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テクニカル分析の功罪

 

マーケットを分析する方法のひとつであるテクニカル分析は、否定論がありながらも今日も投資家の判断基準として利用されています。その理由は、投資家心理の傾向の推測や実際にトレンドを判断するのに有効な基準となり得ているからです。

どのようなケースでテクニカル分析が適しているのか、また利用する際の注意点について解説いたします。

 

テクニカル分析はなぜ有効だといわれるのか

テクニカル分析が有効といわれる理由は、マーケットの値動きにはある程度の法則性が見られる、という点に基づいています。

値動きを過去の時系列や実績から分析し、将来を予測しようとする考え方がテクニカル分析です。取引はマーケットに参加する投資家の判断によって行われるため、同様の環境となった場合、同様の行動をとるのでは、という理論がベースとなっています。

テクニカル分析の分析方法は多数ありますが、適切な局面で適切な分析方法を用いると、高い確率でマーケットの動きを予測できることがあります。また、値動きから現在の市場での投資家心理も推し量ることができます。

また、投資家が裁量で取引している場合、どうしても損切り等の判断が甘くなりがちです。その際、テクニカル分析によって、その判断の根拠を持たせておけば、投資家としては感情に左右されにくくなり、最初に想定していたルールに沿った取引が可能となります。このような心理面からもテクニカル分析は一定の有効性があるといわれるのです。

 

テクニカル分析が有効なケース

テクニカル分析は、主にマーケットの大まかな傾向をつかみ、売買タイミングを決定するために活用されています。値動きの傾向だけでなく、買われ過ぎ・売られ過ぎといった複数のシグナルも併用すると効果的に将来の値動きが予測できます。

テクニカル分析に確実性はありません。しかし、投資家の動向や心理状態によってもマーケットは十分に動かされますので、テクニカル分析は短期的なトレンドを追った取引を行う場合に非常に効果的です。また、ファンダメンタルズと異なった動きを見せている銘柄の場合にも、テクニカル分析が役立ちます。決算などの数値が思わしくないのに、株価が上昇しているケースなどです。この場合はトレンドラインをベースに取引方針を考えていくべきでしょう。

一方で、誰もが予想できなかったサプライズ・イベントでの急激なマーケットの変化や、個別に大きな材料が発生した場合には、テクニカル分析はほぼ無意味となる可能性もあります。

 

テクニカル分析の留意点

テクニカル分析は、あくまでも、過去の動き方を参考にして未来を予測しているにすぎず、必ずしも分析通りに動くものでもありません。分析の結果を過信して取引を行うのは危険です。

そして、テクニカル分析は、企業の投資価値や材料を判断しているものではない、ということを念頭に置く必要があります。テクニカル分析は、あくまでもトレンドの方向性を示すだけであり、投資価値とは無関係です。特に個別株を取引する際に重要となることですが、テクニカル分析は長期的な投資価値を考えるファンダメンタルズ分析とは対極にある考え方です。この会社は先々成長しそうだから投資する、という本来の目的とは大きく外れてしまうことになります。株の投資判断基準とされる貸借倍率といった要素は、テクニカル分析では使用されないのです。

しかし、チャートを見ずに取引を行う人はいないといわれるほど、テクニカル分析に基づいて投資判断を行う人は多くあります。特にトレンドの変換局面では、テクニカル分析によって導かれた抵抗線を超えた場合に大きく株価が変動することも多いという事象は、テクニカル分析に基づく取引の証拠ともいえます。

 

テクニカル分析の問題点は、それに従っておけば投資は成功するというイメージを投資家に植え付けていることです。本来はファンダメンタルズ分析で投資価値を判断した上で、売買タイミングの決定にテクニカル分析を用いるのが理想です。

   
    

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