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野村アセットマネジメント 柴田 拓美 取締役兼執行役社長 「6資産の次はターゲットイヤー型ファンド」――投信マーケットは大拡大期の入り口に - トップインタビュー(第6回) - 投資信託

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投資信託 [ トップインタビュー ]

【第6回】野村アセットマネジメント 柴田拓美 取締役兼執行役社長「6資産の次はターゲットイヤー型ファンド」――投信マーケットは大拡大期の入り口に

わが国最大手の投信運用会社「野村アセット」が動いた。運用力を高めるため、アナリストを増強し、ファンドを販売する銀行や郵便局への支援体制も拡充している。その原動力は平成17年4月に就任した柴田社長の手腕に負うところ大。野村アセットはどう変わったのか。またどこに行こうとしているのか。柴田社長本人に登場いただき大いに語ってもらった。

野村アセットは最近大きく変わったという話をよく耳にします

柴田氏:

そうですね。本社の傍に運用と調査の部隊が引っ越して来たばかりです(笑い)。これでかなり時間の節約、効率があがるようになると思います。

柴田社長が就任された2年前に社内にチームが編成されたとお聞きしましたが

柴田氏:

当時は650人前後の会社で、6つの各業務分野から10人づつシニアからジュニアまで参加してもらって、全社の10%に相当する60名の方たちに自由にアイデア出しをしてもらいました。そこで出て来たキーワードが『コミュニケーション&コンセントレーション』でした。

引っ越しもその一環ですか

柴田氏:

着任して、まず思ったことは、『労働スペースが狭小で正直申し訳ない』でした。引越しもその一環です。大きなテーマは運用の再生でチームにはこれに取り組んでもらった。現在も進行中なのはIT環境の整備です。そのためにシステム開発部長には、フロントに移ってもらった。また、毎月IT戦略会議を開催して『あれがないから、これができない』から『あれがあれば、これができる』という会社にしたいと思っている。

運用資産残高の伸びなどを見る限り絶好調だが、この背景は

柴田氏:

成長ドライブの背景は二つです。国内の投資信託マーケットの伸びと海外の機関投資家マーケット(海外年金)の伸び。その結果、運用資産残高も就任当初の16兆円から27.3兆円となりました。

御社の特色と強みは

柴田氏:

機関投資家と個人投資家の双方に商品・サービスの提供ができるポジションにある数少ない会社の一つであることと出自を問わない実力主義が特色だと思う。

まず、運用と経営をしっかり分離されていることです。往々にしてありがちなのは、トップが運用に口を出すことでしょう。当社は、マネジメントは運用の意思決定に介入しない。経営がやることは、運用環境やインフラの整備で、これに明確にコミットしています。

運用に調査は欠かせませんね

柴田氏:

「平成14年から実施している運用力強化プロジェクトがあります。国内最大級の調査体制の構築により29名のアナリストが年企業訪問件数4400回をこなしています。このアナリストの数も35名に増強する方向にあります。また投信の評価機関のファンドオブザイヤーに選ばれるほど運用の再生は一定の成果を上げつつあります。

銀行窓販に加えて郵政公社も投信販売に参入してきましたが

柴田氏:

銀行や郵便局の販売員との双方向のコミュニケーションが大切です。そのための人員は現在70数名を配置しています。今年2月を例にとると銀行の顧客向けセミナー、行員勉強会があわせて約500回、郵政公社の顧客説明会、局員勉強会が約270回を実施しています。その他野村證券のセミナー、勉強会をあわせて900回前後になっています。これらの要員も早晩100人体制に持って行きます。

徹底した販社サポート体制ですね

柴田氏:

そうですね。昨年7月に大阪営業所、12月に福岡営業所を開設したのもサポート体制強化の一環です。

ところで団塊の世代に対する戦略は

柴田氏:

高齢化社会は、顧客資産の運用によって長生きするリスクをリターンに変えろという、運用会社への要請だと真摯に受けとめています。そうした認識もあり、われわれは団塊の世代の意識調査を継続的に実施しています。また団塊の世代を意識した商品の投入も行っています。

それは、どのようなファンドでしょうか、具体的には

柴田氏:

セッション、マイストーリー分配型、グローバル・オールスターズなど、国内外の資産に分散投資したり、複数のファンドに投資したりする商品です。

投資家の意識調査で何か分かったことは

柴田氏:

そうですね、長期投資の期間ですが、一般的に長期というと5年くらいですが、若い人の長期は1年か2年なんですね。

1、2年が長期!? それは本当ですか?

柴田氏:

本当です。確かに私も30歳前後のとき銀行の口座はオーバードラフト状態でこの赤残を給料日に解消していました。つまり若い人にお金が回っていないのです。自分の老後を考えるべき年代が、日々の生活に窮々(きゅうきゅう)としているという現実があります。

若い人が長期を、20、30年と考えるようになるのは難しいですね

柴田氏:

残念ながら難しいでしょうね。日本の個人金融資産の80%が50歳以上で占められています。これは、1.年功序列賃金、2.日本版401Kの不在、3.遺産相続のメカニズムが背景にあります。

解決策はないのでしょうか

柴田氏:

参考例はあります。オーストラリアの導入している『スーパーアニュエーションファンド(※)』です。詳細は省きますが、年金の前払い、強制貯蓄のような仕組みです。同国は人口2200万人で、投信の残高(私募も含んだ)は同ファンドの効果もあって日本を抜いて来ています。

スーパーアニュエーション(Superannuation、退職年金制度)
オーストラリアの積み立て方式の退職年金制度。給与の9%に相当する額を企業(雇用主)が年金基金口座(Superannuation Fund)に積み立てる。この基金は保険会社によって運用される。(注:MoneyLife)

ところでマイストーリーに代表される1兆円ファンドの出現は何か大きな変化があるのでしょうか

柴田氏:

自分が見ていても現場で革命的な変化が起きたと思っています。それはCSという顧客に接する部門で、ベテランのセールスは『義務的な商品』と考えてきた投信を、若い人たちは『資金導入商品』と気がついたことでしょう。FA(従来のミディさん)部門は従来から継続的に買って増やすという意識が強かった。野村證券での変化は銀行が投信の販売に参入したことが大きく影響していると思います。そしてお客さまの投信を見る目も売買から保有に変化して来ています。

今後の投信マーケットについてご意見をお聞かせ下さい

柴田氏:

まず、現状の動向について、前回のブーム(2000年)とは違うと思う。前回は日本株のファンドに資金が集中して、販売チャネルの中心も証券会社でした。今回はバランス型ファンドがコアにインドや中国などがサテライトになるなど分散されています。また販売も証券会社に加え銀行、郵便局と拡大されています。2年前に拡大に大きく走ろうと社内で宣言しました。そのためにヒトの確保を優先しました。現在は、投信マーケットの大拡大期の入口に立ったところだと認識しています。近い将来に個人金融資産の10%になるだろうと見ています。

6資産などのバランスファンドの次はいかがですか

柴田氏:

今すぐ大きくなるというのは難しいですが、資産形成層に対してターゲットイヤー型ファンドはどうしても導入しなくてはならないものだろうと思っています。

「6資産」とは?
国内および海外の「債券」「株式」「不動産投資信託(リート)」のこと。同社は、郵便局で販売されている「野村世界6資産分散投信(成長の各コース)」を運用している。(注:MoneyLife)

※ターゲットイヤー型ファンド

あらかじめ決めた年に合わせ、株式、債券、不動産など投資する資産の比率が自動的に変わるファンド。年齢に応じてリスクを調整することができる。(注:MoneyLife)

このサイトをご覧いただいている個人投資家に一言アドバイスを

柴田氏:

自分が心がけている投資手法をお話したいと思います。それは、投資タイミングの分散です。そして不動産も考慮した財産全体の分散です。最後に自分のライフスタイルや年齢を考慮したリスクウェートを考えることです。相場は神のみぞ知る世界ですからドルコスト平均法が役に立ちます。個人の運用はお金に対する人生観です。顔が一人一人違うように人生観はヒトの数だけあります。そして資産の運用は「自己防衛」でもあります。勤労者世代の財産形成と高齢者の生活資金の確保はそれぞれ違うものではなく同一人物のことです。従って、勤労者世代の財産形成ができれば潜在的な社会福祉の負担が減る理屈です。この逆をやる必要はどこからも出て来ないと私は思います。


―― 長時間率直なご意見をありがとう御座いました


インタビュー:2007年2月 聞き手:QBR 小林 新 (掲載日:2007年3月15日)


後記

金融庁の「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディーグループ」の委員も勤められている柴田氏は、特に年金の運用に話しが及ぶと熱が入る。年金の議論は政争の具にしないのが国際的なルール。「アカウンタビリティ(説明責任)の相手は年金の受給者であって、議会ではない」との発言が印象に残った。
プロフィール
柴田 拓美(しばた たくみ)氏
出身地:神奈川県

経歴

昭和28年 神奈川県に生まれる
昭和51年 慶応義塾大学 経済学部卒業
昭和58年 ハーバード・ビジネス・スクール卒業
昭和51年 野村證券株式会社入社
昭和63年 野村インターナショナル派遣(ロンドン)
平成7年 野村プロジェクトファイナンス出向(香港)
平成9年 野村インターナショナル社長(ロンドン)
平成10年 野村證券株式会社取締役兼野村インターナショナル社長(ロンドン)
平成12年 野村證券株式会社常務取締役兼ノムラ・ヨーロッパ・ホールディングPLC社長
平成15年 野村證券株式会社専務取締役
平成15年 野村ホールディングス株式会社執行役野村證券株式会社専務執行役
平成16年 野村ホールディングス株式会社執行役野村證券株式会社取締役兼専務執行役
平成17年 野村ホールディングス株式会社執行役兼野村アセットマネジメント株式会社取締役兼執行役社長
平成18年 野村ホールディングスアセット・マネジメント部門CEO 兼野村アセットマネジメント株式会社取締役兼執行役社長

 
   
    

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