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なぜ、企業は自分で自分の株買うの?

 

2016年1月~9月の上場企業の自社株買いは4兆3500億円という過去最高を記録しました。自社株買いは資本を圧縮することで1株当たりの利益を上げることができるため、株主にとってもメリットの大きなものです。しかし、買った自社株を最終的に処分するか、消却するかによって、その後の株価の動きは異なったものになります。企業が自社株買いを行った場合、市場や投資家にどのような影響があるのかをご説明します。

 

会社が自社株買いを行う理由とは

企業は資金を集めるために株式を発行しますが、自社株買いはその逆で、市場で流通している自社株を購入します。自社株買いが行われた場合、会社の利益は変化せず発行済株式数が減少するため、1株当たりの利益(EPS)や自己資本当期利益率(ROE)が上昇します。その結果、理論的には株価の価値を高めることになるため、株主への利益還元を目的として行われることもあります。傾向としては、自社株が下落している場合に自社株買いによる還元が、自社株が高水準である場合は増配が選択されることが多いです。

また、自社株を購入し内部留保を減らすことで、会社の過剰投資や事業拡大を阻止する効果もあり、経営の安定にもつながります。さらに、自社株式の一定数を確保することで自社株の保有比率を高め、敵対的買収を難しくするという効果もあります。保有比率の上昇だけでなく、自社株買いによって起こる株価の上昇は買収を考えている企業にとっては悪材料となるからです。

このほか、ストックオプションや新株発行、株式交換を目的とした自社株買いが行われることもあります。また最近では、JPX400銘柄に採用されるためのROE改善を目的とした自社株買いも増えています。

 

買った自社株がどう処理されるかが重要

会社が自社株買いを行った場合、一般的には株価の上昇につながるといわれています。しかし、会社が取得した自社株をどのように扱うかによって、その後の株価は左右されます。

ストックオプションなどを目的とする場合を除き、自社株買いによって所有した株はいずれ手放さなければなりません。会社が自社株を処理する方法は、公募による売却や第三者に割り当てを行う「自社株処分」と、取得した自社株そのものを消滅させる「自社株消却」の2つです。

「自社株消却」の場合は、発行済み株式は減少したままとなりますので、消却により株価の変動は起こりません。自社株買いを行った時に得られた経営数値改善の効果はそのままです。しかし、「自社株処分」の場合には、株式が他者に移転することになるため、発行済み株式として復活します。そのため、自己株買いを行った時の数値改善効果はなくなり、株価の下落要因となります。「自社株処分」の場合は、一種の増資と同様に考えるべきものです。

 

「自社株処分」の方法によっても影響の大きさが異なる

「自社株処分」の場合は、発行済み株式が増加する(元に戻る)ことによって、1株当たりの利益が減少するため、株価の下落を招きます。さらに、市場に株式が戻ることや経営数値状況が変化することにより、改善されていた需給関係が悪化し、さらに大きな下落となる場合もありますので注意が必要です。

「自社株処分」には、広く市場から買い手を募る公募形式による処分と、第三者割当による処分の2つの方法がありますが、株価に対する影響は異なります。資本提携先などの関連企業に対して第三者割当を行った場合には、その企業はそのまま株式を保有し続ける割合が高いです。そのため、市場の需給バランスに変化はあらわれず、株価にも影響を及ぼしにくいと考えられています。いっぽう、公募形式による処分の場合には、市場に出回る株式が増加するため、需給バランスの悪化によって株価が下落するリスクが高くなります。処分株数が多い場合にはさらに変動幅が大きくなるでしょう。

 

自社株買いは株価にはプラス要素です。しかし、その動きが一時的であるか恒常なものとなるかは、取得後の処分方法によって異なります。自社株取得後の消却は、数値改善効果が現実化するだけでなく、株式の価値が下がる恐れが少なくなることがメリットです。

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