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三菱UFJ投信 後藤 俊夫 社長 「孫のために50年先の資産づくりを」――投信を海外投資の導管として - トップインタビュー(第13回) - 投資信託

 

投資信託 [ トップインタビュー ]

【第13回】三菱UFJ投信 後藤俊夫 社長「孫のために50年先の資産づくりを」――投信を海外投資の導管として

三菱UFJ信託銀行の専務取締役から三菱UFJ投信の社長に就いて4カ月。後藤俊夫社長は信託銀行で年金などの運用に長年携わった経験を踏まえ、「個人投資家の強みは、機関投資家と違って長期運用ができること。孫の資産をつくるように、50年先を見据えた投資を考えるのも悪くない」と語る。長期投資に便利な投資信託については、今後"老成長国"日本を離れ、海外投資が一段と増えていくとの見方を示した。

三菱UFJ投信の運用の特色は?

後藤氏:

三菱UFJ投信の後藤俊夫社長

当社はこれまでに運用会社8社(※)が合併してできた会社です。銀行系と信託系と証券系のカルチャーがミックスされています。ですから、証券や銀行などタイプの異なる販売会社、ひいては個人投資家の身になって考えたサービスを提供できると自負しています。変化に強く、いろいろなフォーメーションに対応することが可能なのです。運用面では、外債ファンドは自社で運用できる能力とノウハウを持っており、強いカテゴリーの一つです。日本株ファンドも強いカテゴリーだと思っています。最近は日本株自体の人気が低調ですが(笑い)。

※山一證券投資信託委託、ダイヤモンド投資顧問、東洋信アセットマネジメント、ユニバーサル投信、東銀投資顧問、東海投信投資顧問、三和投信、三菱信アセットマネジメント

合併したことで、同じようなファンドがたくさんあります

後藤氏:

インデックスファンドが重複しています(苦笑)。信託法の改正でファンドは統合が可能になりましたが、旧法で設定したものを新法下で統合するとなると、ずいぶんと手間がかかります。特に重大な約款変更やお客さまの個別元本等のデータ更新など販売会社に大きな負担を掛けることになります。もちろん、統合するとファンドのスケールメリットが出て、ファンドを保有する投資家に有利ですから、今後の課題として検討しています。

信託銀行の運用部門の経歴が長かったですね

後藤氏:

そうですね。かつては私もファンドマネージャーとして実際に運用をやっていました。ファンドの運用は、頭の良し悪し、つまり能力というよりも、向き不向きなのだと思っています。仮にファンドマネージャーが10人いれば、適性なのは1人くらいです。当社には『パイロットファンド』というような試行的に少額から始め、芽が出てくれば公募投信に育てていくという仕組みがあり、現在数本を運用しています。これは若手の励みになるはずです。それに、投資信託の運用と年金の運用はかなり違いますね。公募投信では、お客さまが不特定多数であること、年金では基金の常務理事などの特定者とどうリレーションを取っていくかがポイントになりますから。

年金は成果も半年や1年でしっかり出さなければいけない

後藤氏:

三菱UFJ投信の後藤俊夫社長

成果は年金も投資信託もどちらにも求められますが、年金のほうが半年、1年の積み重ねで、見かけ上は短期に成果を求められます。投信はファンドの約款にできるだけ忠実な運用が求められます。今、日本株などを担当した運用者は市場の不振に耐えなくてはいけない状態でしょう。その間、いかにお客さまへ情報提供していくかが大事です。

金融商品取引法の施行の影響は

後藤氏:

金融商品取引法の目的は投資家の保護です。そのための地固めをするきっかけになればよいと思います。この10年で投信業界は大きく成長してきましたが、ここで一度足許を固めるいい機会だと思っています。現場などで多少の混乱は発生するかもしれませんが、投信に対する理解はまだ十分ではありませんから、法の施行は大きな意味があると思います。信託銀行にいた時、銀行窓販以前の「軒貸し」(銀行の店舗の一部を借りて運用会社が投資信託を販売した)から経験しましたが、あれから10年経過して個人投資家の意識も随分変わってきました。

個人の投資に対する意識の変化は感じられますか

後藤氏:

リスクに対する理解が変化してきています。例えば、今年8月17日金曜日の暴落の際、週末の経済紙には「月曜日は客のクレームで大変」などと報じられました。しかし、実際そのような動きはみられませんでした。サポートダイヤルへの問い合わせは、「まさか、下がるとは思わなかった」というものではなく、冷静に「どういうことが起こっているのか」というものでした。

金利が低い日本では、お金を貯めるよりも運用する方が大切だと思います

後藤氏:

金利がほとんどない世界ですからね。0.5%の金利だと、10年で100万円は105万円になる。しかし、5%で運用することができれば、100万円が162万円になる。運用するかしないかで、このような差が生じる可能性もあります。

50年後から今を振り返ると「あの時なぜ教えてくれなかったのか」と恨み言が聞こえてきそう

後藤氏:

三菱UFJ投信の後藤俊夫社長

金融資産の一部を長期の運用に持っていければよいのですが。日本版401k(確定拠出型年金)に、個人拠出ができるようになるとインパクトは大きくなるはず。若い時から、少額でも自分のお金でアップダウンを体験しておくといいと思います。退職者も60歳で退職金をもらった後、さらに10年、20年があるわけですから、十分に長期投資ができるのです。孫のために50年先の投資を考えるのもいいでしょう。

新法対応では、高齢者への販売や「元本確保型ファンド」など分かりにくい商品への説明義務があります

後藤氏:

「元本確保型ファンド」はニーズもありますから、きちんとした説明が必要です。運用会社がしっかりとした説明資料を提供して販売会社対応すべきでしょう。高齢者に対しては、一律に何歳以上には販売しないというような対応もあるでしょうが、逆差別にならないようにすべきです。

今後の投信市場について

後藤氏:

投信の市場が伸びていくことは間違いありません。個人の金融資産に占める投信の割合は5%程度で、欧米と比較しても低い。低金利の長期化は続き、今後も個人投資家が投資する機会が必要となるはずです。日本は"老成長国"となるでしょうから、海外への投資が増えていくはずです。海外投資の導管として投信が果たす役割は大きい。将来的に投信が現在の倍の10%を占めてもおかしくないと思っています。

個人の投資家に対して一言を

後藤氏:

三菱UFJ投信の後藤俊夫社長

やはり個人の方々は機関投資家と違って長期で運用できるのが一番の強みではないでしょうか。よく言われる通り、保有資産の一部を長く保有することをお勧めします。ごく普通の人が、普通に投信を買う時代になってほしい。基準価額や分配金などについてまだ誤解されている面は多々ありますが、我々も時間をかけて投資教育などに力を入れていきたいですね。

団塊の世代に対する取り組みについて

後藤氏:

シニア層に的を絞って、愛称「地球ゴマ」というファンドを提供しています。退職金を長く運用してもらうためのファンドです。このファンドに関連して「ジャイロ」というセカンドライフをナビゲートする雑誌を年4回、販売会社を通してお客さまにご提供しています。シニアに向けてライフスタイルを提案しており、その中で資産運用も考えてもらいたいというのが我々の気持ちです。

長時間ありがとうございました


インタビュー:2007年10月2日 聞き手:QBR小林新、Fanet MoneyLife大谷篤

掲載日:2007年10月24日


後記

昭和30年から40年代にブームとなったおもちゃ「地球ゴマ」。三菱UFJ投信は、このおもちゃの名を愛称にしたファンドに力を入れている。ファンドのターゲットは、おもちゃと同時代を生きた団塊世代だ。昭和34年、東京オリンピックの開催が決まった年を舞台とした映画「ALWAYS 続・三丁目の夕日」が11月3日公開されるが、本編前のスクリーンで「地球ゴマ」を宣伝するという。映画のノスタルジーに感動する観客に、キャンペーンの効果はいかに?
プロフィール
後藤 俊夫(ごとう・としお)氏
出身地:東京都

経歴

1952年 東京都に生まれる
1975年 一橋大学経済学部卒
三菱信託銀行入社
1989年 同社年金運用部主任ファンドマネージャー
1995年 同社投資企画部調査第1課長
2002年 同社執行役員個人業務推進部長
2003年 同社執行役員受託財産企画部長
2004年 同社常務取締役
2004年4月 三菱東京フィナンシャル・グループ常務執行役員受託財産連結事業本部長を兼務
2005年 三菱UFJ信託銀行常務取締役受託財産部門長、
三菱UFJフィナンシャル・グループ常務執行役員受託財産連結事業本部長(07年6月まで兼務)
2006年 三菱UFJ信託銀行専務取締役受託財産部門長
2007年 三菱UFJ投信取締役社長に就任

   
    

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