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JPモルガン・アセット・マネジメント 三木 桂一 社長 「ファンドで"スマートな退職生活"を」――運用は欲と恐れを乗り越えて - トップインタビュー(第11回) - 投資信託

 

投資信託 [ トップインタビュー ]

【第11回】JPモルガン・アセット・マネジメント 三木桂一 社長「ファンドで

JPモルガン・アセット・マネジメントが個人投資家向けのリテール業務の強化に動いている。2007年10月、大阪に営業拠点を開設し、2008年以降さらに全国へ拠点網を広げる考えだ。同社グループが欧米で成功しているターゲットイヤー型ファンド「スマート・リタイアメント・ファンド」の国内投入も狙う。三木桂一社長は「商品の競争力、運用会社としての責任能力を発揮し、日本の個人投資家に対してJPモルガンの知名度をもっと向上させたい」と語った。

JPモルガン・アセット・マネジメントの業容は

三木氏:

当社グループの日本での運用資産残高は現在8兆円となっています。そのうち国内投信は2兆円を超えてきており、とくに銀行の窓販が増えてきています。商品では債券、グローバル株式、エマージング株式のファンドが伸びています。ファンド・オブ・ファンズとしても多く採用してもらっていますが、これらは私募投信の形です。日本の個人のお客様の当社に対する企業イメージを調査すると、「信頼できる」という印象を持っていただいている一方で、「親しみやすさ」と言う点において、まだまだ十分ではありません。JPモルガンと日本とのつながりは古く、1924年に関東大震災の復興公債を引き受けたところから始まりますから、もっと日本の投資家の皆さんに私たちの運用サービスを広く認知してもらいたいと思っています。

運用会社としての強みは

三木氏:

第一に、商品の競争力です。資産運用業務の核は、言うまでもなくファンドマネージャーなどの運用者です。ファンドの競争力はどれだけ質の高い運用プロフェッショナルがいるかにかかっています。当社はJPモルガン、フレミング、チェース、バンク・ワンが次々と合併してきましたが、それぞれが長い歴史のなかでこつこつと育ててきた運用チームを擁していました。私たちは、それらの運用チームがそれぞれ持っている強みを残すという道を選択しました。つまり、良いものは文化ごと残すということです。これが競争力の源泉になっています。2つ目が商品開発力です。これらの運用チームに、絶えずさらに進んだ運用商品を開発させてきています。たとえば行動ファイナンス理論に基づいたファンドや「絶対リターン」を出す商品を開発したり、そのほか、プライベート・エクイティ、不動産、インフラストラクチャーなどのファンドを組成したりしています。3番目が受託者責任能力です。資産運用ビジネスにおいては、高い受託者責任意識を持つか否かが、運用会社の評価を左右します。リスクコントロールや商品の説明資料などのほかに、約定管理、レポートの作成、配当の管理、モニター管理などにも、運用会社の能力が問われていると考えています。

グローバルのヘッジファンド運用残高は世界一ですね

三木氏:

はい、2007年6月時点で440億ドルとなっています。

日本における販売支援を含めたリテール戦略は

三木氏:

中期経営戦略を策定しているところなのですが、日本の個人投資家に対し、知名度をアップさせたい。まず、個人投資家のニーズを的確に捉えた運用商品の拡充。次に各販売会社への支援体制の整備と強化。そして日本各地で「投資」への理解を深めてもらう活動の展開です。商品については、近い将来、欧米で成功しているターゲットイヤー型ファンドを日本で投入します。また、販売会社に対する支援を確実に行うために、当社は投信部門と年金部門を1つにして「クライアント・ビジネス本部」にする一方で、人員を増強し営業部門に約100名の人員を配しています。また10月に大阪支店を開設し、販売会社への支援に加え、関西の地方銀行や年金などの機関投資家を強力にサポートしたいと考えています。勉強会やセミナーをいままで以上に数多く開催していく。大学を支援し、学生を育てていきたいとも考えています。

最近、サブプライムローン問題などで市場が大きく動くときがあります

三木氏:

将来を正確に見通すことは不可能です。しかし、今何が起きているのか、我々がどう考えているのかをお客さまに伝えることはできます。お客さまが不安になるような事象に対しては、当社の考えをレポート等で提示するなど即座に対応しています。投資信託は販売してからのサポートが命だと思っています。

金融商品取引法が9月末に施行される予定です

三木氏:

確実に対応を進めています。情報のモニタリングを強化してきましたし、ディスクロージャー資料をつくるシステムを開発しています。

団塊世代についてはどうお考えですか

三木氏:

団塊世代の投資行動は、日本の投信業界を成長させる鍵になると考えています。欧州はこの5年で投信残高が大きく伸びた。日本もいま成長の戸口にいると思っています。ターゲットイヤー型ファンドでも、60歳の退職者が10年後の70歳まで運用することを考えると団塊の世代も対象に含まれるわけです。我々グループのターゲットイヤー型ファンドのグローバルでの呼称は「スマート・リタイアメント・ファンド」といいます。スマートな退職後の生活を送るという意味です。

今後の投信のマーケット展望について

三木氏:

明るい展望を持っています。販売会社さんにうかがってもそう感じます。投資信託に対するニーズは大きい。また、徐々に広がってきている日本版401kは、投資金額が小さいですが、お客さまが投資信託を選ぶ行為をすることによって投資に慣れていくという意味は大きいと考えています。

個人投資家にアドバイスを

三木氏:

投資は「自分との戦い」です。投資で長期的に良い結果を出すためには、自分の「欲」と「恐れ」と戦い、それに勝たなければなりません。厳しい時期はありますが、それを越えるとその先で果実を得られます。これを何回か経験すると、自分なりの自信が生まれてきます。

気にしていたら夜も寝られなくなってしまいますね

三木氏:

人に勧められたから投資信託を購入するのではなく、自分の意志で買うことが大切なのです。自分で考え、信じたものを長く保有してほしいです。それでこそ、「投資のベネフィット」を本当の意味で享受することができるのです。うちは中国やインド、BRICsに投資するファンドを提供していますが、パフォーマンスの良いものほど解約が出てくる。上がったら売るというのは別に悪いことではありません。しかし、さらにその後のパフォーマンスや長期的な成長性などを考えると、手数料を払って売ったり買ったりするのはもったいないと思います。

それでは個人投資家はどうすれば良いでしょう

三木氏:

たとえば、投資ポートフォリオを見直して売買をする日を、年に何回か決めるというのはひとつの有効なやり方だと思います。その日以外は、市場を観察し、自分自身の見方を固めていく。私自身の経験で分かったことですが、動く市場に合わせて投資行動をしていくとなかなかいい結果は出ません。半年程度何もしなくても長期的に見れば大きな差にはなりません。本当に良い結果が出るのは、自分の信じるものを見出しそれに長期投資できたときです。これからもマーケットはいろいろなイベントに見舞われるでしょう。その時こそ、運用会社の真価が問われます。我々は、投資家の皆さんに選ばれる運用会社であり続けたい。そのために、情報開示のクオリティとタイミングにはいままで以上に神経を使っていきたいと考えています。

長時間ありがとうございました


インタビュー:2007年8月7日 聞き手:QBR小林新、Fanet MoneyLife大谷篤

掲載日:2007年8月21日


後記

三木社長はファンドマネージャー出身。運用者としての経験から、個人投資家へのアドバイスに力が入ったのが印象的だった。JPモルガン・アセット・マネジメントは、2007年8月に中井正彦氏(前住友信託銀行の取締役兼常務執行役リテール部門長)を取締役副会長に迎えた。そして10月には大阪支店を開設する。同社のリテール戦略の展開から目が離せない。
プロフィール
三木桂一(みき・けいいち)氏
出身地:兵庫県

経歴

1958年 兵庫県に生まれる
1982年 神戸大学経営学部卒業
1982年 大和證券入社証券アナリスト
1984年 ハンブロ・パシフィック・ファンド・マネジメント(香港)ファンドマネージャー
1986年 同社取締役
1990年 ジャーディン・フレミング投資顧問株式会社シニア・ポートフォリオマネージャー
1994年 ジャーディン・フレミング・インベストメント・マネジメント取締役
2000年 ジャーディン・フレミング投信・投資顧問株式会社(現JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社)代表取締役社長
2002年 JPモルガン信託銀行株式会社 代表取締役社長
2005年 JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社 代表取締役社長

   
    

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