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三菱UFJ投信 今来 康文 常務取締役 「団塊の世代は当社に任せろ」 - トップインタビュー(第5回) - 投資信託

 

投資信託 [ トップインタビュー ]

【第5回】三菱UFJ投信 今来康文 常務取締役「団塊の世代は当社に任せろ」

投信の販売チャンネルの多様化。証券ばかりではなく、銀行等金融機関に加えて郵便局まで裾野が広がった。こうした中で、運用会社に求められるものは、マーケティングを含めたトータルなサービス。『みんなの投資信託はじまる』というキャッチフレーズで、顧客の底辺を広げる運動を開始した三菱UFJ投信。その先頭にたっている今来常務に、同社の団塊の世代に対する商品・販売戦略を中心にお話を伺った。

初めに三菱UFJ投信の特色からお話し下さい

今来氏:

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平成17年の10月に三菱投信とUFJパートナーズ投信が合併して出来た会社です。ルーツは昭和34年に日本で最初の投信会社の1つである山一證券投資信託委託株式会社まで遡ります。お互いに何回かの合併を繰り返していますので銀行、証券、信託の血が混ざり合ったハイブリッドな運用会社です。ご投資家のニーズに応えられる豊富な商品の品揃えが特色の一つです。公募窓販商品以外にも特色があります。

具体的には――

今来氏:

たとえば生保が組成する投資型年金保険の中身は私募投信ですが、これも含めた私募投信の運用資産残高は1位で、平成18年12月末の残高は2兆5千億円を超えています。また、401k(確定拠出型年金)も最大級の資産運用残高を有しています。従って、投資信託のあらゆる分野にバランスのとれたプレゼンスを持っています。

団塊の世代をどう捉えていますか?

今来氏:

何といっても690万人(400万所帯)という巨大なかたまりですので、財、サービス市場に与えるインパクトは過去も現在も、そしてこれからも非常に大きいものがあります。昭和22、23、24年生まれの狭義の団塊に絞っても現在の個人金融資産で130兆円、その方たちが手にする退職金50兆円、その後数年に亘って彼らが相続する金額50兆円を合計すると230兆円くらいの巨大なマーケットです。われわれのイメージするコアターゲットは、団塊の世代で、退職金をもらう人で、投信初心者と絞り込んでいっても100万所帯以上ではないかと思っています。

従来のシニア層とはどこが違うのでしょうか?

今来氏:

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このシニア層は、アクティブなシニア層と言われています。但し、意識調査をすると老後の世界に不安感を抱いていながらも、一方で老後設計について真剣に考えている方はまだ少ないのです。ある調査によると退職前に退職準備を始めている人がどのくらいいるかを各国別にみると米国、ドイツやイギリスは70から80%に上っているのに対して日本は16%くらいだそうです。

まだまだ自分の資産の保全や運用などの計画を云々する段階ではないということですね

今来氏:

そうですね。将来に対する不安は皆さんがお持ちですが、ご自分の人生のリスクとその対策について明確にアイデンティファイされていないのが現実でしょう。自分が退職してその後20数年も生きるわけですね。その時の医療とか介護にコストがかかります。預金しかしてない人はその後のインフレにどう対処するのか、そして遺産相続をどう考えるかなど具体的に対処方法を考えなくてはならないことがあります。これらを認識して、人生のリスクに備えれば、不安は解消するわけです。われわれ運用会社は従来ファンドの運用(パフォーマンス)ばかりに気を取られてこのお客さまがお持ちの人生のリスクを含めたお客様側からのニーズに充分応えて来なかったのではないかという反省はあります。

その投資家教育ですが・・・

今来氏:

従って、商品ごとのリスクの前にご投資家に先程の人生のリスクを明確に認識いただくことだと思います。それから個人ごとのリスク許容度を認識していただいて、ご投資家それぞれのニーズにあった商品の紹介に持って行くことでしょうか。

販売の担い手に対する教育はいかがでしょうか?

今来氏:

自論ですが、商品と販売担当者とご投資家の三者の関係にミスマッチがあると問題が生じるということです。販売担当者が商品が不充分なまま自分が売りやすいものだけを売ってしまったり、ご投資家も商品に理解ないまま買ってしまうような、ケースです。典型的な例では、今一番売れている商品を充分な理解をせずに買ってしまうようなことです。このミスマッチをいかに無くすかです。

販売員教育で一番強調されたい点は?

今来氏:

まず、販売したあとのアフターフォローの重要性を教育することです。そして販売会社様のトップセールスの方々の次の中堅販売員の戦力化も大きなニーズとなっています。そのために新商品等の一般的な研修から一歩進んで販売会社様の種々のニーズにお答えする提案型研修が重要になって来ています。

運用会社の研修担当者も専門性がますます求められますね

今来氏:

そうです。私共は自社内に研修アカデミーを持ち、研修担当者の研修もやっています。教育は私共投信会社と販売会社様が協力してまさに投信マーケットを自分たちが作って行くんだというような使命感と情熱が必要です。

ところで昨年12月に信託法が改正され、ファンドの統合が可能となりましたが・・・

今来氏:

今のところ明確な青写真は描ききってはいませんが、合併会社の宿命でインデックスファンド等に同様のものが数多くあります。これらの統合はご投資家や運用会社の双方にメリットがあると思いますが・・・。

それでは肝心の金融商品取引法の施行や金融商品販売法の改正の影響はいかがでしょうか

今来氏:

今年の夏ごろに施行される見通しです。そうなると5月の連休明けくらいに政省令が出る方向でしょう。これにより販売の現場では、今まで以上に適合性の原則が厳格運用されることが求められます。

もう少し詳しくお願いします

今来氏:

適合性原則では、顧客の知識、経験、財産の状況にプラスして購入目的を入れなさいとなっています。例えば、元本の安全性が購入目的の投資家にハイリスク・ハイリターンの商品は勧められなくなるわけです。従来から説明義務では元本に欠損がでるとか、当初元本を上回る欠損がでる恐れがありますよという注意喚起や説明がされていました。これからは、元本欠損などのメカニズムを説明しなくていけなくなります。これは販売員に時間と説明力というかなりの負荷がかかることが予想されます。

それでは仕組みの複雑な商品は説明が大変ですね

今来氏:

そのようですね。現状でも分散型商品ではかなり複雑なものがあります。販売現場で販売員がファンドのメカニズムを理解し、投資家に理解させる説明をすることはかなり大変だと思います。法の適用の厳格化で商品面ではむしろシンプルな商品に回帰するような事態も考えられますね。

団塊の世代に対して戦略をお聞かせ下さい

今来氏:

同じようなバックグランドやニーズを持った投資家の出現は大きなビジネスチャンスです。単に商品だけではなくて付帯的なサービスの提供も視野に入れた、今までにないアプローチを考えています。具体的には、安心と信頼のMUFGのブランドを活かしながら、世界の超一流の運用会社とコラボレートし、団塊世代のニーズを的確に捉えたファンドを提供したいと思っています。マーケティングも今までになかった手法も考えています。シニア向けのホームページを立ち上げるなど継続的なコミュニケーションもその一つです。老後の人生を充実した楽しいものにするようなシニアのセカンドライフをいろいろサポートするというコンセプトです。これが、『みんなの投資信託はじまる』です。

現状の投信マーケットは好調です。今後の見通しはいかがでしょうか?

今来氏:

郵政公社の投信残高も1年3ヶ月で5000億円を越えて来ています。ご投資家の立場にたった商品の提供。運用のみではなく、シニアのセカンドライフを支援するような総合的な提案を通じて、投信が社会的に認知されることになると思います。規模としては個人金融資産に占めるウェートが10%を比較的に早い時期に実現すると思っています。

最後に個人投資家にメッセージを頂けますか

今来氏:

投資の世界でよく耳にする『リスク』について語源から知って頂ければと思います。現代的なリスクの解釈は「不確実性にしか予見できない事象によって被る被害の可能性、つまり将来の不確実性」のことを言います。

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この言葉の語源は実はヘラクレス等英雄が活躍するギリシャ神話『アルゴ号の冒険』の中に出て来る古代ギリシャ語rhiza(断崖絶壁を意味する)ともいわれています。それが、ラテン語の動詞risicare(狭い海峡の合間を勇気をもって上手に舟を操って抜けて行くの意味)に転じ、ここからイタリア語のrisicareになって「リスク」すなわち、「勇気を持って試みる」に近い言葉になったようです。「貯蓄から投資へ勇気を持って一歩踏み出す」ご投資家に対し私共投信会社、販売会社様が協力して水先案内人を努めて参りたいと思います。

―― 長時間有難う御座いました


インタビュー:2007年1月 聞き手:QBR 小林 新 (掲載日:2007年2月6日)


後記

『アルゴ号の冒険』は黄金の羊の毛皮を求めてアルゴ号という舟で大海原を航海する冒険物語です。黄金の羊の毛皮がリターンとするとそれを獲得するために通らなくてはならない断崖絶壁を勇気を持って抜けていくことがリスクです。この今来メッセージで私には投資の「リスク」の触感が理解できたのですが・・・皆さんはいかがでしょうか。
プロフィール
今来 康文(いまき やすふみ)氏
出身地:福岡県

経歴

1948年 福岡県に生まれる
1972年 早稲田大学政経学部卒業
1972年 三菱銀行入行
1986年 豪州三菱銀行本店長
1992年 浜松町支店長
1994年 東京三菱証券営業部長
1997年 スイス東京三菱銀行頭取
1999年 東京三菱銀行資本市場営業部長
2000年 東京三菱銀行欧州本部欧州業務部長
2002年 東京三菱投信投資顧問常務取締役
2005年 三菱UFJ投信常務取締役

   
    

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