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「ブラックロック・ゴールド・メタル・オープン」福崎岳史 株式プロダクトスペシャリストに聞く -- 「世界の金鉱株に投資する長寿ファンド」 - ファンドマネージャーインタビュー(第10回) - 投資信託

 

投資信託 [ ファンドマネージャーインタビュー ]

【第10回】

ブラックロック・ゴールド・メタル・オープンBコース(為替ヘッジなし)」

ブラックロック・ジャパン株式会社


福崎岳史 株式プロダクトスペシャリストに聞く

世界の金鉱株に投資する長寿ファンド

2007年は、サブプライムローン問題(※1)の影響で、世界中の金融市場が混乱。『質への逃避』から、投資家資金が安全資産の金相場にも流入した。金価格が上昇すればするほど値を上げる傾向にある金鉱株。世界の金鉱株で運用する「ブラックロック・ゴールド・メタル・オープンBコース(為替ヘッジなし)」は、1995年2月の設定から2007年末までのパフォーマンスが476.65%(※2)となった。そこで、海外にいるファンドマネージャーとの仲介役である株式プロダクトスペシャリストの福崎岳史氏に、同ファンドの特徴について聞いた。
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(※1)米国で信用力の低い個人向け住宅融資 (※2)ファンドの騰落率は、累積投資基準価額を基に算出

金鉱株とはどのようなものでしょうか?

福崎氏:

ファンドマネージャーインタビュー10g

金鉱株とは、「金鉱山を所有し、そこから採掘した金を延べ棒に精錬・加工する金鉱企業」が発行する株式のことです。当ファンドの投資候補は現在、世界に約200社。それらの多くは、カナダやオーストラリアなどの高金利通貨国や、南アフリカなどの新興国に偏在しています。

金鉱株の値動きの特徴について教えてください。

福崎氏:

金鉱企業の売り上げは金価格に比例して増減する傾向があるため、一般的に金鉱株の値動きは金価格と似た動きをする傾向があります(図1参照)。

(図1)

ファンドマネージャーインタビュー10a

また、金鉱株は金価格に比べて変動性が高い値動きをする傾向があります。金価格が上昇した場合、仮に採掘コストが一定だとすると、企業の利益率は金価格の上昇率以上に拡大する傾向があるからです(図2参照)。

例えば、金の採掘コストが1オンス当たり400ドルとして金価格が1オンス600ドルだと単純に企業の利益は1オンス当たり200ドルとなります。もし金価格が700ドルになると約17%の上昇になりますが、採掘コストが一定だとすると企業の利益は1オンス当たり300ドルとなり50%上昇、金価格の上昇率よりも大きくなります。これをギアリング効果と呼び、一般的に金鉱株は金価格に比べて変動率が高くなります。もちろん、この事例は金価格の上昇時のみならず下落時にも該当します。

(図2)金価格と金鉱株の値動きイメージ

■金価格上昇時 ※単位は1オンス(OZ)当たりのドル($)

ファンドマネージャーインタビュー10j

■金価格下落時 ※単位は1オンス(OZ)当たりのドル($)

ファンドマネージャーインタビュー10k

金鉱企業は、将来金価格が値下がりしそうだと予想するときは金の先物を売って収益の安定化を図ろうとすることもあります。金鉱企業が金価格の変動を見込んで先物売りにより収益のブレを抑制するなどした場合には、金価格の変動に金鉱株の値動きが連動しないこともあり、かならずしも金価格と金鉱株のギアリング効果が得られる保証はありません。

運用の特色は何ですか?

福崎氏:

ファンドマネージャーインタビュー10h
「ブラックロック天然資源チーム」

当ファンドは、ファンド マネジャー兼アナリスト4名から成るロンドンの天然資源チーム内の金鉱株式のスペシャリスト チームによって運用されており、投資判断は3名のファンド マネジャー兼アナリストの合議を基本としています。

運用チームは、詳細調査対象銘柄について、自ら鉱山や金鉱企業を訪問する等の実地調査により、金融的視点および技術的視点から詳細な調査を実施します。

金融的視点からの調査では、経営陣との面談を行い、今後も安定的な企業成長が継続するか否かの判断を行うべく、今後の採掘方針、新規鉱脈への取り組み等についての調査を実施し、事業基盤を評価するとともに、経営者の質をチェックします。

特に技術的視点からの調査では、株価のバリュエーションを判断する際の材料とすべく、地質学の専門的な知識と経験を活用し、金の埋蔵量、金鉱脈の寿命、金鉱脈の質、採掘コスト等について、現地を中心とした調査を実施します。

中国に金鉱山が発見されたと聞いた時には真っ先に中国に飛び、その金鉱を見学、調査してきました。その結果、良い投資機会と判断し、チームがその金鉱企業に投資することを決めたこともあります。

銘柄選択について教えてください。

福崎氏:

詳細調査により入手した情報をベースに定量分析および定性分析を行い、徹底した議論・討議を通して、ポートフォリオ組入候補銘柄の選定を行います。

定量分析では、バリュエーション モデルを利用し、当該株式の割安度を算出します。一方、定性分析では、株主重視の経営戦略の有無や合併・買収等事業再構築に対する姿勢(前向きか否か)等を重視し、経営戦略、事業の状況、経営者の質、利益構造、ブランド価値等を複合的に分析します。

金相場の見通しをベースに、組入候補銘柄のなかから、長期的成長が見込まれ、かつ、割安と考えられる株式を選択してポートフォリオを構築します。1銘柄あたりの組入比率は上限を原則10%とし、上位10銘柄で50%程度の組入比率を目安としており、併せて、地理的な分散、地政学的リスクの分散にも配慮しています。

金価格の値動きの特徴について教えてください。

福崎氏:

金価格は米ドルと反対の値動きをすることが多いと言われています(図3参照)。 金は国際的にドル建てで取引されていることから、為替市場で各国通貨に対してドルが上昇基調にあるとき金価格は下げ、逆に下げ基調にあるとき金価格は上がる傾向があります。

ドルの上昇は各国通貨建ての金価格の上昇につながり買いが手控えられ、また値上がりの結果、売りが出やすくなるとの連想からドル建て金価格は下落する傾向が強まります。

逆にドルの下落は、各国通貨建ての金価格の下落となるため、買いが入りやすい環境となり、値下がりから売りも出にくくなるとの連想からドル建て金価格は上昇する傾向が強まります。

(図3)金(ドルベース)と米ドル・円相場の過去10年間の値動き

ファンドマネージャーインタビュー10f

※データは1997年末を100として指数化した月次の値動き。
※金相場:ロンドン金相場、米ドル・円相場:東京三菱銀行の対顧レートを使用し、QBRが作成。

金を取り巻く現状や今後の見通しについて教えてください。

福崎氏:

当ファンドを運用する天然資源チームは長期的な視点で投資対象をウォッチしています。金価格についても3~5年という中長期で動きを見ていますが、金市場は長期的上昇トレンドにあると見ています。

その背景には、長期的な新興国成長による金の需要、インドや中国の成長に伴う宝飾需要の高まり、資産の分散投資手段としての投資需要の高まり、また資源を計画的に採掘し、常に一定の利益を享受しようとする金鉱企業による生産量のコントロール、金生産会社による供給の低下などが挙げられ、金価格および金鉱株市場にとって良好な環境が持続すると考えています。

当ファンドのリスクにはどのようなものがありますか?

福崎氏:

金鉱株は金よりも値動きがダイナミックな傾向があるため、価格変動リスクが金相場よりも高くなります。

また、金鉱山会社は将来金価格が値下がりしそうだと予想するときは金の先物を売って収益の安定化を図ろうとすることもあります。金鉱企業が金価格の変動を見込んで先物売りにより収益のブレを抑制するなどした場合には、金価格の変動に金鉱株の値動きが連動しないこともあります。このように、金相場が上昇する場合でも金鉱株の株価が下落することがある点には留意する必要があります。


インタビュー2007年12月 聞き手:QBR 笹倉友香子(掲載日:2008年1月21日)

   
    

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