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保護者と考える「幸せになるための金融リテラシー」

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■ 「健全な経済状態」:Financial wellnessの勧め

 大学で開催する保護者懇談会では、学生の就職を心配する保護者向けの就職説明会が盛況です。現代は世界の経済や政治の状況が大きく変わり、技術革新も驚くべき進歩を遂げている中、キャリアや働き方に関する価値観も揺れ動いています。そのため保護者も学生さんと同じ目線で就職活動の支援をしたいと考えて参加してくれています。
 さて、学生さんの就活はその後の経済的自立とキャリア形成につながるので学生さんも一生懸命ですが、就活後に始まる「幸せになるための金融リテラシー」の必要性を認識することができません。
 その理由は簡単で、若い学生さんにとって将来のキャリアパス、結婚や子育て、自宅の購入や老後の蓄えなどは、あまりに現実性に乏しく具体的に考えることができないからです。ところが幸せな人生をおくるためには、人生の目的、家族の幸福、社会との良好な関係をどのように実現するか考えなければなりません。そして多くの場合、幸せな人生を生きるためには、家族の「健全な経済状態」(financial wellness)を常にチェックして最善の状態を保つ努力が必要になります。
 そこで「人生の先輩」である保護者の方は、学生さんの就活支援と同じように、彼らの人生プランのお手伝いをすることも大切なことかと思います。
 それは同時に保護者の人生プランを見直すことになり、家族の経済的自立を支える「金融リテラシー」の学習につながります。実際、多くのご家庭では、毎月の支出が収入を上回って貯蓄ができていません。そのため想定外の緊急の支出イベントが発生すると、家族全体に大きな金銭的ストレスを引き起こします。更に問題なのは、このような「不健全な経済状態」が発生しないように金融リテラシーを学ぶ機会が不足していることです。

■ ライフプラン・シミュレーションの結論

 そのため今回のコラムでは、保護者の方が学生さんと一緒に学べる金融リテラシーを考えてみます。通常の大学の金融リテラシーの講義では、経済学や金融・証券の基礎的なテーマを学んだ後、ライフプランを作成させます(「金融リテラシー教育 全国10大学の実践事例集」)。
 ネット上では、とても良くできた人生プランのシミュレーションを無料で利用できます。今回はその中からスルガ銀行のシミュレーションを使って、ライフプランのポイントをまとめてみます。
 利用した数値は基本的な統計値(平均値)で、セカンドライフ(退職後)に必要な最低日常生活費を280万円。ライフイベント(車の買い換えや旅行など)は倹約型にしました。

例:夫婦と子供2人:貯蓄500万円(これは中央値)

・男性45歳(87歳まで)・女性42歳(87歳まで)
   世帯主の年収=667万円・退職年齢=65歳・退職金=800万円
   配偶者の年収(パート)40歳~65歳=124万円
・子供20歳と17歳
   大学私立文系(自宅通学)=年間96万円・結婚援助金=189万円
・生活費(食費・通信費・被服費・教養娯楽費・耐久消費財等)=月額30万円
・住宅費(賃貸し)=8万円
・ライフイベント=300万円(10年ごと車)+5万円(家具・家電)+9万円(旅行)+6万円(趣味)
・セカンドライフ最低日常生活費=280万円(月額23.3万円)
・その他の収入=0円
・公的年金=261万円(所帯主)+63万円(配偶者)
・保険料=年間5万円
・病気なし
・70歳から在宅介護の場合の費用自己負担額=月額19,218円

以上の条件でライフプランのシミュレーションを行うと、以下の表1のような結果になります。

図1

 表1より明白な事実は、生活費やライフイベントを節約しても、また老後の生活費を最低水準に設定しても2,600万円の支出超過になります。更にまずいことに、夫婦のどちらかが介護が必要になると、最低でも3,000万円前後の支出超過になります。もしこの状況に加えてどちらかが病気になると、家計は破綻する可能性が非常に高くなります。
 つまり、このようなライフプランのシミュレーションが指摘することは、家族の「健康な経済状況」は給与所得だけではまかなえないということです。そのため、どうしても株式投資等による資産運用が必要になります。しかし「株式投資」は難しいとか危険であると誤解されているので、誰でもできる「安全・安心・安定」の株式投資を考えてみます。

■ 50歳から始める「簡単に3,000万円貯める」資産運用

大学の学生さんの保護者の方の年代は、だいたい50歳前後になります。そこで50歳から始める、老後資金を準備する簡単な株式投資を考えます。
 まず上記のライフプランでは45歳で500万円の貯蓄があることを前提にしました。そこでこの500万円を初期投資の金額にします。次に年率10%前後のリターンを達成する「分散投資された安全で安価なETF(上場投資信託)」を選び、あとはそのETFをNISA口座に入れて配当金や売買益の税金をゼロにします。この方法なら、誰でも簡単にかつ安全に株式の資産運用ができます。
 さて10%前後の利回りを出すETFの中で最も安全で安価な銘柄の一つは、アメリカのバンガード社のS&P500(アメリカのS&P500指数)に連動したVOO(銘柄コード)です。このETFは2010年9月に設定してから平均14.86%のリターンですが、何よりもその経費率が0.04%と非常に低い点が最大のメリットになっています。株式投資の神様のバフェット爺さん(ウォーレン・バフェット)も勧めているETFです。
 このETFはほとんどの証券会社で購入できますが、売買手数料が20ドルから25ドルかかります。そのためNISA口座で長期に保有して頻繁な売買は避ける必要があります。なお、VOOはドルで所有しておき、10年後、15年後に円に換算することを勧めます。その理由は、少子高齢化の日本経済の先行きを考えると、円安・ドル高傾向が進む可能性が高く、VOOを最終的に売却するときに円安差益も手に入れることが期待できるからです。
 さてこのようなETFをどのように使って老後の資金3,000万円を貯めるかシミュレーションしてみました。その結果が表2です。

図2

 表2の例1は、初期投資額500万円、毎年30万円ずつ追加投資をして、年利10%でまわすと15年後に約3,000万円になります。例2は、年利8%の場合は追加額を50万円にして15年後に約3,000万円を貯める事例です。50歳前後の方でも定年までに15年ほどありますので、複利のパワーがまだ働きます。学生さんの場合は50年近くありますので、たったの100万円が10%の利回りで1億円になります。お子様の経済的自立を願う保護者の方には、ぜひこの複利のパワーを理解していただきたいと思います。
 さて保護者にとってこの資産運用の最大のメリットは、先に述べた家計の「健全な経済状態」を保つためにとても役立つ点です。まず「想定外の支出」に対応できるため、家族の精神的なストレスが緩和されます。次に明確な数値目標が設定できるため、家族全員で協力して無駄遣いを減らし金融資産を高める投資生活を実現できます。また退職金はこの資産運用以外の目的に使うことができます。最後に、株式資産3,000万円が達成できたら、そのうちの年間増加分の10%だけ売却することができるため、年間300万円の株式譲渡所得(税率は20%)を消費に使っても元本の3000万円はそのまま残すことができます。
 このような株式投資と資産の運用はとても簡単であり、老後に病気になったり介護が必要になっても特別な知識や判断は不要です。一日も早く、多くの保護者の方が学生さんと一緒に金融リテラシーを学びながら、幸せな老後の準備をしていただきたいと願っています。



中嶋 航一(なかじま こういち)プロフィール
過去コラム一覧


現職:帝塚山大学経済学部 教授
学歴:UCLA経済学部B.A.・ Vanderbilt University大学院経済学研究科Ph.D.
専門:ITを活用した教育、アニメ経済学、「お金持ち」の経済学
『千と千尋の経済学』シリーズ
>YouTube:中嶋航一
千と千尋の経済学のblog
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