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公的年金は破綻しないが「正しく」覚悟すべきことが2つある

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公的年金の財政検証結果の「正しい」読み方

公的年金については5年に一度財政検証を行うこととなっています。これにより、定期的なチェック体制が用意されており、気がつかずに年金財政が悪化しないよう、必要に応じて軌道修正ができるようになっています。

いわば、国の年金版「人間ドック」のようなものです。個人の病気の早期発見に人間ドッグが役立つように、財政検証結果も重要な役割があるわけです。

今年の6月3日、財政検証結果が公表されましたが、ニュースやテレビではどちらかといえば悲観的に紹介されました。つまり、破綻の恐れあり、というような報道です。

厚生労働省社会保障審議会年金部会というところでこの資料は公表、説明をされ、有識者が議論したのですが(私も傍聴していました)、現場の印象としては「破綻リスクは遠のいた」「むしろ課題が明確になった」という前向きな議論が行われており、翌日の報道とのギャップは大きいものがありました。

今回は、財政検証結果を個人レベルではどう理解すればいいのか、「正しい」読み方を考えてみます。


破綻の可能性は低いし、その責任は日本人が負っている

財政検証結果を素直に読むと、破綻のリスクは極めて低いことが分かります。むしろ破綻を事前に察知でき回避することができる検証データとなっています。

そこでは8パターンのシミュレーションと、3つのオプションを加えたシミュレーションが提示されており、その「前提」が変わればいくらでも年金制度の安定性は変わることが分かりました。

つまり、悪い予想値が出ている試算があったとしても、それは「αとβが悪化したせい」ということは分かるわけです。「こういう理由で悪い数字になる」ことが分かっているわけですから、対策を講じることもできるわけです。

その意味では「最悪の場合、所得代替率30%台も」という記事は、「その最悪の場合、日本経済はずっと低迷し、女性も働けず、少子化が進むのだから年金が維持できなくなっても仕方ない」というだけのことです。むしろ「最悪を脱するためには何をすべきか」が問題なのです。

年金財政の将来見通しを安定化させるキーワードは、今回の試算でおおむね4つだと明らかになりました。

具体的には
「わが国および諸外国の経済成長」
「女性が働ける社会の実現」
「高齢者が働ける社会の実現」
「少子化対策の効果実現」
です。

これは年金制度を担当する官僚だけでどうこうできる問題ではありません。むしろ、政府の経済対策や、少子化対策(子育て支援を含む)、高齢者の雇用確保などを各セクションが粛々と実行していかなければならないテーマです。

また最終的には国民ひとりひとりの問題でもあります。年金破綻論といえば、つい官僚を悪者にして議論を終わらせてしまいますが、むしろ財政検証により、年金制度の安定は日本に住む1人1人の問題であるということが分かったといえるかもしれません。


破綻の心配より「覚悟」すべきこと

もはや破綻の心配をするステージは終わりました。よく見ると、かつての破綻論者は破綻について触れるのではなく、減額の心配について警鐘を発するようになっています。実はこれは正しい見方です(処世術としてもなかなか優秀です)。

破綻ではなく次に我々が現実として覚悟すべきことは、「減額」だからです。減額については「毎月の年金額」を減らすパターンと「受給開始年齢」を引き上げることで減らされるパターンがあります。

まず、「毎月の年金額」を減らすパターンですが、所得代替率にして15%くらいの引き下げを行うことは2000年の年金改正から織り込まれています(マクロ経済スライド。ずっとデフレだったので未実施だった)。

物価が上がったとき、年金額はそれほど増額しないことで、「気がつけば年金は少なめ」になっていくのです。これを数十年かけて行うことはすでに決まっており、受け入れざるをえません。これをやるからこそ、破綻は回避できるわけです。

また、「受給開始年齢」の引き上げについても、世界でトップクラスの長寿国が世界的には最短で年金を受給開始する国であることは明らかに矛盾しており、引き上げは不可避です。

OECD加盟国の多くはすでに67~68歳から年金を支給する(あるいは引き上げ実行中)国となっています。今から日本が議論するのであれば、15~20年後に70歳に向けた引き上げが実施されるよう改正議論をするとちょうどいいと思います。

これも実行すれば破綻の可能性はほぼなくなりますし、むしろ年金額はアップする可能性があります(長く働けば年金額が増えるので)。

この2点は国の年金が必ず行うことになるものと、若い世代は覚悟しておく必要があります。

山崎 俊輔(やまさき しゅんすけ)プロフィー
過去コラム一覧


1972年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。AFP、消費生活アドバイザー、1級DCプランナー。

企業年金研究所、FP総研を経て独立。商工会議所年金教育センター主任研究員、企業年金連合会調査役DC担当など歴任。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。
論文「個人の老後資産形成を実現可能とするための、退職給付制度の視点からの検討と提言」にて、第5回FP学会賞優秀論文賞を受賞。近著に『お金の知恵は45歳までに身につけなさい』(青春出版社)、『稼ぐ・貯める・増やす 20代のお金の教科書』(学研パブリッシング)。日経新聞電子版「20代から始める バラ色老後のデザイン術」など連載多数。
投資教育家として、twitterでも4年以上にわたり毎日「FPお金の知恵」を配信するなど、若い世代のためのマネープランに関する啓発にも取り組んでいる(@yam_syun)。

ホームページ: http://financialwisdom.jp

掲載日:2014年12月8日

 
 
    

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