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平林亮子氏 製造業を含め日本経済の底力は磐石 - インタビュー - FX・CFD

 

FX・CFD [インタビュー]

【第3回】平林亮子氏

製造業を含め日本経済の底力は磐石

くりっく株365の1つに、日経225平均株価という株価インデックスに連動する商品があります。日経225平均株価は、東京証券取引所1部市場に上場されている225銘柄の株価を平均したもので、個別企業の株価や業績がその動向を左右します。つまり、株式市場全体に投資するとはいえ、個別企業を見るということも、大切な要素になってくるのです。今回は会社を見るコツについて、公認会計士の平林亮子さんに伺いました。


日本の経済成長が低下するに連れて、日本企業に対する期待感が薄らいでいるようですが、日本企業の将来性をどう見ていますか?


公認会計士
平林亮子氏

平林氏:

正直なところを申しますと、世間で言われているのに比べると、元気が良いという印象を持っています。私が日常、お仕事で入らせていただいている会社は、株式を上場している大手企業ではなく、上場していない中小企業が中心なのですが、今の日本は中小企業にとって冬の時代といわれるように、非常に厳しい状況にあるのは確かです。しかし、企業に元気がないか、というとそういでもないのです。

この2、3年、日本企業は今まで以上に厳しい試練に直面しました。2007年のサブ・プライムローンショック、そして追い討ちをかけるように、2008年にはリーマンショックが生じて、売り上げは大幅に減りました。

中小企業は、大手企業からの仕事を受注することによって生計を立てているケースも多いですから、大手企業の売り上げが激減すれば、中小企業の売り上げもつるべ落としで下降するという状態でした。なかには8割以上も売り上げが減った会社もあるくらいでした。もともとダメな会社というのは、その時点で撤退を強いられたようです。

ところが、すべての会社がダメになったというわけではなく、それだけ厳しい状況のなかでも、しっかり生き残った会社もたくさんありました。そういう会社は、今までにない試練を乗り越えて生き残ってきていますから、経営体質も極めて強いというわけです。つまり、経営環境が苦しくなるなかで無駄をそぎ落とし、自ら積極的に筋肉質の経営体質に作り変えているのです。日本企業は、まだまだ強いと思いますよ。

そういう経営体質の強い企業というのは、どういう工夫をしているのでしょうか。

平林氏:

確かに、日本の市場自体には飽和感があります。少子高齢社会になっていますから、今後10年、20年先を見た場合、消費がどんどん拡大していくこともないでしょう。国内需要はこれから後退局面に入っていくと思います。

ただ、そういう厳しい状況であったとしても、企業は経営を維持していく必要がありますから、さまざまな工夫をする必要があります。今、生き延びて、かつ元気のある企業は、それこそ知恵を出し合って、新しいビジネスチャンスを獲得しようと必死です。

日本国内の市場が縮小傾向にあるのですから、それでも企業の業容を拡大しようとするならば、海外に活路を求めるしかありません。海外進出というと、大企業の話題が中心となりがちですが海外進出に積極的な中小企業もたくさんあります。そしてここ数年の間に新たに進出した例もあるのです。

進出先としては、やはり中国を含むアジア諸国、そしてアメリカが多いようです。中国は毎年2桁の経済成長を続けていますし、中国以外のアジア諸国でも、たとえばベトナムをはじめとするメコン川流域にある国は、中国のあとの成長センターとして注目されていますし、インドも高い経済成長を維持しています。アジアの場合、何よりも人口が多いこと、人口の構成員の年齢が若いこと、といった点が、高い経済成長率を支える原動力になっています。

そしてアメリカ。先進国という括りで、欧州や日本などと同じグループに見られているアメリカですが、経済成長のポテンシャルは、欧州諸国や日本などに比べてはるかに高いと思います。

何しろ広大な国土を持っていますし、人口も移民政策が功を奏して、増加傾向をたどっています。人口が増えるというのは、経済成長を支える何よりの要素です。アメリカは、先進国の仲間ではありますが、そのなかでも格段に若い国といえるでしょう。先進国でありながら、新興国に近い要素も持ち合わせているのです。

日本から海外に進出している企業のなかには、中国やインドのような新興国ではなく、アメリカを目指しているところもあります。サブ・プライムローンショック、そしてリーマンショックと、二度にわたる大きな経済混乱に巻き込まれたのは事実ですが、その後、一度は倒産したGMも、わずか2年程度で株式を再上場するところまで回復してきました。雇用も、いよいよ民間部門を中心にして回復基調に入っています。これらの現象を見ると、アメリカ経済というものが様々な側面を持っていると感じます。

このように、成長余地の大きな国、マーケットを狙って進出の機会を伺っている企業というのは、非常に強いということがいえます。

さまざまな手を打って生き延びている会社に共通する要素というものは何でしょうか。

平林氏:

これは上場企業でも、中小企業でも同じですが、やはり本業重視であるということ。これはとても大事です。かつてバブル経済の頃は、本業をおろそかにして、財テクに走った企業も少なくありませんでした。そういう企業が今も生き残っているかというと、やはり多くの会社が撤退に追い込まれています。本業をしっかりと見極めて、それに集中するというのが、企業の競争力を高めるうえで大事だということでしょう。多角化や新しいチャレンジは必要であったとしても、各企業本来の役割を果たすことが大切なのです。

もうひとつ大事なのは、やはり経営者の姿勢です。確かに今は非常に景気が悪い状況です。売り上げも伸びませんし、利益を出すのもなかなか大変です。

でも、厳しいのはどこも同じことです。そのような時、景気が悪いから仕方がないと諦めるのではなく、景気が悪くても、どこかにチャンスがあるはず、何か出来ることはあるはず、と思って絶えず動いている経営者がいる企業は、どんな困難に直面したとしても、伸びていく可能性があります。

これは大企業も、中小企業も同じですが、経営者の存在によって、企業のカルチャーは大きく変わります。瑣末なことではありますが、経営者が変わると、それだけでデスクの配置自体も大きく変わる。経営者の存在というものは、企業の隅々まで大きな影響を及ぼすのです。だから、経営者が元気な企業は強いのです。

日本経済の未来は明るいのでしょうか。それとも、これから先、暗い状況に落ち込んでしまうのでしょうか。

平林氏:

私は、日本で生活していますし、日本が大好きですから、日本経済の未来は明るいと信じたい。ただ、今はデフレが進み、少子高齢問題も深刻化していますから、どうしても先行きに対して暗い気持ちを抱いてしまいがちです。そして将来不安があるから、皆なかなかお金を使えない。すべて貯蓄に回してしまう。こうした悪循環に陥っています。

でも、先に申し上げたように、企業は徐々に元気を取り戻しています。日本国内の需要が後退しているのであれば、海外に目を付ける。そういうたくましさを持った企業が増えてきています。

企業が元気になれば、さまざまなところに、プラスの影響が及んできます。企業で働く従業員も元気になりますし、家計も元気になります。最近、日経平均株価などを見ると、ようやく底を打って上昇に転じてきました。これなどは、まさに日本企業が徐々に元気を取り戻しつつある証拠だと思います。日本経済にとって明るい兆候だと考えることができるでしょう。


ETFに投資するにしても、株式に投資するにしても、また日経平均225平均株価のようなインデックス(指数)に投資をするにしても投資行動を支える原点は企業に興味を持つことだと思うのですが、どうすれば企業に対する関心を持てるようになりますか?

平林氏:

企業に興味を持つというと、たとえばバランスシートを読みこなせるようになる、あるいは新開発される製品事情に詳しくなる、といったことを、まず思い浮かべる人が多いと思います。

もちろん、私のように公認会計士としての仕事をする場合、あるいはアナリストの仕事をする場合であれば、バランスシートや業績動向、あるいはキャッシュフローの状況などを読みこなせるようにする知識を持つことが大切になります。

そして投資をする場合も、この手の知識は持っているに越したことはありません。でも、そこにばかり焦点を当てようとすると、勉強することが山盛りで、興味を持つというところに行き着く前に、疲れ切ってしまいますから、もう少し生活に近いところで、企業の存在に気づくような工夫をしてみてはどうでしょうか。

たとえば、コンビニエンスストアに買い物に行ったとしましょう。陳列棚にはさまざまな商品が並んでいます。それを手にとって、パッケージの裏側にある商品シールを見てみてください。製造元には企業名が書かれています。「あ、この商品、人気があるけれども、この会社が作っているんだ」というように、新しい発見があります。

これを繰り返していくうちに、少しずつ企業に対する興味も湧いてくるでしょう。日経225平均株価などは、こうしたさまざまな企業が225銘柄集って構成されているものですから、企業名を覚えていくだけでも、この企業の株式は225銘柄に含まれている、この企業は含まれていない、ということが自然と分かるようになっていきます。

そうすれば、日経225平均株価のような、一見すると、無味乾燥な株価インデックスという存在にも、興味が持てるようになるのではないでしょうか。投資を始めるためには、まずどれだけ企業を身近な存在に感じることができるかということが大切だと思います。


Fanet MoneyLife(掲載日:2011年01月20日)


平林 亮子(ひらばやし りょうこ)氏

経歴

公認会計士、平林公認会計士事務所所長、アールパートナーズ代表
女性士業プロジェクト「ソフィアネット」プロデューサー。
ベンチャー企業のコンサルティング、書籍の執筆、大学や各種セミナーの講師などを努める。「楽しく幸せに生きる」がモットー。
著書に『決算書を楽しもう!』(2010年ダイヤモンド社)、『5人の女神があなたを救う ゼロから会社を作る方法』(2008年、財務経理協会)、『1日15分! 会計最速勉強法』(2008年、フォレスト出版)など。

   
    

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