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陳 満咲杜氏 自分の投資スタンスを明確にすること - インタビュー - FX・CFD

 

FX・CFD [インタビュー]

【第6回】陳 満咲杜氏

自分の投資スタンスを明確にすること

この10年、個人の資産運用ツールは多様化が進みました。インターネットを通じての株式取引、投資信託、FX、そしてCFD。貯蓄から投資へという流れのなかで、資産運用の選択肢は着実に広がってきています。ただ、多様化が進む一方で注意しなければならないのは、なぜその商品で運用するのか、ということです。自分のスタンスをしっかり見極めることが、資産運用の成功の第一歩。今回は陳アソシエイツ代表の陳満咲杜氏に、CFDで資産運用をする際のポイントを伺いました。


くりっく株365をはじめとするCFDは、個人の資産運用にどのような役割を果たすのでしょうか。


陳アソシエイツ代表
陳満咲杜氏

陳氏:

CFDという投資ツールは、リーマンショック以前からあったのですが、やはり注目されるようになったのは、リーマンショック以降だと思います。

それまで日本の投資家は、国内投資は株式の個別銘柄で、リスク分散は国際分散投資を行うというパターンが中心でしたが、リーマンショックによって、特に国際分散投資のリスク分散効果があまりないということに気づきました。何しろ、世界中の株式が一斉に値下がりしたのですから、国・地域別に幅広く分散したとしても、ほとんど効果が無かったのです。

こうしたなかで、CFDに対する関心が高まってきたように思えます。

CFDの場合、売りから入ることも簡単にできますから、株価などマーケットが下落局面にある時でも、利益を狙うことができます。つまり、買い持ちで長期投資を行っている投資家にとって、分散投資以外のリスクヘッジ手段が得られたことになります。

加えて、FXがすでに個人投資家に浸透していたということも、CFDの普及につながったと思います。

FXの場合、何かの通貨を買うということは、他の通貨を売って初めて成立するので、売りに慣れるというよりも、買いの一方には常に売りがあるということなのですが、日本人の場合、基本的に円を売って外貨を買うという取引が主流でした。そのなかで、外貨を買うばかりではなく、外貨を売るという手法を覚え、それが投資対象を売るという取引に対するアレルギーを軽減させた面があります。それも、CFDに対する関心が高まった背景にあると思います。

また、くりっく株365のような取引所CFDがスタートしたことにより、CFDがより一段と投資家にとって使いやすくなったのも事実です。金利相当額が、現状では金利の低い国内短期金利を参考に決められるため、店頭CFDに比べて買い方時に負担するコストが安く済むことや、配当金相当額も含めて透明性が高いというメリットがあり、CFDが取引しやすくなりました。

売りから入れる取引手法といえば、日経225先物取引もあると思います。そのなかでCFDに注目している人は、どういう点にメリットを見出しているのですか?

陳氏:

ご存じのように、日経225先物取引も売りから取引を行うことはできますが、特に今回の震災直後、株価が急落するなかで、日経225平均先物でポジションを持っていた方のなかには、かなりの損失を被った方もいらっしゃいました。ロスカット機能が無かったため、多額の追証が発生したのです。

この点、CFDはFXと同様、損失が一定金額以上に膨らむとロスカット機能が作動しますから、青天井で損失が膨らむということがありません。

また、CFDの方が値段の連続性があるという点も評価できるでしょう。先物などの場合だと、どうしても日本のマーケットがクローズしている時間帯は、取引のしようがありませんが、日本時間で深夜の時間帯は、米国の株式市場で取引が行われており、シカゴでは日経225先物も取引されています。そこでの価格動向は、翌日の日本における日経225先物にも反映されますから、やはり深夜に取引できないというのは、マイナスになります。この点、CFDは夜中の時間帯でも取引可能なので、海外市場の動向にリアルタイムで対応できるというメリットがあります。

投資する際の注意点は?

陳氏:

CFDは、自分自身が許容できるリスクに応じて、自由にカスタマイズできる点が魅力です。もちろん、レバレッジを高めにしたハイリスク・ハイリターン型の取引もできますし、レバレッジを1倍にした取引もできます。だから、大事なことは、自分自身がどのような取引をしたいのかということを、しっかり認識することです。

一番避けたいのは、もともと短期トレードのつもりでCFDの取引を行っていたのに、損が生じたからといって、突然、それを長期保有に切り替えるというような行動です。

基本的に、短期トレードと長期保有とでは、取引を始めた時点で、全く別物になっています。銘柄の選び方もそうですし、レバレッジのかけ方も違っているはずです。短期トレードを前提に、レバレッジを高めにして取引を始め、そこで損失が生じたから長期保有に切り替えたとしても、すでにそれは長期保有であるべき取引のスタンスとは、大きく異なっています。短期トレードで損をした場合の対処法は、価格が回復するのを待つために長期保有に切り替えるということではなく、素早く損切りして少しでもロスを少なくするということです。ですから、短期トレードを前提に取引を始めたのであれば、あくまでもそれを貫くことが肝心です。

リスクヘッジ目的でCFDを活用する場合は、長期で売りのポジションを持つという形になりますか?

陳氏:

よく、株式は長期投資をすれば、値下がりリスクが小さくなるなどと言われますが、これからは、長期投資派も株価が下がることを前提にして、リスクヘッジなどを考えた方が良いと思います。

日本は、これから国の成長力が低下していくことを考えれば、長期的に株価が上昇を続けるという保証はどこにもありませんし、米国だって、これからもずっとブルマーケットであるとは限りません。場合によっては、90年代の日本のように、長期にわたって株価が下落するというケースも考えられます。

したがって、株価が下落に転じた時のリスクヘッジ手段は、きちっと考えておく必要があります。

ただ、いくらリスクヘッジ手段だからといって、ずっとCFDの売りポジションを維持し続けるのは、止めた方がいいでしょう。相場は上昇、下落を繰り返すものですから、仮に上昇トレンドがしばらく続くような局面で、CFDの売りポジションを持ち続けていると、その損失によって、現物株式の値上がり益を十分に享受できなくなる恐れがあります。

したがって、CFDの売りによるリスクヘッジも、その時々のマーケット環境に合わせて、柔軟に行うべきだと思います。


どういう時にリスクヘッジを行えば良いのですか?

陳氏:

やはり、自分自身で、どういう状況になったらCFDの売りによるリスクヘッジを行うかというルールを作っておき、それにしたがって、取引することをお勧めします。

たとえば、20日移動平均線や100日移動平均線といったシグナルをチェックして、すべての移動平均線が下向きになったら、CFDを売り建てて、株価の下落に備えるといった方法を取ると良いでしょう。リスクヘッジだからといって、ずっと売りポジションを持ち続けるのではなく、状況に応じて売り建てたり、それをはずしたりということを繰り返すことによって、マーケット環境に応じた柔軟なリスクヘッジが可能になるのです。

短期トレードで成功するためのポイントは?

陳氏:

短期トレードの場合、これが絶対に正しいという成功法則はありません。10人のトレーダーがいるとしたら、それこそ10人それぞれ成功法則は異なります。ですから、自分が勝つための法則はこれなのだ、というものを見つけるように努力することが肝心です。

ただ、これだけは絶対に注意しておくべきだというものはあります。それは、リスクコントロールをしっかり行いましょうということです。

短期トレードの場合は、どうしてもレバレッジを高めにして、より大きなリターンを狙う形になりますから、自分の持っているポジションとは逆の方向にマーケットが動き始めた時に、どうやってそのリスクを最小限に抑えるかということを、きちっと考える必要があります。

特に、株価指数などを対象にしたCFDは、FXに比べてボラティリティが高くなりますから、この点は非常に重要です。たとえば、レバレッジを10倍に設定したとして、原資産に2%の損失が生じたら、その時点でストップロスをするというようなルールを設けておくのです。

レバレッジ10倍で、原資産に2%の損失が生じた場合、証拠金に対しては20%の損失が生じることになります。次の取引で損失を回復させるということを考えると、1回のトレードで、あまり大きな損失は出したくありませんから、こうしたストップロスの設定は、きちっと行うべきでしょう。

最後に、エントリー、イグジットをする際の注意点は?

陳氏:

どこでエントリーするか、イグジットするかというのは、つまり投資先が今後、どういう動きをするのかということを考えるのと同じ意味になります。

これは、やはりその株価指数を取引している主な投資家の考え方というものを、きちっと把握することです。

たとえば、日経225を対象にしたCFDであれば、日本の投資家が今、何を材料として注目しているのかを考える。FTSE100を対象にしたCFDなら、イギリスの投資家が今、何に注目して株式のポジションを取ろうとしているのかという点に注目する。そうすれば、徐々に何を判断材料にすれば良いのかということが、見えてくるはずです。


Fanet MoneyLife(掲載日:2011年06月01日)


陳 満咲杜(ちん まさと)

経歴

陳アソシエイツ代表
1992年に来日し、生活費と学費をアルバイトでまかないながら、大学時代より株投資を開始。中国情報専門紙の株式担当記者を経て黎明期のFX業界へ。香港や米国の金融機関で研修を重ね、トレーダーとしての経験を積む。GCAエフエックスバンク マネージングディレクター、イーストヒルジャパン チーフアナリストを経て独立。日本、中国、台湾地域をカバーした執筆、講演、情報サービス、投資家教育などの活動に取り組んでいる。日本テクニカルアナリスト協会検定会員。
【主著】「FXトレーディングの真実」「CFDトレーディングの真実」(扶桑社)、「着物トレーダーを卒業せよ 陳満咲杜の為替の真実」(青月社)など。
「財産見直しマニュアル」(ぱる出版)、「外貨でトクする本」(ダイヤモンド社)、「一人勝ちの『株』作戦」(KKベストセラーズ)、「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)、「硬派の戦略投資」(角川SSC)、「FXチャート『儲け』の方程式」(アルケミックス)、「なぜFXで資産リッチになれるのか?」(テクスト)、「世界一わかりやすい~はじめてのFX『儲け』のコツ」(アルケミックス)など多数

   
    

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