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みずほ投信投資顧問 岩本 健已 常務取締役 「資産運用は欲張らず、バランスよく」――最も身近な運用会社を目指して - トップインタビュー(第10回) - 投資信託

 

投資信託 [ トップインタビュー ]

【第10回】みずほ投信投資顧問  岩本健已 常務取締役「資産運用は欲張らず、バランスよく」――最も身近な運用会社を目指して

2007年7月、第一勧業アセットマネジメントと富士投信投資顧問が合併し、役職員数約300人の「みずほ投信投資顧問」が誕生した。営業の最前線で陣頭指揮する岩本健已常務取締役クライアントサービスグループ長は「販売会社や個人投資家が最も身近に感じてくれる運用会社を実現したい」と意気込みを語った。投資信託ブームが続く中、「資産運用の秘訣は長生きすることと同様、腹八分目で欲張らず、偏食しないこと」と話し、手軽に分散投資ができるバランス型投資信託に運用会社として力を入れていく考えを示した。

まず新会社での抱負を

岩本氏:

「高品質なサービスを提供する我が国の資産運用業界をリードする会社」として「お客さまからの高い支持の獲得」を目指すことを経営目標に掲げスタートしました。私自身の心境を言えば、日々、幼稚園の遠足の前の晩といった気持ちです。毎日、次の日が楽しみでワクワクしています。明日はどんな楽しいことに出合えるのか、どんな驚きが待ち構えているのか、といった感じです。そして、まずはお客さまに最も近い運用会社を実現したいと思っています。

新会社の営業体制はどのように

岩本氏:

私の担当は、お客さまである販売会社へのあらゆるサポートを担うクライアントサービスグループです。総勢で約50人です。商品を採用してもらうためのセールス機能と研修やセミナーなどを担当するサポート機能、DC(確定拠出年金)やVA(変額個人年金保険)ビジネス対応機能、コールセンター機能などを持っています。みずほグループ内銀行、地域金融機関、証券をチャネルの3本柱に位置付けています。

新会社の約50人の部下にはどのような指導を

岩本氏:

1日1日が大事だと話しています。これまでのお客さまとの歴史、さらに新しいお客さまの文化を理解しなければならないとも言っています。部下には、クライアントサービス部門の心得を記した手帳を手渡しました。細かなことが書いてありますよ。訪問は5分前、A3サイズの資料は折り曲げない。ノートは厚地の表紙、ペンのインクの色はブルー・ブラック、机は膝頭、腰は低く、声は明るく、などなど(笑い)。つまり、運用会社の営業として、運用パフォーマンス以外のリスクを一切排除しなさい、と言いたいのです。

投資信託の販売を担う銀行員向けの研修を続けていますね

岩本氏:

2004年の11月から始めています。ノートに全部記録していますが、2006年夏以降、地域金融機関からお声をかけてもらうことが増え、これまで102回、4000人を超えました。最初のころはさっぱりでしたね。営業の種をまきたくても、そこは凍土の状態でした(笑い)。だから、種まきどころじゃなくて、土を掘り起こすことから始めたのです。情熱は凍土も溶かす、これが私の信念ですよ。銀行は本部だけではなく、営業店にも研修に出向きます。

販売の現場では、投資家の知識や投資目的に合った商品以外は勧めてはいけないという「適合性の原則」が重要視されています

岩本氏:

その通りです。そうした中で、自分が関わっている現場の人たちは涙ぐましい努力を重ねています。各地銀さんが職員一人ひとりのレベルアップをはかろうとする姿勢は大変なものです。販売の担い手さん自身からも、もっと勉強しなくてはだめだという学びの姿勢が伝わってきています。

みずほ投信が力を入れている商品は

岩本氏:

バランス型ファンドです。「世界の8資産ファンド」(愛称「世界組曲」)は、お客さまの支持をいただき、純資産規模が2500億円を突破しました。「MHAM6資産バランスファンド」(愛称「六花選」)、3資産バランスの「MHAMトリニティオープン」(愛称「ファンド3兄弟」)、「日本3資産ファンド」(愛称「円のめぐみ」)、さらに現在募集中の「アジア3資産バランス」(愛称「アジアンスイーツ」)とバランス型ファンドの豊富な品揃えでお客さまの期待にこたえていきたいと考えています。

2007年9月施行予定の金融商品取引法に金融機関はどう対応すればよいでしょうか

岩本氏:

銀行が組織として仕組みを構築し、管理をきちんとすること。一方、販売の第一線として大事なこと、意識しなければいけないことは、これまで以上に個人顧客との信頼関係をつくることではないでしょうか。

販売員はただ商品を売るのではない

岩本氏:

そうです。取引シェアではなく、個人顧客のハートのシェアをとることが大切なのです。そうすると、結果として取引が生まれてきます。そして取引シェアも高まります。さらに、個人顧客は投資を目的としているのではありません。5年後に夫婦で世界一周をするんだとか、3年後に娘さんに何かを買ってあげるんだとか、人生における目的を充足するための手段が投資なのです。それを理解しないといけないでしょう。

最近、投資信託の販売手数料や信託報酬などコストに関心が集まっています

岩本氏:

本当に親身になって個人顧客に対応するために、販売の担い手の皆さんには、勉強や研修などの努力が要求され、結果として手数料に見合うサービスを提供していると思います。数字だけをあげる姿勢であれば、個人顧客やメディアから叩かれることになるでしょうが。

人づくりにもかかわるようですね

岩本氏:

そうです。銀行はもともとお金を貸すことが本業ですから、融資のできる人の育成が大事だとされてきました。一方で、預かり資産ビジネスは誰でもできる仕事と思われてきました。しかし、そうではないでしょう。融資というのは、お金を借りたい顧客の方が全てをさらけ出すわけです。預かり資産ビジネスというのは、個人顧客自身がお金をコントロールしていますから、銀行員が文字通りお客さまの懐に入り込まざるをえません。したがって、金融機関の人材育成の取り組みも変わってきています。

投資信託の残高は公募・私募を合わせ、株式投信で110兆円を越えました

岩本氏:

まだまだ増加するでしょう。金額的には個人金融資産である1500兆円の20%程度の300兆円くらいになると思っています。きっかけは2つ。まず、販売チャネルとしては地域金融機関の販売はこれからさらに本格化するでしょうし、ゆうちょもそうです。そして年金市場です。長い目で見ればDC(確定拠出年金)へのシフトが進みます。DCの中核商品は投資信託です。

個人投資家に資産運用のアドバイスを

岩本氏:

今年3月に地域金融機関の個人向けセミナーで講師をつとめる機会をいただきました。そこで「孫にやさしい食事」という話をしました。長生きする秘訣は、腹八分目と偏らない食事です。資産運用の要諦もこれと同じですね。欲張らないこと、そして、資産の配分が偏らないようにすることです。つまり、分散投資ですね。それと、一番身近にある金融機関で信頼のおける金融アドバイザーを早く見つけることをお勧めしました。ご近所に掛かりつけのお医者さんがいるように、資産運用についてそのアドバイザーに相談できる環境をつくっておくことが大事ですね。

長時間ありがとうございました


聞き手:QBR小林新、Fanet MoneyLife大谷篤

掲載日:2007年7月20日


後記

岩本氏の投資信託の営業姿勢は今も昔も変わっていないという。「すべてはお客さま、そして投資家のため」という情熱だ。きれいごとではなく、実行が伴っている。この情熱によって、冷たく固く閉ざされた販売会社の土が溶け、そこに種がまかれ、やがて芽が出て、花が咲く。これまでの彼の徹底した顧客(販売会社、そして投資家)第一主義の方へ、時代は少しずつ近づいてきた。販売会社などで受け入れられるようになった"岩本手法"が、合併後の新会社の中でどこまで浸透するか。
プロフィール
岩本 健已(いわもと・たけみ)氏
出身地:埼玉県

経歴

1953年 埼玉県に生まれる
1977 慶應義塾大学商学部卒業
富士銀行入行
1985 富士銀投資顧問株式会社出向
1991年 大東証券株式会社出向。
1994年 富士銀行証券部証券投資室室長
1998年 同行アセットマネジメント部業務開発係次長
2001年 同行アセットマネジメント部投信推進室室長
2002年 みずほ銀行アセットマネジメント部長
2004年 同行コンサルティング業務部審議役
2004年 富士投信投資顧問株式会社常務執行役員業務本部長
2005年 同社常務取締役業務本部長
2007年7月 みずほ投信投資顧問株式会社常務取締役クライアントサービスグループ長、現在に至る


   
    

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