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深野康彦氏 CFDのメリットはリスクヘッジとスペキュレーションの両方ができること - インタビュー - FX・CFD

 

FX・CFD [インタビュー]

【第4回】深野康彦氏

CFDのメリットはリスクヘッジとスペキュレーションの両方ができること

「デリバティブ取引」は、個人にはまだあまり馴染みのない取引ですが、実はレバレッジを効かせた投機的な取引だけでなく、リスクヘッジにも有効です。くりっく株365をはじめとするCFDも、デリバティブ取引の一種。今回は、ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんに、CFDの使いこなし方について伺いました。


資産運用をするにあたって、くりっく株365などのデリバティブ取引を、どのように活かせば良いのでしょうか。


ファイナンシャルプランナー
深野康彦氏

深野氏:

先物取引などのデリバティブ取引には、3つの取引手法があります。ひとつは裁定取引といって、価格の歪みを利用してサヤ取りを行うこと。2つめは売りポジションを持つことによって、保有銘柄の株価などが値下がりした時のリスクヘッジ。そして3つめが、レバレッジを活用したスペキュレーション、つまり投機的な取引です。

このように、デリバティブ取引は以上の3つの取引手法が可能ですが、なかでも個人投資家が資産運用に活用するのだとすると、リスクヘッジとスペキュレーションということになるでしょう。

たとえば、投資信託や現物株式などのポートフォリオを保有しており、基本的にそのポートフォリオを長期保有したいと考えている人がいるとします。でも、株価が下落すれば、保有ポートフォリオには含み損が生じます。気分的に、どうにもよろしくない。このような時、くりっく株365で、日経225証拠金取引を売っておけば、株価が下落した時、その売りポジションには利益が生じますから、保有している投資信託や現物株式ポートフォリオの含み損を解消、あるいは軽減することができます。

これに対してスペキュレーションとは、レバレッジを高めることによって、実際に現物で投資するよりも、高い利益率が得られるというものです。たとえば証拠金として10万円を預け、それを元手にして10倍の100万円分の取引ができるのです。少ない元手で大きな取引ができますから、証拠金に対する利益率は自ずと高くなります。

サヤ取りは瞬間、瞬間の価格の歪みを利用して収益を確保していく取引ですから、マーケットをずっと見ていなければならず、それは個人投資家にとって、現実問題としてかなり難しいでしょう。したがって、リスクヘッジとスペキュレーションの2つが、個人でも簡単にできるデリバティブの取引手法ということになります。

どのような点が、くりっく株365のメリットですか?

深野氏:

今、申し上げましたように、個人でも簡単にリスクヘッジが出来ること、そしてレバレッジを効かせて高いリターンを狙うことができるという点が、くりっく株365を初めとするデリバティブ取引のメリットになるのですが、なかでもレバレッジについては、スペキュレーションという側面だけでなく、資金効率を高めるというメリットにもつながります。

たとえば、レバレッジを10倍に設定したとすると、100万円の取引を10万円の証拠金で可能になるわけです。つまり、現物取引なら100万円のキャッシュが必要な取引でも、くりっく株365のようにレバレッジを効かせれば、その10分の1、つまり10万円のキャッシュがあれば、同等の取引ができます。

本来であれば、100万円を用いてようやく取引可能になるものを、10万円のキャッシュを証拠金として預けるだけで取引できるようになるのですから、この資金効率の良さを活かさない手はありません。100万円のうち10万円だけを証拠金として預託し、残りの90万円を外貨に投資するという組み合わせも考えられるでしょう。そうすれば、実質的には190万円に相当する取引ができることになります。

加えて、くりっく株365には、日経225証拠金取引だけでなく、FT100証拠金取引、DAX証拠金取引、FTSE中国25証拠金取引など、海外の株価指数に連動する証拠金取引もあります。過去、このような海外の株価指数に連動するデリバティブ取引はありませんでしたから、海外資産を保有している人にとっては、そのリスクヘッジ手段が手に入るという意味で、有効だと思います。

ただ、個人の資産運用では、売りから入ったり、レバレッジをかけたりする投資手法は、なかなか浸透しないようです。

深野氏:

そうですね。個人が資産運用をする場合、売りによって保険をかける、という発想が、まだそれほど浸透していません。

これは、FXについても言えます。FXもCFDと同じように、売りからエントリーすることができますが、ほとんどの投資家は外貨の買いから取引を始めています。円安トレンドなら外貨の買いから取引を始めても良いのですが、円高トレンドの時なら、やはり外貨の売りから取引を始めるべきですし、買いだけでなく、売りからも取引ができ、かつ利益が狙えるということを理解しておけば、それだけ収益機会も増えるのです。

不思議なことに、どうも売りから取引を始めることへの抵抗感があるようです。それどころか、値段が下がった時、売りを用いてリスクヘッジするのではなく、逆に値頃感を重視して買ってしまう人もいます。

それは、どことなく買い物感覚に近いものがあります。食料品でも何でもそうですが、たとえばスーパーマーケットで値引き販売を行っていると、多くの人が「トクをした」とばかりに飛びつきます。値頃感で買いに動く人というのは、まさにそれと同じ感覚で資産運用をしていることになります。

でも、これはマーケットには通用しません。株価でも為替レートでも、大事なのはトレンドを見極めることです。下降トレンドのなか、すでに現物のポジションを持っているならば、リスクヘッジのためにくりっく株365を売る。現物株式のポートフォリオは持っていないけれども、より積極的にリターンを追求したいのであれば、くりっく株365でレバレッジをかけて売り建てる。とにかく、「売り」にアレルギーを持たないことが、より有利な運用につながっていくはずです。

レバレッジをかける場合、特に注意するべき点は何でしょうか。

深野氏:

10万円の証拠金で100万円の取引をするとしたら、単純にリスク・リターンのレベルは10倍になるということですから、大きく利益を得ることができる半面、大きく損をする危険性もあります。したがって、リスクコントロールをきちっと行うことが大切です。そのためには、自分が負うことができるリスクの範囲内で、レバレッジを設定することです。

それとともに、しっかり投資戦略を立てることも必要です。ただ、漠然とトレードをしても、損失を拡げるだけですから、たとえばこれだけの利益を得られたら利益を確定させる、損失がこれだけ拡大したら損切りをする、というように、取引を始める前にルールを決めておきましょう。

もし、10%の損失で損切りをするのであれば、利益は最低でも15%は欲しいところです。8%の利益が得られたとしても、一方で10%以上の損失を出してばかりいたら、いつまで経っても利益を積み上げることはできません。むしろ、どんどん投資元本は目減りしてしまます。実は、この手のレバレッジをかけたトレードで失敗している人の多くに共通するのが、投資する前に何の戦略も立てていないということなのです。

それと、流動性にはくれぐれも注意すること。流動性とは、売りたい時に売れる、買いたい時に買えるだけの取引が、市場にあるかどうかということですが、ここに気を配らない個人投資家が、結構大勢いらっしゃいます。でも、どれだけ大きな利益が得られていたとしても、反対売買で利益を確定させていなければ、それは絵に描いた餅に過ぎません。利益を確定させるためには、市場にある程度、厚めの流動性が必要になります。

資産運用をされる方は、たとえばどの商品で運用しようとか、どのタイミングがいいか、あるいはコストはどのくらいかかるのかとか、要は入り口にはとても気を使うのですが、なぜか損益を確定させる出口に対しては、それほど気を使わない方が大勢いらっしゃいます。ただ、運用は利益を確定させて完結するわけですから、これから資産運用を始める方は、きちっと出口戦略にも関心を持って対応するべきだと思います。


今後、くりっく株365をはじめとするデリバティブ取引は、個人にもどんどん浸透していくでしょうか。

深野氏:

これまで、個人向けに誕生したさまざまな金融商品、サービスの傾向を見ていると、プロの投資家向けに作られた商品が、徐々に小口化されて、個人向けに販売されるというパターンをたどってきました。

FXもそうです。もともと個人投資家が外貨に投資しようとしたら、外貨預金や外国債券などを利用するしか方法がありませんでしたが、FXの登場によって、いつの間にか外為ディーラーと同じように、リアルタイムで外貨を売買できる環境が整いました。

CFDも、これが誕生したことによって、個人でも簡単に機関投資家が行っているようなリスクヘッジが可能になりました。金融商品やサービスの自由化は、ここ10年で大きく進み、もはやツールの機能面では、個人投資家も機関投資家も大差が無くなってきつつあるようです。ただ問題なのは、個人の場合、あまり商品内容を理解しないままに使ってしまっている人が多いことです。商品内容を熟知していないと、周りからの情報に踊らされて、不要に高いリスクを負ってしまったり、結果的に大きな損失を被ったりしてしまうことになりかねません。

せっかく、さまざまな自由化が進み、個人でも機関投資家が使っているようなツールを、手軽に扱えるような環境が整ってきたのですから、そのチャンスを自分の資産形成に活かせる方法を考えることが大切です。そしてそのためには、金融商品についてしっかり勉強をし、商品内容を理解してから、取引に臨むことです。何も理解せずに取引すると、思いもかけないところでリスクの罠にはまりこんでしまう恐れがあります。

個人の資産運用に対する意識がもう少し高まれば、デリバティブ取引も一部のマニア的な個人投資家だけでなく、もっと幅広い個人投資家層に受け入れられるようになるのではないでしょうか。


Fanet MoneyLife(掲載日:2011年02月25日)


深野 康彦(ふかの やすひこ)氏

経歴

有限会社ファイナンシャルリサーチ代表
ファイナンシャルプランナー
1962年埼玉県生まれ。大学卒業後、クレジット会社を経て89年4月に独立系FP会社に入社し、96年1月に独立。FP業界歴22年目。現在のファイナンシャルリサーチ(06年1月設立)は2社目の起業。著書に『これから生きていくために必要なお金の話を一緒にしよう!』(ダイヤモンド社)など多数。ラジオ日経では『深野康彦のマネーマガジン』のパーソナリティーを担当している。

   
    

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