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「お金持ち」の視点から見た金融リテラシー

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「お金持ち」とは

 私は大学で30年以上、経済学を教えていますが、学生さんの授業評価によると、私の教える経済学は、経済学の教科書とかなり違う「変な経済学」だそうです。
 その理由は(たぶん)、私は「お金持ち」の研究を長年続けてきたため、経済学を教えるとき「お金持ち」の原理原則と価値観を軸に解説するからだと思います。
 例えば「お金持ち」の定義ですが、学生さんには授業の中で次のように説明します。

中嶋:今回は中国五千年の漢字文化の知恵を借りて、誰でも知っている「産業」と言う漢字を考えてみましょう。産業とは、「業を産む」と言う意味ですね。この「業」とは「なりわい」と読んで、「仕事」のことを指します。さて、産業の「主語」は誰でしょう?

学生さん:・・・?

中嶋:答えは、仕事を産み出す「人」が主語になります。この人を「お金持ち」と呼びます。そして私たちは、仕事をたくさん作り出してくれる人を尊敬して、「お」をつけるのです。同じように、「財産」は、皆さんが欲しがる「財(たから)」を産み出すと言う意味になり、その主語は「お金持ち」になります。誰もが欲しがるお宝(財)を産み出す人が「お金持ち」と呼ばれるわけです。ところで経済学の教科書でも使われる「財とサービス」の「財」ですが、その語源は何でしょう?

学生さん:・・・??

中嶋:ご覧のようにこの漢字は、「貝」と「才」によって構成されています。「貝」はご存じのように、昔は「お金」として使われていました。
次に「才」とは「川をせき止める」と言う語源を持ちます。つまり「財」とは、お金の流れをせき止めて大きなお金のダムを造ることを意味します。皆さんも、ぜひ、そのような「才能」を持つ「お金持ち」になってください。

 こんな感じで、毎回、学生さんと楽しくやっています。

「金融リテラシー」とは

 さて、この最初のコラムでは、「お金持ち」の考え方の視点から見た「お金の教育」(金融リテラシー)について考えてみたいと思います。
 「金融リテラシー」とは、日本証券業協会によると「金融に関する知識や情報を正しく理解し、自らが主体的に判断することのできる能力であり、社会人として経済的に自立し、より良い暮らしを送っていく上で欠かせない生活スキル」とあります。また金融庁(金融経済教育研究会)は、「最低限身につけるべき金融リテラシー」と言うパンフレットや「金融リテラシー・マップ」を作成して、金融リテラシーの重要性を広報しています。
 これらは実に良くまとめられているので少しだけ紹介します。

  ○ 最低限身につけるべき金融リテラシー
1.    家計管理:適切な収支管理(赤字の解消と黒字の確保の習慣化)
2.    生活設計:ライフプランの明確化と資金確保
3.    金融知識:経済用語の理解、保険・ローン・資産形成の契約や取引の注意点、コストの把握
4.    外部の知見の適切な活用:金融商品を利用する際、外部の知見を適切に活用する必要性の理解

 この金融リテラシーの実態を見るため、私が教えている「eラーニング経済学」の授業で学生アンケート調査をしました。

(eラーニング経済学、2016年6月3日実施。サンプルサイズ29人)

 このアンケート調査によると、親の年収を知っていると回答した学生さんは24%もいました。また、親と「お金」の話を結構していますし、「お金」の話をすることが下品であるとは思わない回答も予想外に多いことがわかります。そして学生さんのほとんど(76%)が、自分の教育費や生活費がいくらかかるか理解しています。
 私の世代では、子供が親の収入を聞くなど考えられない時代ですし、「カネのことは心配せずにしっかり勉強しろ」と言われて育ったものですから、この回答にはちょっとビックリ、でも嬉しく思いました。
 ただし予想どおり、家計簿をつけている学生さんは24%、株式投資など資産運用について学んだことのある学生さんは17%しかいません。必要な金融リテラシーのうち、「家計管理」や「金融知識」が不足していると言えそうです。
 さて、それでは「お金持ち」の視点で「金融リテラシー」を解説すると、どのようになるでしょうか。
 まず「お金持ち」は、1の「家計管理」を実現するためには、家計簿をつけなさいと教えてくれます。人間の脳みそはとても怠惰なので、家計簿をつけてお金の出入りを数字として「見える化」しないと、ムダな消費支出を減らすことができないからです。
 でも毎日毎日、レシートを集めて家計簿をつけるのはすごく面倒です。そこで私の家庭の場合、小学校の息子を1ヶ月500円で「雇用」し、無料のエクセル家計簿にデータ打ちをしてもらいました。中学生になったら賃上げして高校に入るまでやってもらいました。その後は娘に引き継いでもらったので、親はとても楽でした。
 子供達が一家の家計簿をつけると、自分の親の年収、税金、社会保険料、自分たちの学費や塾の支払いがわかり、子供の経済感覚も発達するようです。特に、妻と二人で外食すると、そのレシートを見て、「また外で(ムダな)ご飯を食べてきたの?」と怒られました(あはは・・・)。

「お金持ち」の経済的思考

 次に2の生活設計や3の金融知識の基になる「お金持ち」の経済的思考は、「最適化」として経済学で教えられています。
 例えば経済学の教科書で「消費」と「投資」の概念を説明するとき、消費と投資の違いは「時間の長短」にあることを指摘します。
 「消費」は、例えばスターバックスでコーヒーを飲んで、トイレに行って水分を流したら終わりです。自動車のような耐久消費財であっても、その「利回り」の計算を長期にわたって意識しながら運転する人は少ないです。
 その一方「投資」は、誰でも利回りが重要であることを知っていますが、「お金持ち」は常に長期的な時間軸による「最適な投資判断」を心がけています。
 わかりやすい例を挙げると、私の大好きなバフェット爺さん(ウォーレン・バフェット:世界最大の持ち株会社のバークシャー・ハサウェイのCEOで株式投資の神様)は86歳ですが、彼が最近発表したレポートは、バークシャー・ハサウェイの50年後の未来についてでした。
 この50年と言う時間は若い学生さんにはとても重要な長さで、50年後に幸せな老後を実現するための準備を20歳前後の今、しなければならないことを意味します(2の「生活設計」)。
 そのために「お金持ち」が使う道具が「複利」になります(3の「金融知識」)。
 学生さんには、いつも下のようなエクセルのグラフを使って複利のパワーを実感してもらいます。
 これは、最初の100万円が、50年後にいくらになるかを、1%、5%、10%にしてそれぞれ計算したグラフです。1%の利回りでは50年経っても164万円にしかなりませんが、毎年10%の複利でまわすと、たったの100万円が50年後には約1億2千万円になります。

 このグラフは、
 ①    複利が効果を発揮するためには長い時間が必要であること(だから我慢すること)
 ②    投資する場合利回りは1%でも高いものを選ぶこと、借金する場合はその反対であること
が「お金持ち」が取る最適な経済行動であることを教えてくれます。
 そのため、0.15%前後の定期預金や0.05%の個人向け国債の場合、100万円の投資が1億円になるのに5千年?くらいかかるので、そのような投資は最適でないことになります。
 なお、学生さんには、エクセルを使わなくても簡単に元金が倍になる時間を計算する「72の法則」も教えます。これは、例えば金利が1%のとき100万円が倍になる年数は、72÷1=72年、5%のときは72÷5で約14年、10%のときは約7年、と言う風に使います。
 だから利回りが10%であれば、50年間に7年が約7回ありますから、100万円×2の7乗=100万円×128で1億円を超えることがわかります。なお、5%のとき100万円が1億円になるのに必要な年数は、約100年弱です(14年×7)。
 つまり「お金持ち」が若い人に教えてくれる「2.生活設計:ライフプランの明確化」とは、自分の寿命(人生)の経済的価値をしっかり計算して「最適な行動」を取ることであると言えます。

中嶋 航一(なかじま こういち)プロフィール
過去コラム一覧


現職:帝塚山大学経済学部 教授
学歴:UCLA経済学部B.A.・ Vanderbilt University大学院経済学研究科Ph.D.  
専門:ITを活用した教育、アニメ経済学、「お金持ち」の経済学
『千と千尋の経済学』シリーズ
YouTube:中嶋航一
千と千尋の経済学のblog
Twitter

 
 
    

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