株式・投資信託・ETF・退職・年金 投資に役立つ「ケイゾンマネー」

トレダビを使った大学講義

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 2017年度の講義が始まりました。今年も「eラーニング経済学」では金融リテラシー教育の一環として、K-ZONEのトレダビを使って学生さんに株式投資を教えています。
 そこで今回のコラムでは、大学の講義でトレダビのような株式投資シミュレーションをどのように教えているか紹介したいと思います。

■ トレダビの準備

 最初の授業では、金融リテラシーの必要性を学生さんに理解させます。そのために、無駄遣いをしないことや、正規・非正規社員の生涯所得の格差を教えます。そして、幸せな老後を過ごすためには夫婦二人で1億円(年金を含む)が必要となるが、銀行預金の金利がゼロに近い状況では貯金だけでは不十分だと言うことを指摘します。
 そして若いときから株式投資をしっかり学んで資産運用することの重要性をわかってもらうため、今年は次のように話しました。

1. 税金が安い?

給与所得の課税対象額が900万円以上1800万円までの税率は33%(控除額154万円)、1800万円以上4000万円までは40%の税率になります。額面で年収1500万円の場合、所得控除・社会保険料控除・基礎控除など(約500万円)が引かれた残りに所得税がかかり、1000万円×33%の税率-控除額154万円=178万円。また約1000万円に10%の住民税100万円がかかります。その結果、納税額は約278万円になります。ただし、更に扶養控除や医療費控除、その他の控除があれば、納税額は200万円くらいまで下がります。その一方、株式投資で1000万円の利益(譲渡所得)が出た場合、その税金は20.315%(所得税5%、復興特別税込み)で約203万円。つまり、年収1500万円の人が払う所得税とあまり変わらないことがわかります。それでは税率の高い株式投資はメリットがないのでしょうか?

2. 1500万円以上の高所得者は何人いる?

まず、年収が1500万円から2000万円の人は給与所得者の1%程度(約30万人)、2000万円以上の人は21万人ほどしかいません。つまりほとんどの人は、給料だけで老後の資産を築くことはできません。つまり株式投資は、給与所得を補完してくれる不労所得のツールと考えましょう。

3. 株式投資には差別がない

次に大事なことは、株式投資を行う際、大学の偏差値や年齢・性別・出身・国籍・学歴・職業・IQ・資格・社会的名声や権威・立場による「差別」や「区別」は一切ありません。そのため、経済学を教えている大学教授より、小学生の方が株式投資でじょうずに利益を上げることもあります。つまり株式投資では、大学教授の「権威」など何の役にも立たないのです(こう言うと、多くの学生さんがニコニコします)。

 以上のような動機付けを終えた後、学生さんにトレダビの登録をさせます。私の講義ではeラーニングシステムを使っており、また学生さん一人一人は大学のG-mailを持っていますので、登録にはほとんど問題が発生しません。ただしニックネームとパスワードを忘れる学生さんがいるので注意します。

 学生さんの登録が終わったところで、私の「まあまあ」のトレダビ歴を見せます。一応、第70回大会は2月頃に1000番前後まで行ったのですが、前期の授業が終了した後、放っておいたのでランクが下がったと言い訳します(・・・笑)。

図1

■ トレダビの最初の株式購入

 学生さんは、最初、どの銘柄を買ってよいかわからないので、私の保有銘柄の「9766コナミHD」をまず買わせます。その際、コナミと言うとゲームやスポーツクラブのイメージがありますが、昨年に国会を通過したいわゆる「カジノ法案」の関連銘柄であることを教えます。
 トレダビの銘柄ナビに移って9766と検索欄に入れて「注文」させます。最初は「現物買」を選ばせますが、何株買うかは学生さんの判断に任せます。

これらの売買は次の用紙に記入させます。

図2

 次にカジノというと悪いイメージがあるので、そのイメージを払拭するためアメリカのカジノ関連の銘柄を紹介します。
 代表的な銘柄はMGM、LVS、Wynnなどがありますが、今回はMGMを見せてその事業内容と株価チャートの基本を教えました。
 その目的のため、便利で無料の楽天証券のホームページに入って、学生さんに海外株式のページの検索欄に「mgm」と入力させます。そこではMGMの企業概要が次のように書かれています。
「エムジーエム・リゾーツ・インターナショナル(MGM Resorts International)はホスピタリティーに従事する持株会社である。同社は主にゲーム、ホテル、コンベンション、ダイニング、エンターテインメント、リテール及び他のリゾート施設を含むカジノリゾートを保有・運営している。」
 つまり現代のカジノビジネスは、ホテルや大規模な会議、観光に関するホスピタリティーとエンターテインメントだと言うことを理解してもらいます。そのためもし大阪にMGMやラスベガス・サンズが進出すれば、近畿圏に大きな経済効果をもたらすことを納得してもらった後、MGMのチャートをクリックしてもらって、テクニカルをフィボナッチラインとMACDに設定させます。すると次のようなチャートになります。
 この時は、フィボナッチ・リトレースメントやMACDの詳細な説明は避けて、とにかくMACDが3月頃に買いに転換しており、フィボナッチラインも真ん中の緑色のラインから100%上昇した赤線に株価が達していて高値圏にあることを説明します。

図3

 次回からはこのサイトを使って、自分の売買したい銘柄のフィボナッチ・リトレースメントとMACDを見るように伝えます。

■ 外国為替の動向に注目

 学生さんには、株価とともに外国為替を常にチェックする習慣を身につけてもらいたいと考えています。そこで毎回の授業で、「円安に振れたらみなさんの就活は大丈夫です。でも対ドルで100円を切って90円台になると、またまた就職氷河期が来ますよ!」と言い続けています。
 次に日経平均株価とドル・円相場のグラフを見せて、今年に入ってその相関係数は0.75と言う高い値になっていることを教えます。そのため学生さんは、円安になると日本株が上昇し、特に輸出関連や観光関連の銘柄の株高を期待できることを理解します。

図4

 トレダビでは、為替の影響を強く受ける私の保有銘柄から「6752 パナソニック」を銘柄検索させて購入させます。
 次に学生さんに、「パナソニックのビジネスって何?」と聞くのですが、テレビや家電などのイメージしかありません。そこで楽天証券ホームページの国内株式ページに行って、パナソニック(6752)を検索させます。「適時開示」をクリックさせて、連結決算資料の中のセグメントや事業部別の決算情報を解説します。すると学生さんは、パナソニックが家電や4Kテレビに加え、ハスマン社というアメリカの業務用冷蔵庫の会社を吸収合併したことで売上げを伸ばしたことや、テスラ自動車と提携したリチウムイオン電池の製造が重要であることなどがわかります。また決算書には「円高による為替の影響が大きく」とか「為替が影響し、全体では減収となりました」などのコメントが頻繁に出てきており、パナソニックの株価が為替の影響を強く受けることを理解します。
 最後に株価チャートを見せて、長期のフィボナッチ・リトレースメントから判断すると、まだ上昇する見込みがありそうなことを確認させます。

■ 空売りの重要性

 学生さんにはどうしても「空売り」の重要性を理解してもらわなければなりません。その理由を説明するのは結構たいへんなので、授業では私のブログ記事を使います。
 例えば「株式の空売りとプットオプション」では、次のような解説をしています。

●「大学で担当している「経済学と株式投資」のテーマの中で、株式の「買い(long)」に比べて株式の「売り(short)」の概念と具体例(成功例)を教えるのはとても難しいものです。その理由は、買いポジションと売りポジションは対称ではないからです。まず買いポジションの最大投資損失は0円ですが、空売りの最大損失は無限大でリスク管理がたいへんです。次に売りポジションを取るためには、対象企業の詳細な研究と撤退のタイミングを図ることが必要になり、時間も情報も乏しい個人投資家には向いていません。しかし株式市場は常に右肩上がりの上昇相場とは限らず、利益の出ている株式のヘッジや下降相場で利益を出すためには、株式の売りは必要不可欠になります。」

●トレダビの現在のポートフォリオは、アベノミクスによる円安を前提に、パナソニックやデンソー、HOYAなどの輸出関連銘柄が主力になっています。そのため円安になると利益が大幅に上昇してトレダビ大会順位が5000番台になり、その逆に円高の1月12日は27,761 位と急降下します(^^;)。
従ってこの為替変動をヘッジするために、輸出関連銘柄で空売りの対象となる会社を見つける必要があります。この目的のために、空売り銘柄ランキングのホームページを参考にさせてもらいました。「空売り銘柄ランキング」

 また「投機と投資の違い」のブログ記事では、「投機とは、予想が外れたときの対応をせず、一方向に多額のお金を賭けること」と定義して、「ロングポジション(一方向の買い)だけなら「投機」になります。その一方、ロングポジションが「投資」になるのは、ショートポジションを持ってヘッジ(保険)をかけた時です。」とヘッジの必要性を教えています。
 ヘッジの具体例としては、例えば輸出銘柄の「パナソニックの買いとHOYAの売り」のサヤ取りや、日経225連動型ETFの売り、TOPIXベア2倍ETFの買いを使ったリスクヘッジをトレダビの中で実行させてその結果を研究してもらっています。

■ 学生さんの感想

最後に、過去の授業でトレダビを経験した学生さんの感想を紹介します。

「自分が思っていた以上に株式投資はこんなにも簡単に出来るものだということに、すごくビックリしました。自分の中で投資というのは、もっと複雑なものだと思っていたので、こんな簡単に出来るのであれば、将来真剣に挑戦してみようかと思います。」

「私は、トレダビを始めたばかりの頃には有名企業のホンダやソフトバンクなどを買い、2.5%儲けたら売っていました。その頃、ツインバードという銘柄が大きく伸びていたので買ってみました。買ってみてからツインバードは毎日1%以値上がりを続けていたので、いつものやり方と変え、少しでも下がったら売ろうと思っていました。その後、全体的に株価が下がり、私が持っている株は全て前日比や評価損益額がマイナスだったので、これはダメだと思い全て売ることにしました。少し相場が良くなってきた頃、ツインバードのような短期で常に値上がりを続けている銘柄を探すことにして、少し伸びかかっているガーラという銘柄を買いました。買ってから三日ほどでしたが、一日で20%の利益が出ました。急激に上がるということは、いつどこで急激に落ちるか分からないと思い翌日に売りました。気になった銘柄を毎日見ていたら上がり下がりが激しい銘柄に変わっていたので早めに切ってよかったと思いました。」

「今まで株式のことは全くと言っていいほど知りませんでした。大学に入って経済学を学んで株式のことも少しずつ学んでいるときにトレダビをやってみて自分が感じたことは、この授業を通じて練習ができてよかったという点です。しかし、やはり自分のお金ではないこともあり、正直トレダビを意識することが少なかったです。ただ、株式投資をするときにローソク足のことやほかにもいろいろ予想することを知らないと、とてもじゃないですが儲けを出すのが厳しいこと、常に気にしないと知らないうちに大損したりすることを、身を持って知ることができました。」



中嶋 航一(なかじま こういち)プロフィール
過去コラム一覧


現職:帝塚山大学経済学部 教授
学歴:UCLA経済学部B.A.・ Vanderbilt University大学院経済学研究科Ph.D.
専門:ITを活用した教育、アニメ経済学、「お金持ち」の経済学
『千と千尋の経済学』シリーズ
>YouTube:中嶋航一
千と千尋の経済学のblog
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