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荻野金男氏 グローバルマネーの行方 - インタビュー - FX・CFD

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FX・CFD [インタビュー]

【第11回】荻野金男氏

グローバルマネーの行方

世界的な金融緩和によって生じた過剰流動性が、国境を越えて蠢いています。こうしたグローバルマネーが今後、どこに行くのか。それが株式市場や債券市場、為替市場の動向を大きく左右しています。今、ユーロで債務危機が深刻化するなか、グローバルマネーは今後、どこに向かうのでしょうか。今回はグローバルインフォ取締役の荻野金男さんに、話を伺いました。


「グローバルマネー」と称される投機資金は、何を根拠にして投資先を決めているのですか?


荻野金男氏

荻野氏:

一般的にグローバルマネーと呼ばれている資金は、ヘッジファンド、機関投資家、そして個人投資家も含めた投機マネーのことを指しているのですが、大きな流れで言うと、最終的にグローバルマネーの動きを規定するのは、米国の為替政策、金融政策になります。したがって、現状のように米国がドル安政策を取るとともに、政策金利をゼロ%に近い水準まで引き下げている状況下では、やはり米ドルが売られやすい状況になります。米国は今後5年間で輸出を倍増させるという目標を掲げていますから、政策的には米ドル安を持続させたいと考えています。

ただ、最近はリスクオン、リスクオフが、こうしたマネーの動きを規定するなどと言われています。リスクオンというのは、マーケットが比較的安定している結果、市場参加者がより大きなリスクを取ることができるため、円や米ドルのような低金利で資金を調達し、新興国や高金利国などに投資するという流れになります。このような状況下では、円や米ドルのようなファンディング通貨が売られ、新興国通貨や高金利国通貨が買われます。

ところが、ユーロ危機などによってマーケットに混乱が生じると、今度はリスクオフといって、リスクを最小限に抑えた運用を行うようになるため、新興国や高金利国への投資を避け、相対的に安心できる資産に資金をシフトさせる動きが強まります。結果、新興国や高金利国の通貨が売られ、円や米ドルが買われるようになります。

ユーロ危機が深刻化するなかでは、当然、ドル資産が買われてくるということですか?

荻野氏:

多くの市場参加者は今、債券市場でどのような動きが出てくるのかという点を、大いに気にしています。ユーロ危機の発端になったのは、ギリシャにおける債務危機ですが、実はこの問題は今に始まったことではなく、前々から噂されていました。ただ、2010年時点のユーロ圏における債務規模に占めるギリシャ国債の比率が3%しかなかったため、多くの市場参加者は、大した影響にはならないだろうと、タカを括っていたのです。

ところが、いざギリシャに破綻リスクが生じ、資金調達コストが跳ね上がると、今度はイタリアでも格下げリスクが浮上してきました。そのほか、スペイン、フランス、ポルトガルなどの国債も利回りが急上昇しましたが、ECBがこれらの国々の国債を買うことによって、何とか資金調達コストが急騰するのを防いでいるというのが現状です。いずれにしても、ユーロ危機が収まる気配を見せない以上、市場参加者はユーロを売って、より安全性の高い資産に逃げようとします。

このような状況下においては、世界で最も安全性の高い資産ということで、米国国債に資金が流れやすくなります。基本的に、米国の株価と債券価格は、逆相関で動く傾向があり、債券が買われている時は株式が売られ、逆に株式が買われている時は債券が売られます。

ところが、2011年11月の動きを見ると、マーケットが非常に荒れて、米国の株式も債券も、両方売られる状況になりました。結果、どこに資金が向かったのかというと、短期債市場でした。短期債は現金化されるまでの期間が非常に短く、市場での流動性も高いので、債券よりも安全性が高いと認識されています。こうした短期債市場の滞留している資金のことをキャッシュパークといい、ここに資金が向かったのです。

加えて11月は、ヘッジファンドの売り圧力も非常に強まりました。ヘッジファンドは「45日ルール」といって、ファンドを解約する場合には、45日前から運用会社に解約の申し出をしなければならないというルールが設けられています。年末にかけて資金需要が高まるなかで、11月がちょうど45日前ということから、ヘッジファンドに資金を拠出している投資家からの解約注文が出てきました。結果、ファンドに組み入れられている株式や債券、コモディティなどが売られ、その資金も多くがキャッシュパークへと向かったのです。

ユーロ危機が落ち着くためには何が必要ですか?

荻野氏:

現状ではECBがラストリゾートでしょう。つまり、ECBがお金を刷って、流動性を供給しないことには、この危機は一段落しません。IMFの救済に期待する声も上がっていますが、現状ではIMFにも、これだけの債務危機を収束させるうえで必要な資金を供給できるほど、余裕がないというのが正直なところです。

当初、EFSFには4,400億ユーロの資金があると言われていましたが、これはあくまでもギリシャ、アイルランド、ポルトガルを救済するために用意された資金であって、それを超える危機には対応していません。イタリアやスペイン、フランスが破綻した場合までは想定されていないのです。

ただ、現状では、ユーロの債務危機がこうした国々にまで及んでいるので、当初の4400億ユーロを超える資金が必要になってきています。それをどこの国が提供するのか。一部では、中国がIMFを通じて資金を供給するのではないかと言われていますが、最終的にはドイツが資金を出すというのが、最も現実的な解決方法でしょう。そして、こうしたユーロの問題が落ち着くまで、グローバルマネーがキャッシュに向かうという動きが続くと見ています。

今後のグローバルマネーの動きを見ていくうえでの注目材料は何でしょうか。

荻野氏:

今、申し上げたように、ユーロの問題が一段落するまで、グローバルマネーはリスクオフの動きを強めるため、キャッシュへと流れていきます。したがって、FRBのキャッシュポジションは、しばらく上昇傾向をたどるでしょう。それは、ドル買いの動きを促進することになります。

加えて、今後のグローバルマネーの動きを規定する材料としては、バーゼル?が注目されます。これは、銀行の自己資本比率を現状の8%から9%に引き上げるというもので、要は銀行のリスク耐性を高めることを目的にしたものですが、仮にこれが実施されるということになると、銀行は自己資本比率を引き上げるため、保有している資産の一部を売却しなければならなくなります。

リーマンショックまでは、どの金融機関もレバレッジを高めることによって、資産運用の効率化を図ってきました。つまり、外部からの借入を行い、負債を膨らませると同時に資産を膨らませていったのです。ただ、負債を膨らませると、当然のことながら自己資本比率は低下します。バーゼル?では、それを現行の8%から9%に引き上げるというルールが適用されるわけですから、負債を減らすために、保有資産を売却することになります。まさにディレバレッジの動きが、世界的に広がっていく恐れがあるのです。

もちろん、資産と負債を減らさなくても、増資することによって自己資本を厚めにし、自己資本比率を高めるという手もあるのですが、今の経済環境では、簡単に自己資本を調達することはできません。したがって、これからバーゼル?が適用されるまでは、ディレバレッジとともに、保有資産を売却する動きが広まっていくと思われます。

銀行が保有資産を売却した結果、ベアマーケットの傾向が強まると、ヘッジファンドなども保有資産の売却に動くため、売りが売りを呼ぶ形になります。その時、何が売られるのかということですが、これは、レバレッジ投資が行われていた時に仕込まれたものですから、資源国通貨、高金利通貨、あるいはエマージング市場の株式などが、売りの対象になります。

実際、ブラジルレアルの動きを見ても、そのことが良く分かります。ブラジルでは、海外からの資本流入を抑制するため、金融取引税を導入していましたが、それを大幅に引き下げた今も、ブラジルレアルは売りに押されています。これなども、世界的にディレバレッジの動きが広まっている証拠のひとつです。


今後の円相場をどのように見ていますか?

荻野氏:

少なくとも2012年6月くらいまでは、FRBが量的緩和を続けるでしょうから、なかなか円安には向かわないでしょう。しかも、現状では日本政府自身が、円高を容認していると見られていますから、なかなか円安に転じることはないと見ています。

もし、ここからさらに円高が進むとしたら、1ドル=70円が目安になるでしょう。とはいえ、70円を割ってさらに円高が進むか言われれば、その答えはノーだと思います。さすがに1ドル=70円割れは、日本の実体経済にマイナスという認識を、財務省・日銀も持っていますから、そこは何とかドル買い介入によって阻止するはずです。したがって、2012年の為替相場は、ドル/円で見た場合、1ドル=70~80円のレンジで推移するのではないでしょうか。

なお、ユーロについては、ユーロ債務危機というネガティブな材料が出ても、極端なユーロ安にはなっていません。これは、バーゼル?によるディレバレッジの動きを受けて、欧州金融機関が保有資産を売却する一方、リパトリエーションによるユーロ買いが生じているからです。そう考えると、悪材料だらけのユーロではあるけれども、ユーロ大暴落という事態に追い込まれることにはならないと見ています。


Fanet MoneyLife(掲載日:2012年02月17日)


荻野 金男(おぎのかねお)

経歴

グローバルインフォ株式会社 取締役
1974年、英国バークレーズ銀行東京支店入行後、同行初の日本人チーフ・ディーラーを勤め、ゴールドマン・サックス証券、英国ミッドランド銀行、香港上海銀行(HSBC)で外国為替部門の要職を歴任。その後はT&Cフイナンシャルリサーチ取締役編集長を務め、2011年8月より、グローバルインフォ(株)取締役に就任。国内外の機関投資家と太いパイプをもち、業界一の情報通との呼び声も高い。日経CNBC日経ラジオなど多数のマーケット系メディア出演の経験も有し、鋭く的確なマーケット目線や軽妙なトークが好評を博している。
日本フォレックスクラブ副会長歴任。日本フィナンシャルプランナーズ協会AFP会員。

 
   
    

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