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タイランド・ベストフレンド・フォーエバー 観光にかける国家のあり方とは

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クーデターや反政府デモなどの政情不安で観光客が激減したタイで、去る2014年7月25日、首都バンコクの中心地を会場に、国家的なイベント「タイランド・ベストフレンド・フォーエバー」が開催された。
世界40カ国以上の観光関係者約1,000人が出席し、そのうち約100人が日本から招かれた。参加したのは日本津々の旅行会社やメディア関係者らで、オレンジ色の法被(はっぴ)を身にまとい、オールジャパンでタイの観光復興に気勢を上げた。
   
 

軍が政権を掌握せんとしたのは、2014年5月下旬のことである。タイ全土に戒厳令がしかれた。戒厳令と聞けば、かつての台湾を思い出す。その時代、台北を訪ねたことがあるが、街のいたるところに銃装備の兵士が立ち、写真の撮影すら許されなかった。この異常な事態に日本では、タイへの渡航が自粛され、夏の最盛期を目前に旅行キャンセルが相次いだのである。
イベントの席上、安全宣言を行ったのは、クーデターで全権を掌握した国家平和秩序評議会(NCPO)の海軍大将である。警備体制のさらなる充実と旅行者の安全の確保を約束して、タイへの来訪を訴えた。
すでに夜間外出禁止令は解除されており、バンコクの街は平穏を取り戻していた。イベントは会議場のみならず、バンコクの目抜き通りでも行われた。参加者がそれぞれ手にした風船をバンコクの夜空に向けて一斉に放つとき、オープンカーによるパレードが繰り広げられ、沿道には金銀の紙ふぶきが舞った。タイらしい演出だった。

「安心、安全であることを、その目で確かめてほしい」。そう言ってタイ国政府観光庁が選んだ視察先は、王宮や涅槃像の寺院ワット・ポーなど意外にも、バンコクの象徴的観光地だった。誰もが一度は行った場所。その行く先々が、多くの外国人観光客でごった返していた。だが残念なことに、日本人観光客の姿は見当たらない。
そのときふと、東日本大震災の発生で外国人観光客が落ち込んだときのことを思い出した。

原発による風評被害で外国人観光客数が落ち込むなか、一早い回復をみせたのが、台湾、そしてタイからの来日だった。親日的なタイの人たちが当時、温かくも惜しみない支援の手をさしのべてくれたことを忘れずにはいられない。とりわけ被災地・仙台(宮城)は、かねてからタイとの交流がさかんだったことから、震災から3年待たずして仙台空港にバンコク直行便が就航するなど、日タイの絆は深まりをみせていた。

タイ人旅行者の日本における旅行消費額は、アセアン6カ国のなかでもっとも高い。2013年7月のビザ緩和を追い風に、多くのタイ人が日本を訪ね、地方経済にも恩恵をもたらした。来る2014年10月1日から実施される免税品目拡大が、さらなる恵みを運んでくるに違いない。

永遠に、最良の友だちでありたい。

未曽有の震災に見舞われた当時の日本を、支えてくれたタイ人たちのご恩に報いるときがきている。われわれもまた、タイへの渡航や旅行商品の造成を積極的に再開せねばならない。
また、製造業を中心に現在、多くの日系企業がタイに進出しているが、自動車や家電製品などタイ人の個人消費には、近ごろ翳りが見え始めている。彼らのライフスタイルが速くも変化を遂げ、海外旅行が今、タイの人たちの一大関心事だ。ちなみに、目的地の人気ナンバーワンは日本。日本をリピートする観光客が増えている。

2020年東京五輪の開催を控え、観光にかける国家のあり方を、私たちも真剣に考えなければならないときにある。タイにおける安全宣言のための国家予算の発動やその時機、手法もさることながら、重要なのは双方向の交流である。日本が観光立国をめざすうえで、双方向は欠かせないキーワードなのである。

千葉 千枝子(ちば ちえこ)プロフィール
過去コラム一覧

観光ジャーナリスト 横浜商科大学講師
中央大学経済学部インターンシップ科目国際観光コース客員講師
特定非営利活動法人(NPO)交流・暮らしネット理事長

中央大学卒業後、富士銀行に入行。シティバンクを経て、JTBに入社。96年有限会社千葉千枝子事務所を設立。運輸・観光全般に関する執筆、講演活動を行いラジオ、テレビにも多数出演。神奈川県観光審議会・沖縄県感動体験戦略検討委員会・釜石食ブランド開発検討協議会などの委員。日本観光研究学会、日本観光ホスピタリティ教育学会、日本旅行業女性の会、日本旅行作家協会会員。ファイナンシャルプランナー、総合旅行業務取扱管理者を有する。著書に「JTB 旅をみがく現場力」(東洋経済新報社)、「観光ビジネスの新潮流」(学芸出版社)など多数。

ブログ(毎日更新)「旅のエクセレンス」
公式ホームページ「Long Stay Style」

掲載日:2014年9月16日

 
 
    

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