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観光は地方経済活性化の柱~訪日外国人増加のチャンスを生かせ

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大阪の大学での授業のため毎週のように新幹線で東京と大阪を往復していますので、その移動中は本を読んだり居眠りしたりと、なるべく時間を有効に使うことを心がけていますが、そんな中での楽しみの一つが「景気ウオッチング」です。車内の様子や乗客の動きから景気の変化を実感することがよくあります。

最近は明らかに乗客が増えていますが、その中でも目立つのが外国人の姿です。中国人らしきグループ、欧米からの(?)家族連れなどさまざまですが、やはり京都で乗り降りする人が多いようです。

皆さんも街中で外国人を見かけることが多くなったと感じていると思います。
テレビでは、成田空港に到着した外国人に「ユーは何しに日本にきたの?」と聞いて、そのまま密着取材する番組が話題を集めています。

日本を訪れる外国人の増加ぶりはデータでも裏付けられます。日本政府観光局によると、訪日外国人数は今年1-9月累計で前年同期比26.0%増の973万人となりました。日本を訪れる外国人の数は昨年初めて1,000万人の大台を超えて、1,036万人と過去最高となりましたが、今のペースでいけば今年は1,200万人台程度に達する見込みです。政府は東京五輪が開催される2020年までに2,000万人という目標を掲げていますが、今のところ目標を上回るペースです。

訪日外国人増加の理由は主に3つあります。第1に、政府が中国や東南アジアなどを対象にビザの条件緩和など観光客増加対策を強化していることです。第2に最近の円安です。第3は「クールジャパン」の言葉に代表されるように、海外で日本への評価や関心が高まっていることです。

このような訪日外国人の増加はすでに大きな経済効果を生んでいます。日本政府観光局の推計によると、2013年の訪日外国人の旅行消費額は1兆4,167億円に達しています。その伸び率は人数の増加率を上回る30.6%となっており、一人あたりの消費額が増えていることを示しています。これらの消費は関連商品の生産増加やサービス充実を誘発し、さらなる経済効果を生み出すことにつながります。

ただ問題は、それら外国人観光客の訪問先が東京や京都など一部の大都市に集中する傾向があり、その効果が地方にまで十分に波及していないことです。

同じく日本政府観光局の訪日外国人消費動向調査(2014年7-9月実績)によると、外国人観光客の都道府県別訪問地は東京都が51.9%、大阪35.1%、京都29.8%がトップ3で、4位は千葉県15.3%などとなっています。これらを含め10%以上は8都道府県にとどまっており、1%未満が24県にのぼっているのが現状です(訪問地が複数の場合はそれぞれでカウントしているため合計は100%を超える)。

しかし地方には優れた観光資源が豊富にあります。外国人観光客にもっと地方に足をのばしてもらう余地は大きいはずです。それには地方の側の努力が欠かせません。仕事柄、よく地方に出かけますが、「こんなに良い観光資源があるのに、十分に生かしていないな」と感じることが少なくありません。

地方に外国人観光客がやってくることは、単に消費支出が地元に落ちるというだけにとどまらない経済効果があります。その地方を訪れた外国人を通じて、その地域についての情報がより多く海外に紹介されて、それがさらなる観光客の増加、場合によっては地元産品の輸出にもつながります。海外で日本の評価が高まることにも貢献できます。

また地元が観光客受け入れのための観光施設や都市・交通インフラの整備を進め、周辺地域の活性化にもつながります。日本全体で言えば、これこそが東京五輪に向けて期待される経済効果でもあるのです。

したがって地方はもっと知恵を絞る必要があります。地域ごとに観光資源を見直すとともに、個別の観光スポットを"点"ではなく、周辺や他地域とも連携した"面"で売り出すことに力を入れてはどうでしょうか。その"面"にストーリー性を持たせることができれば、有力なセールスポイントになるはずです。このような考え方から経済産業省は最近、観光関係者や学識経験者などで構成する「地域ストーリー作り研究会」を発足させました。新しい試みとして注目しています。

こうした発想で、観光を軸にして農林水産業や小売、地場産業から街づくり、運輸、金融機関、地元自治体など地域ぐるみで経済活性化に取り組む必要があります。地方観光の活性化は観光関係者だけの課題ではないのです。観光が持つ経済効果のポテンシャルは大きいものがあります。訪日外国人が増加している今こそチャンスです。

岡田 晃(おかだ あきら)プロフィール
過去コラム一覧

1971年日本経済新聞に入社。松山支局、東京地方部、産業部などを経て、編集委員。

1991年にテレビ東京に異動、経済部長、テレビ東京アメリカ社長、理事・解説委員長などを歴任、「ワールドビジネスサテライト(WBS)」など多くの経済番組のキャスター、コメンテーター、プロデューサーを担当した。

2006年にテレビ東京を退職。大阪経済大学客員教授(大学院経済学研究科および経済学部)に就任し、現在に至る。

現在、東京MXテレビ「東京マーケットワイド」(インターネットテレビ「ストックボイスTV」でも視聴可能)に毎週1回レギュラー出演中。

新著『やさしい「経済ニュース」の読み方』(三笠書房)
公式ウェブサイト http://okada-akira.jp/

 

掲載日:2014年11月17日

 
 
    

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