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広がる生活支援ロボットの可能性

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1. ロボットが担う範囲は無限
「オタク」を自称するフランスの友人が新宿の「ロボットレストラン」に行き、その様子を興奮気味に伝えてきた。ガンダムのような人型ロボットが食事を運んでくるのかと思いきや、総工費100億円とも言われる大型ロボットが電飾だらけの店内に配置され、女性がショーを繰り広げる店らしい。海外メディアで紹介されたため来場者の多くが外国人で、経済産業省所管の「クールジャパンマッチンググランプリ2013」の第一位に選ばれたレストランという。

ロボットと言えば製造ライン向けの産業機器を想像しがちであるが、人命救助、水中探索、災害・宇宙・軍事用などその用途は広い。ロボットとは1920年にチェコスロバキア(当時)の小説家が初めて用いた言葉で、その語源は強制労働を意味するrobotaが起源であるとされる。人間・人命尊重の観点から、人の代わりに何等かの作業を行う装置と考えてよいだろう。最近では数百万台も売れた自動掃除機や人とのコミュニケーションを行うペット型のものも普及し始めている。

政府も成長戦略の一環としてこのロボットに注目し、ロボット改革実現会議を立ち上げ、2020年までに製造分野の市場を現在の2倍、非製造分野は20倍に拡大する計画を打ち出した。

2. ロボットと人は共存できるか
産業用ロボットやその他の分野においても、人間が指示・号令を出し、ロボットが忠実に動く、人間の補完的機能をロボットが持つということがこれまでの流れであった。しかし、ここに米国マサチューセッツ工科大学の人工インテリジェンス研究所による面白い研究結果がある。2人の従業員とロボット1台を1チームにして、「ロボットが指示を出す」、「人間が指示を出す」、「人間とロボットの両方が指示を出す」という3通りの労働パターンを実験したところ、全ての指示をロボットが出すほうが生産効率が向上することがわかった。人間の作業者にも好評で、「ロボットの方が自分たちのことをよく分かっている」という声も得られた。まるで人間の知能を上回ったロボットが人間社会を征服するSF映画のようだが、ロボットの指示や動きが正確で人間の期待通りである限り、文句が多く相性の合わない人間の上司より、感情を表にあらわさないロボットのほうが良いということなのかもしれない。

この実験のようにロボットが指示を出し、人間がそれに従って動くことが生産現場での最適性をもたらすならば人間には能力開発やマネジメントのモチベーションが高まらないし、人間はロボットに指示を出される環境に飽きてくる。人間とロボットがどのように役割分担するのか、開発コストや人件費などの経済合理性や心理面での影響も考えてロボット社会の構想を練る必要がある。

3. まずは重点分野を決めて研究を
すでに生活支援分野においてもハウスメーカーなどが動物や人間の形をしたコミュニケーションロボットや介護支援ロボット誕生させている。前者は高齢者や自閉症の子どもたちとのコミュニケーションに役立ち、要介護者が寝たまま使える排泄時の自動洗浄装置などである。一人暮らし高齢者や要介護者が増加するなか、こうしたロボットへの期待は益々高まるが、それぞれの価格は20万円、60万円と高く、広く普及するには価格の低減化が課題となる。またある老人ホームでは介護従事者の腰痛防止を目的に、ホームの天井にレールを敷設し、高齢者の排泄時にベッドからトイレまで高齢者を椅子に座らせて移動させる機器を設置している。しかし、「介護は人間の手が一番」といった福祉の現場の理念や、高齢者が怖がることや時間がかかることなどの理由でほとんど使われていない。

運送業、農業、介護など、雇用者の平均年齢の上昇や人手不足が懸念される業界で、省力化や合理化のためのロボット開発が急がれるが、ロボットが期待通りに活躍するためには、現場のニーズを吸い上げるマーケティング、ロボット工学、医療、電子工学、ソフトウェアなどの異分野の専門家の知恵の結集が望まれるところである。

白石 真澄(しらいし ますみ)プロフィール
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関西大学教授

1987年 関西大学大学院修士課程 工学研究科 建築計画学専攻 修了
(株)西武百貨店、(株)ニッセイ基礎研究所 主任研究員を経て、2002年4月より東洋大学経済学部 社会経済システム学科教授
専門テーマは「バリアフリー」、「少子・高齢化と地域システム」


掲載日:2014年9月29日

 
 
    

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