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税金に敏感になろう

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先日、我が家の娘にNISA(少額投資非課税制度)のメリットを書いた漫画冊子を読ませて、その感想を聞きました。

娘:「NISAで投資をした方が良いって書かれていることは分かったけど、今一つメリットがわからない」
私:「投資が必要なのは分かったか?」
娘:「うん、なんとなくだけど」
私:「じゃあ、投資をするならNISAは非課税だからメリットがあることはわかるだろ」

といって私はハタと気が付きました。そう、"投資をするとその収益には20%の税金がかかるということを知らない"ことが非課税のメリットを理解できない背景にあるのです。

確かに投資をしたことのない若い人たちにとって、いきなりNISAの非課税メリットを説明しても、前提となる投資の税金がわからなければ比較しようがありません。

注目された非課税制度なのに、そのメリットが腑に落ちていない

2014年はこれまで以上に非課税投資に多くの人が目を向けたのではないでしょうか。NISAの導入が大きなきっかけでしたが、5年に1度の年金財政検証の年でもあり、確定拠出年金、なかでも個人型確定拠出年金にもメディアでは多くの言及がありました。NISAと比べて所得控除がある分、所得税や住民税の還付があることなど税優遇が厚い点が訴求されましたが、いかんせん加入者は18万人強で、対象者のわずか0.5%しか使っていないのが実情です。

もちろんNISAも初年度で800万人ほどの口座開設があったと推測されていますが、実際に投資に活用した人は、その3割程度だったと見積もられています。

どちらも非課税だという触れ込みなのですが、課税されるときの負担と比べてどれくらいメリットがあるのか今一つわかりやすくなっていないために、そのメリットの大きさが実感できていないのではないでしょうか。我々金融機関で投資教育を担っている立場の者は改めてそのメリットをしっかり伝える必要性を考えなければなりません。「如何にわかりやすく」伝え、それによって「いかに多くの人に使ってもらえるか」が大切なのです。

わかりやすくて使いやすい「新しい個人型確定拠出年金」の提言

12月に入って、私も含めた投資や投資教育を担っている8名が共同で「個人型確定拠出年金の改善に関する提言」を出しました。その提言の柱は「より多くの人が使える」、「わかりやすい」の2点です。特に「わかりやすい」ことを考えて、所得控除方式をあきらめて、個人型確定拠出に拠出したらその金額の15%を政府が上乗せする「政府マッチング」を提唱したことが特徴です。

この政府マッチングは、非常にわかりやすい制度になると思います。資産形成を後押しするために政府は15%の追加拠出をするという表現は、政府のサポートを前面に押し出すことができます。また拠出する方にとっても、投資した段階で既に15%の収益率が出ていることと同じなわけですから、そのメリットを訴求しやすく、わかりやすいものになるはずです。

実はイギリスではこれと似た税制優遇があります。イギリスのPrivate Pensionへの拠出の税制優遇は税金の戻しをGross-upするのです。すなわち、投資した金額は課税後の資金なので、税率で割り戻して拠出額に上乗せしてくれます。例えば税率20%の人が8,000ポンドを非課税制度で投資すれば2,000ポンドを政府が上乗せして1万ポンドの投資額にしてくれるという建付けです。

日本のように所得控除で税金が戻ってくると、ほとんど消費に使われてしまいますが、投資額に上乗せして資産形成に使えるのであれば、まさしく資産形成のための税制優遇といえます。

「政府マッチング」の持っている意義を十分に吟味すべく、さらに議論を深めていくことが大切だと思っています。

 

野尻 哲史(のじり さとし)プロフィール
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フィデリティ投信 フィデリティ退職・投資教育研究所所長

一橋大学卒業後、内外の証券会社調査部を経て、2006年からフィデリティ投信株式会社 フィデリティ退職・投資教育研究所所長。大規模なアンケート調査をもとに投資家への提言をするなど、投資教育に従事。

退職金は何もしないと消えていく」(2008年) 、「老後難民 50代夫婦の生き残り策」(2010年)、「40代のサイフ」(宝島社、2012年)、「50歳から始めるお金の話」(2013年2月、小学館文庫)など著書も多数。

現在、日本アナリスト協会検定会員、日本FP学会、日本証券経済学会、行動経済学会などの会員。

 

掲載日:2014年12月22日

 
 
    

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