値の3.6倍とかなり上振れしています。また口座開設者のうち実際に口座内で買付を行った比率はアンケートでは59.1%で、日本証券業協会発表資料による22.8%と比べ、こちらは2.6倍。だいたい3倍のインターネットアンケートによるバイアスがあると思われますが、これを承知で相対比較するといろいろなことが理解できます。

まずは認知度です。アンケートではNISAを知っていると回答した人は54.2%でしたから、バイアスで実数値の3倍になっているとすれば、実際は18%くらいしか認知していないことになります。現役世代の8割がNISAを知らないわけで、まだまだNISAの認知度向上キャンペーンが必要です。ちなみに、4月からの消費税の増税、そしておそらくもう一度の消費税増税、今年からの投資優遇税制廃止、来年からの相続税の増税と増税が相次ぐ中で、唯一の減税である少額投資非課税制度NISAを知らないなんて"もったいない"と言いたいものです。

アンケートでは、NISAを知っていてNISA口座を開設していない人が39.2%いましたから、これも3分の1くらいと想定すれば、勤労者の14%程度は知っているにも関わらずNISA口座を開設していないと推計されます。この人たちには、せっかくNISAのことがわかっているのに、使わないなんて"もったいない"と伝えたいと思います。ただ、39.2%のうち11.7%分は「まだ開設していないがNISA口座を開設するつもり」と答えており、年内の非課税枠100万円は来年に持ち越せないので、年内に使わないと"もったいない"ことを訴求したいところです。

さらにNISA口座を開設したのにまだ買い付けていない人も日本証券業協会発表資料では8割弱もいました。こちらもまさしく来年に持ち越せないので、年内に使わないと"もったいない"人たちでしょう。


時間を有効に使わないのは"もったいない"

ところで、現役層にNISAを使ってもらうためには、現役層が投資の際に持っている大きな武器、「時間」をうまく使ってほしいものです。例えば退職までにといった、資産運用の目標にするタイミングまでに長い時間があることから、積立投資でじっくり資産を育てることができるからです。しかし、実際にその武器を認識して活用している現役層は多くいません。

例えば、前述のアンケートでも、時間分散の効果を理解している人の比率は21.1%と、長期投資の理解度33.5%、分散投資の理解度36.0%と比べていかにも低い状況です。もちろん、NISA口座内で積立投資を行っている人の比率は、口座内で実際に買付をした人の5分の1以下です。少額投資非課税制度NISAを使うのに、資金がないからというのではなく、少額で投資ができる積立投資を有効活用しないと"もったいない"と言えます。


制度の制約からNISAを使いきれないのは"もったいない"

とはいえ、NISAそのものを考えると、積立投資を促進する制度設計になっていない点も気になるところです。NISAは制度自体が2023年までの10年間しか口座を開設できませんし、資金の拠出もできません。そのため20代、30代の人が投資を続けていこうと考えても、この非課税制度は当初の10年間しかサポートしてくれないのです。さらに非課税期間は5年間と定められており、投資してから5年経つと非課税の恩恵も受けられなくなるのです。せっかく現役層の資産形成を目的に導入された制度なのに、現役層が使いにくい設計では"もったいない"限りです。

現在、2015年度の税制改正大綱にNISAの改正を盛り込もうと議論が進められているところですが、拠出枠の引き上げよりも、制度の恒久化が優先的に行われる必要があります。

 

野尻 哲史(のじり さとし)プロフィール
過去コラム一覧


フィデリティ投信 フィデリティ退職・投資教育研究所所長

一橋大学卒業後、内外の証券会社調査部を経て、2006年からフィデリティ投信株式会社 フィデリティ退職・投資教育研究所所長。大規模なアンケート調査をもとに投資家への提言をするなど、投資教育に従事。

退職金は何もしないと消えていく」(2008年) 、「老後難民 50代夫婦の生き残り策」(2010年)、「40代のサイフ」(宝島社、2012年)、「50歳から始めるお金の話」(2013年2月、小学館文庫)など著書も多数。

現在、日本アナリスト協会検定会員、日本FP学会、日本証券経済学会、行動経済学会などの会員。

 

掲載日:2014年9月1日

 
 
    

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