株式 VS 投信
金融商品として身近な存在となってきた投資信託(投信)ですが、本格的に投資を行っている方の間では、依然として株式への人気が高いのが現状です。投信もさまざまな商品が販売されていますが、なぜ株式を選ぶのか、投信には無い株式投資の魅力について解説します。
投資家が株式を選ぶ理由とは
株式投資の魅力として大きなものは、値上がりによるキャピタル・ゲインを期待することも、配当によるインカム・ゲインを期待することも可能な点にあるでしょう。
また、運用方法は投資家自身で全て選択することから、投資の醍醐味を感じることができます。株式は比較的投資金額も大きくなり、値下がりのリスクもありますが、自分の投資能力で利益獲得に挑戦することができるからです。投資先に関しても、割安の銘柄を自力で探し、大きなリターンを得られる喜びと可能性は、投資信託にはありません。株式投資は、能動的に投資に挑戦したいという方に向いている投資対象です。
株式投資で利益を得られるようになるには、株式や経済について自ら学んでいく必要はあります。しかし、十分な時間が確保でき、このプロセスを楽しめる投資家は株式を選択しています。
また、株式は売買で資産を増やしていく方が多いのですが、保有し続けたとしても、購入時の手数料以外に費用は発生しません。銘柄の選択次第では長期投資の手段としても十分活用できます。
意外に見過ごすことができない投信のリスク
投信はプロが運用するので株式よりもリスクが少ないと考える方もいるでしょう。しかし、投信にも特有のリスクがあります。株式と同様、投信も価格変動や金利、債券等の価格変動の影響を受けます。
また、注意すべきなのが、分配金の仕組みです。分配型投信の場合には、分配金を出した後、基準価額が下がります。これは総資産から分配金を支払うという投信の仕組みのためです。また、基準価額が下がるに従って、動かせる資金が減少することとなり運用には不利に働きます。
さらに、投信は多いもので年間2%程度の信託報酬が発生するものもあります。運用成績の優れない投信では、この手数料を考えると運用効果が無くなってしまうこともあるのです。
投信は基準価額が上昇した時に売却することはできますが、株式ほどの売却益を得られることは比較的少なく、長期的に保持する性格の強い投資商品です。
株に向く人、投信に向く人
株に投資する場合、その会社を取り巻くニュース等などの材料には常に見ておくことが必要です。そのため、時間をかけてでもしっかりと投資に取り組み、大きな利益を得たいという方に向いています。資金量が同額であった場合、投信で得られる利益は少額ですが、株式はその投資家の力量により、利益を大きく伸ばすことも可能です。価格変動リスクはありますが、短期から長期まで期間を選ばない投資ができます。
一方、投信は、運用は信託会社に一任することになります。投資家の能力や判断力というものは、最初の銘柄選び以外にはほとんど必要がありません。投資には興味があるが、指標をみたりするのは面倒だし、投資の勉強に割く時間が確保できないという方は、手間のかからない投信に向いているでしょう。
また、株式にない投信のメリットとしては、1万円程度の少額から投資や、積立による投資も可能な点でしょう。資金に制約がある場合には、投信が適しています。
株式と投信のどちらが優れていて、利益につなげることができるかは、投資家の投資スタイル次第だといえます。投資を勉強し、楽しみながら投資家として成長していきたい方は、株式投資の方がメリットが大きいと言えるでしょう。