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ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント 土岐 大介 代表取締役社長 「投資のダイナミズムを味わわせる」――付加価値を生む対象を世界中に求めて - トップインタビュー(第12回) - 投資信託

 

投資信託 [ トップインタビュー ]

【第12回】ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント 土岐大介 代表取締役社長「投資のダイナミズムを味わわせる」――付加価値を生む対象を世界中に求めて

グループで80兆円以上の資産を運用するゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント。土岐大介社長は投資理論とその実践で鍛えられた手腕を振るい、団塊世代をターゲットにした日本の投資信託市場での成長戦略を描く。グループの高度な金融技術と調査能力に自信を示しながら、土岐社長は「新しい付加価値を生む分野を世界中で探し、商品化していく。投資の世界のワクワク感とダイナミズムを味わってもらいたい」と力を込めた。

ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの特色は

土岐氏:

当社グループは1988年から資産運用を開始し、現在、全世界で預かり資産は80兆円を超えています。この背景には、過去の運用成果と商品の多様性がお客さまから支持されていることがあると思います。株、債券、オルタナティブ、ヘッジファンドなど幅広い商品をそろえ、全世界の市場をターゲットにしています。株や債券の運用に際しては、投資判断は人が行う商品とクオンツ(コンピュータの数量分析に基づく運用)で行う商品の両方を持っている点が特色でしょう。商品セレクション能力が問われるファンドオブファンズの品ぞろえも充実しています。昨年度のヘッジファンドの運用資産残高は約6兆円と全世界でトップクラス、未公開株のファンドオブファンズも世界最大級です。

日本における強みは何ですか?

土岐氏:

日本のお客さまにも世界で供給している商品をサービスできる体制となっています。特に最近はエマージング市場を投資対象とするファンドに力を入れています。ゴールドマン・サックス・グループ経済調査部は2003年10月にBRICsに関するレポート「Dreaming with BRICs: The Path to 2050」をまとめ、2005年12月にポストBRICsの新興諸国、ネクスト11についてのレポートを発表しました。私たちは新興諸国の成長が今後も持続することを期待しており、それらに投資するファンドが個人投資家の方々の資産運用に役立つものと信じています。

運用についての考え方は

土岐氏:

付加価値の拡大するところへ投資するというのが資産運用の基本です。付加価値が増大する対象がどこにあるのかを考えることが大事です。まず、国があり、企業があります。新興国を含め、全世界つまりこの地球上で付加価値が生まれるところがあります。これは運用のコアになる部分ですね。それからもう一つは、金融商品、金融市場の部分です。金融技術の発展で多様化するデリバティブなどの商品、ヘッジファンド、未公開株投資などがそれに当たります。さらに、それらに対して何のリスクをどう取っているか理解することも必要です。私たちは新しい付加価値を呼ぶ分野を投資先として探し、商品化します。付加価値の組み合わせは無限とは言いませんが、投資信託の商品としての発展性がそこにあると思っています。分配型や元本保証、リスク限定といったストラクチャーの部分、税制上の問題や投資家のリスク許容度なども組み合わせることが可能です。

GSにはクオンツ運用の「ダ・ヴィンチ」という有名な商品があります

土岐氏:

「GS日本株式インデックス・プラス」を提供しています。

販売チャネルの戦略について

土岐氏:

2001、02年から銀行のシェアが拡大しています。その中でも都銀だけではなく地銀の残高が増し、さらに郵便局も参加してきました。投資家層が拡大し、全国津々浦々に広がってきたということでしょう。各販売チャネルによってサービスモデルも異なります。投資経験が豊富な顧客層を持つ証券会社に対しては、先進的な投資機会を提供する多様な商品の提案が重要となるでしょう。また、銀行あるいは郵便局を通じては、幅広い顧客層に受け入れられるような長期的な資産運用の基礎となる商品を提供していきたいと思います。

販売支援はどのような体制ですか

土岐氏:

運用会社の営業としては、投資家サービス、販売会社サポート、ファンドのプロモーション、新商品開発、これら4つの機能が重要と考えており、そうした機能を継続的に提供する組織体制と人材の厚みが当社の強みです。ただし、全国的に営業展開していく上で、人的支援を無限に拡大することはできませんので、人的資源とインターネットの活用方法の組み合わせを含め、あらたなアプローチを検討しています。

インターネットを使って個人投資家もサポートしています

土岐氏:

今年7月にサイトをリニューアルしました。明るく使いやすいサイトになるよう工夫し、資産運用の考え方など個人投資家の方々に伝えたいメッセージを明確に示しています。ヒューマンなサイトづくりで、Webコミュニケーションに対する私たちの積極的な姿勢を感じてもらいたいとも考えています。特に、退職を迎え、第2の人生を歩む団塊の世代の人たちには、サイトにアクセスしてもらい、資産運用とはこういうものだと分かってほしいですね。どういう考えで投資信託を選ぶべきなのか、目からウロコというか、心底納得してほしいと思っています。

サイトは投資以外の記事も充実しています

土岐氏:

若手社員が取材する「大使館レポート」というのがあって、2005年8月のポーランド大使館から始まり、これまで20回程度連載しています。Web上で世界各国に旅し、国の特色、歴史や宗教まで知ることができるサイトにして、利用者の知的好奇心を刺激したい。団塊の世代の人たちには、投資の世界のワクワク感とダイナミズムを大いに味わってもらいたいですね。

金融商品取引法で運用業界はどう変わると思いますか

土岐氏:

個人投資家に安心して投資してもらうためには、市場が公正・公平であり、どんなリスクを取っているかはっきり分かるようにしなければなりません。金融商品取引法ではこれらのことが明確、厳格化されていくと思います。運用業界にとっては投資家保護の点から従前より行っているべき内容と思いますが、より強化すべきです。例えば、定期分配型の投資信託が人気ですが、運用会社としては商品化に当たって、分配金受取という投資家にとっての利便性と運用の効率性とのバランスに常に配慮して商品設計をしています。また、当然のことですが、投資としての本質はあくまでも投資対象と運用方法にあるのであって、そのような商品性をきちんと説明しなければならないと考えています。リスクを開示し納得のいく説明をしなければ、信頼は得られませんし、それができなければ、個人を相手に商売をしてはいけません。投資家保護の面で、今回の金融商品取引法、改正金融商品販売法は大きく前進したといえるでしょう。

今後の投資信託市場について

土岐氏:

団塊の世代の人たちが投資信託市場にどう入ってくるのか。それによって個人金融資産に占める投資信託の割合が10%を超えても不思議ではないでしょう。個人的には、株式に直接投資するよりも投資信託を通じて資産を運用したほうが良いと思っています。リスクを分散し、いろいろな市場に簡単にアクセスできるということは投資信託の利点だからです。

長時間ありがとうございました


インタビュー:2007年8月31日 聞き手:QBR小林新、Fanet MoneyLife大谷篤

掲載日:2007年9月18日


後記

土岐社長はWebサイトを活用して個人投資家をサポートするため、小売やIT業界携わった人材を新たに採用した。運用業界も金融以外の他業態で活躍してきた人たちが加わることによって、これまでとは違った視点でサービスを提供することができるというわけだ。サイトのリニューアルにとどまらず、もっと奇抜なアイデアが出てくる予感がする。ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのWeb戦略に注目していきたい。
プロフィール
土岐大介(とき・だいすけ)氏
出身地:千葉県

経歴

1961年 千葉県に生まれる
1984年 筑波大学第三学群社会工学類卒業
1986年 ケースウエスタンリザーブ大学オペレーションズ・リサーチ修士号
1986年 日本鋼管入社
1988年 日興證券入社、バーラ・モデルおよびポートフォリオ・インシュランス・モデルによる顧客アドバイス
1990年 ゴールドマン・サックス証券東京支店入社。エクイティ部門でデリバティブ営業、株式派生商品を用いたヘッジ戦略を提案。リスク管理モデル「ブラック・リターマン・モデル」の紹介をおこなう。
1998年 同社マネージング・ディレクター
2000年 同社エクイティ部門統括共同責任者、エグゼクティブ委員会委員
2001年 同社共同東京支店長
2002年 ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント代表取締役社長に就任、現在に至る
日本ファイナンス学会理事、日本証券投資顧問業協会副会長

   
    

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