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【社長インタビュー】エンジョイ・ザ・チャレンジ=やってみなはれ

 

Interview
社長インタビュー

エンジョイ・ザ・チャレンジ=やってみなはれ

成長を続ける企業、ナブテスコ。それを率いているのが代表取締役社長の小谷和朗さんです。これからナブテスコが向かう先はどこなのか。経営者が描く成長戦略とはどういうものなのか。話を伺いました。

内田:

ナブテスコ株式会社のキーワードは「うごかす、とめる」で、世界トップの技術力と高い製品市場シェアを持っています。

小谷:

はい。モーション・コントロール技術といっているのですが、要するに動かす、止める。あるいは開く、閉じるというところに、弊社の技術が使われています。自動ドアはすでにご覧いただいたと思いますが、それ以外ではロボットの関節に使われる精密減速機、新幹線のブレーキやドア、飛行機のアクチュエーター、トラックのブレ―キなどに用いられていますが、典型的なBtoB企業ですので、消費者の目に触れる部分というのは非常に限られています。大勢の方の眼に直接触れるとしたら、自動ドアくらいでしょうね。ただ、そのなかでは日本もしくは世界的にトップシェアを握っていて、かつ高い技術力も持っている。そして、直接、人々の眼に触れる部分は少ないけれども、いろいろな面で私たちの技術力が活かされています。

身近なところで活躍するナブテスコのモーション・コントロール技術

内田:

トップシェアを保つのって、とても大変なことだと思います。トップシェアを維持していくうえで、どういうことを心がけているのですか。

小谷:

今まではお客様のニーズにお応えするだけで成長することができました。たとえば、こういう機能を持ったものを、この価格で、いつまでに開発して欲しいという要望があって、それにきちっと応えていきさえすれば受注をいただくことができたのです。でも、これからはそれだけだとダメです。お客様のニーズがどこにあるのかということを探して、提案していく必要があります。それはつまり、お客様のベスト・ソリューション・パートナーになるということです。そこまでやって、ようやく価格の主導権を握ることもできるのです。


小谷和朗 代表取締役社長

内田:

小谷社長は海外での勤務経験が長いのですね。海外ビジネスを展開していくうえでのポイントは?

小谷:

国によってビジネス慣習が違うので、それを把握しておく必要があります。たとえば米国は一発勝負。欧州も同じかな。つまり、取引条件を提示する際にも一発回答で、相手がその条件を魅力的に思えば取引が成立しますし、魅力的に思わなければ不成立です。これに対して韓国などは、引き代がどのくらいあるのかという点で、少しずつ値引き交渉などをしながらお互いの妥協点を探っていくという感じです。米国や欧州のお客様相手の方が、ビジネスの緊張感はありますね。

内田:

最近の若い人は、なかなか海外に出たがらないとも聞きます。

小谷:

まあ、これは海外展開している会社の多くが悩んでいるところだと思いますね。でも、海外勤務ってビジネスキャリアを重ねていくうえでは、大きなチャンスだと思いますよ。だって、若いうちから権限を持たせてくれるのですから。私がインドネシアの現地法人に副社長で赴任したのが45歳の時だったのですが、現地では1000人の部下がいました。赴任する直前、日本の部署にいた部下は5人ですからね。会社員人生のなかで、1000人の部下をマネジメントできる機会というのは、そうそうありません。これはチャンスですよ。もちろん、それだけの人を束ねることの緊張感はありますが、権限が大きくなればなるほど、仕事の達成感も大きくなります。それを楽しむことが出来る人は、海外勤務に最適だということです。

平林:

1000人の部下というのは、基本的に現地採用の方ですか。

小谷:

そうです。日本人社員は最初14人いたのですが、アジア通貨危機が起こった時に4人まで減らしました。基本的にグローバル展開を行う場合は、現地の雇用に資することが大事だと考えています。

内田:

現地の方とのコミュニケーションは大変ですか。

小谷:

インドネシア語で団体交渉に応じるのは大変ですが、それを経験することによって、リーガルプロセスの大切さが分かります。そうすると、他の国に赴任した時も、うまく現地の社員とコミュニケーションが取れるようになります。

内田:

最近の若い人は、権限なんて無くてもいいから、安定した人生を送りたいという考えが多いようですよ。

小谷:

この間も、他の経営者と話をしていて、実は同じことを言っていたのですよ。昔はね、私と同世代の人というのは、とにかく海外に出てみたくて仕方が無かった。当時は円安で、海外旅行さえも高嶺の花だったから、会社のお金で海外に行かせてもらえるなら、これはもっけの幸いということですね(笑)。ただ、当時に比べれば今は円高じゃないですか。いつでも、比較的安く海外に行ける時代ですから、海外勤務に対する憧れが薄らぐのも当然なのかも知れません。特に男性で、海外に行きたがらない人は増えています。男性は引っ込み思案になってきたのかな~。

平林:

でも、女性は・・・・・・。

小谷:

そう。女性は積極的ですよ。海外勤務を命じても躊躇しませんからね。


フリーアナウンサー
内田 まさみ氏

内田:

その引っ込み思案の男性に対して、小谷社長ならどのような言葉を送りますか。

小谷:

「やってみなはれ」。この言葉はサントリーの創業者である鳥井信治郎氏の言葉として有名ですが、これをそのまま贈りたいですね。それをやることで、どれだけのリターンにつながるのかということばかりが優先してしまうと、仕事は途端に面白くなくなります。それよりも、ちょっとした遊び+ロスコストを社員に与えて、好きなように働いてもらった方が、長い目で見れば大きな成果につながる可能性がある。そういう可能性に賭けることができる社風を作っていきたいですね。

内田:

CSRにも積極的に取り組んでいらっしゃいますね。グローバル展開をしていくうえではCSRも重要ですか。

小谷:

会社はBSやPLのみで評価されるわけではないので、やはりCSRも重要だと考えています。弊社は製造業なので、エネルギーコストをいかに低減させていくかという点が、CSRでも問われてきます。


公認会計士 平林亮子氏

平林:

数字を見ると、非常に高い成長を維持していらっしゃいます。特にリーマンショック後の回復が目覚ましいですね。

小谷:

リーマンショックの時はどの会社も同じだと思うのですが、まず節約をしました。出るを制したわけですね。そこに2つの事業部門が急成長してきた。これが収益の急回復に寄与したわけです。
2つの事業部門とは、ロボットの部品を扱う精密機器部門とショベルカーの部品を扱う航空油圧部門です。先進国の経済は大きくシュリンクしましたが、当時は中国経済が今以上に元気が良くて、積極的な財政政策を打ち出し、公共工事をどんどんやりました。鉄道や高速道路網の整備も進みました。これらが受注増に貢献したのです。いうなれば、中国市場の成長にたまたま乗れただけと言う面はありますね。

内田:

でも、中国で人件費が今後、さらに上昇すれば、製造業を中心にして、ナブテスコの精密減速機が使われるロボットへの切り替えが進むのではありませんか。

小谷:

そのとおりです。中国の製造業ではロボットのニーズが今後、さらに高まっていくと思います。潜在的なキャパシティは非常に大きいでしょう。ここは経営的にも押えておきたいところです。

平林:

長期的にはどのような経営方針を考えていらっしゃるのですか。

小谷:

2020年に向けて長期ビジョンを策定しました。2020年までに売上高4000億円を達成しようというものです。自動ドアビジネス分野はすでに成熟しているので、安定収益をきちっと確保していく。ただ、それ以外の分野というのは、これから成長が期待できるものが中心ですから、この成長にしっかりビジネスを乗せていく必要があります。もちろん、成長分野にも欠点があって、これをどう克服していくかが、これから問われてきます。たとえば、商用車分野の伸びは期待できますが、これから先、商用車は価格競争の波に押されていくでしょう。
その時、商用車のパーツを作っている弊社が、いかに価格決定権を握れるかが問われてきます。またM&Aで売り上げを伸ばすという手もありますが、M&Aには時間を買うというメリットがある反面、組織を統合させていくうえでの難しさもある。

内田:

企業って成長しなければならないのですよね。

小谷:

ええ。企業は成長し続けていかなければなりません。だって、成長が止まったら 楽しくないですよね。成長が止まった企業というのは、それはもうコストカット一辺倒になります。これだと社員も仕事が面白くなくなります。多少の遊びもしつつ、社員がジャンプアップできる環境を作っていきたいですね。そのためには成長が必要なのです。何しろ2003年、2004年あたりと比べて、時代のスピード感が大きく変わってきましたからね。昔は携帯電話とパソコンだったのが、今やスマートホンとタブレットに取って代わろうとしている。かつては我が世の春を謳歌していたノキアが、深刻な経営不振に陥っている。パソコンもいずれ無くなる時代が来るのではないでしょうか。だから、今のニーズよりも先々のシーズを探さなければならない。それには型にはまったビジネスセンスよりも、遊びの感覚が必要になってきます。

弊社の社員が考えた合言葉、「エンジョイ・ザ・チャレンジ」の精神で、これ からも成長を続けられる企業を目指したいと思います。


掲載日:2014年2月28日

   
    

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