株式・投資信託・ETF・退職・年金 投資に役立つ「ケイゾンマネー」

国際投信投資顧問株式会社 吉峯 寛 社長 「グロソブ戦略を語る」 - トップインタビュー(第15回) - 投資信託

 

投資信託 [ トップインタビュー ]

【第15回】

国際投信投資顧問株式会社 吉峯寛 社長

「グロソブ戦略を語る」

グロソブは、貯蓄から投資へ向かう"水瓶"、ポスト・グロソブ戦略は社内の2チームで始動開始

わが国最大規模の投資信託、「グローバル・ソブリン・オープン」(毎月決算型)が昨年12月で10年を迎えた。そこで、当ファンドを運用する国際投信投資顧問の吉峯 寛 取締役社長に登場を願った。社長就任3ヶ月だが、前職である銀行、証券時代は金融商品開発というプロダクトサイドにいた同社長。グロソブの今と次の10年に向けての戦略を語ってもらった。

早速ですが社長就任で販社を精力的に回られていますが、、、

吉峯氏:

国際投信投資顧問吉峯寛社長a

特に、わが国の運用業界の場合、販社との関係が大切です。プロダクトサイドに長くいた経験から、エンド・ユーザーの声を聞くことの重要性を実感しています。そこで現在までに70社強をまわりましたが、商品に対するニーズに加え各社の販売態勢のフェーズが違うことが、よく分かりました。

具体的には

吉峯氏:

わが社は「グロソブ」を軸に販社さんとの関係を捉えています。商品サイクルで考えると揺籃期、成長期、成熟期等と続きます。「グロソブ」とのお付き合いでどうかというと様々です。設定10周年を経てまだ沢山の販社との取引関係が拡大成長していますが、先行販社の中には、成長期から成熟期に入って来つつあるところもいくつかあります。

なるほど、、、

吉峯氏:

国際投信投資顧問吉峯寛社長b

一方で、郵貯や信金は、まだ揺籃期。メガバンクの預金自体もまだまだ奥が深く、成長期と考えることができます。お客さまである販売会社のフェーズに合わせてわれわれも戦略を考えなくてはいけないわけです。幅広い販社とお付き合いがあるので、販売会社を回ると、トップから業界動向に対するお問い合わせも結構多いことも事実です。

販売会社のトップの関心事は

吉峯氏:

金融商品取引法への対応とサブプライム問題から販売環境や相場に対する見通しでしょうか。

そのサブプライム問題ですが、証券化商品にほころびが出たとも言えますが、、、

吉峯氏:

自分はプロダクトサイドに長いこと関わって来ました。そこで思うのですが、制度と運用の話が、ごちゃごちゃに語られがちです。大体において運用面での行き過ぎが主因であっても、制度や商品自体がこてんぱんに叩かれます。バブル崩壊の後、金融も不動産も動かなくなった。そこで登場した不動産の証券化という新たな商品で、金融が動き出し、不動産もやっと動き出しました。証券化商品は、金融と不動産をつなげる機能があったわけです。今回のサブプライム問題はこうした金融商品の使い方、即ち運用面で生じた問題です。残念ながらここでの行き過ぎがあったのは事実です。

金融商品取引法については、、、

吉峯氏:

金商法も意に反して順法闘争のような動きになっており、販売が滞っているわけですが、前向きにとらえたいですね。

もっとポジティブに考えると、、、

吉峯氏:

そうです。事実、この法律が導入されたお陰で初めてお客さまときちんと向き合え、お客さまの資産内容やキャッシュフローがどうなっているか聞くことができるようになった。こんな声も地方銀行の役員さんから聞けるわけです。

なるほど、販売現場のお話は分かりました。自社内はいかがでしょうか?

吉峯氏:

国際投信投資顧問吉峯寛社長c

グロソブは投信業界の「スーパードライ」だと社内ではよく言っています。つまり顧客ニーズを捉えた商品を供給できれば業界地図を大きく書き換えるインパクトを与えることが可能な時代になったと。当社は、新しい投信のビジネスモデルを愚直に実践してきた会社です。そのモデルは一つのファンドを息長く育てることを目指したもので、顧客ニーズに沿った商品開発、リサーチ機能強化による情報提供と営業支援により徹底したアフターケア行うことにより実現すると考えました。

今後の国際投信を考えた戦略はいかがでしょうか

吉峯氏:

グロソブのような巨大ファンドを持っているということは、両刃の刃にもなりかねません。そこで自分が社長に就任したのを機に、社内でチームAとチームBと二つのチームを発足させました。チームAは、徹底的にグロソブを活かす戦略を考えるチームです。つまり販売の裾野を拡大するチャネル戦略を考えます。チームBはポスト・グロソブを考えるチームです。つまり商品の多様化・高度化を考えます。両チームで議論を徹底的にさせながら、次世代の戦略を作って行く途中にいます。

いずれにせよポスト・グロソブ戦略ですね

吉峯氏:

当社は、好むと好まざるに拘わらず、グロソブを軸に考えることになります。しかし、グロソブ1本で行くことでは決してありません。グロソブという太い軸が存在して、これをベースに商品戦略、チャネル戦略を展開していく分かりやすい発展の戦略策定が可能だと考えています。金融機関では、貯蓄から投資への導入商品という意味でグロソブが水瓶の役割を担っています。水瓶に貯まった水はいずれどこかに流れます。その対応ファンドもお客の視点に立って提供したいと思っています。

金融商品取引法やサブプライム問題の影響については

吉峯氏:

先程もいいましたが、ポジティブな面もありますが、ここ1、2年の未曾有の市場好環境で投信市場は、巡航速度以上に拡張し過ぎたところもあるかも知れません。その意味で一度、立ち止まって足許を固めるのも悪くありませんね。どちらの問題も投信の持続的な成長の地固めと捉えたいと思います。

今後の投信マーケットは明るいとお考えですか

吉峯氏:

国際投信投資顧問吉峯寛社長d

そうです。内外の成長率の格差や金利差、世界的な過剰流動性を背景に、恒常的な金融市場の活性化は続くと考えています。それと同時に豊富な個人金融資産は、少子高齢化社会の要請から海外投資へ振り向けられることは必然的な結果です。従って、グローバルな運用商品を提供する投信は順調な拡大を続けることでしょう。現在の個人金融資産に占める投信の割合は約5%ですが、3年から4年の中期スパンで現状の倍(10%)近いレベルまで拡大することは十分あります。目先のサブプライム問題等は、成長のスピードを語る上での問題であり、投信の将来性を否定するものではありません。運用対象がグローバル化している現状を考えると運用商品も先進国主体から発展途上国、特にアジア等に広がって行くのではないでしょうか。販路も銀行、証券にネットが加わるなどで多様化し、確定拠出年金(401K)等から若年層も参入して来るでしょう。運用業界、特に投信は大変面白い業界になると思っています。

そうした中で「団塊の世代」はいかがでしょうか

吉峯氏:

団塊の世代が退職年次に入って来るということは、少子高齢化社会への本格的な突入を意味します。幸いにして、わが国には団塊の世代等が働いて蓄えた1500兆円の個人金融資産があります。これを海外に投資をして得た収益で財を得て豊かな経済を維持することで少子高齢化社会に対応できると考えています。その際、投資信託は大変効率的な海外投資手段となります。この循環がうまく行くことで、個人個人のレベルでもマクロ経済全体でも豊かさを実現できるはずです。個人金融資産の全体の75%以上を50歳以上が保有している現状で、団塊の世代は特に知的水準も高く勉強も熱心であり、ネットもパソコンも使いこなす世代です。この世代に向かって、蓄財だけでなく、多目的な資産活用ニーズに応えることも考える必要があると思います。ファンドでいうと分配金の議論は尽きないと考えますが、投資リターンの回収方法ももっと多様化して良いのではないかと思います。

最後に、個人投資家へ一言

吉峯氏:

個人投資家に私から申し上げたいキーワードは三つです。それは、長期投資、分散投資そして専門家の助けを借りることです。短期で投資効果をあげることは情報量とテクニカル要因に左右され、プロでも難しいものです。長いスパンでの投資は勝率が高い。そして分散です。これは、勝ちを極大化する戦略ではないものの大負けを回避するには極めて有効です。あとは、専門家に委ねることで更にリターンを高めることが期待できます。投信は情報開示も進んでいて、安心がメリットでしょう。個人投資家は、投信を保有することで世の中の情勢を常に見ながら、リスクとリターンを勉強していくことが可能です。まず、自分のお金で投資、資産運用を味わって下さい。私どもは個人の皆様に少しでもお役に立つ投信会社を目指したいと思います。

長時間ありがとうございました


インタビュー:2007年12月 聞き手:QBR小林新

掲載日:2008年1月18日


後記

巨大ファンドを運用する投信会社のトップの悩みは実は大きい。社内に蔓延する達成感をA,Bチームを発足させ徹底的に議論させ、ポストグロソブ戦略を模索させる。一方、約160万人の受益者に商品を提供している事実は重い。銀行、証券で商品開発に長く関わって来た吉峯社長。高齢者を襲うリスクは「インフレリスク」「マーケットリスク」そして「長生きリスク」。今、高齢者が直面する「長生きリスク」を解決する商品の開発を同社に期待したい。
プロフィール
吉峯 寛(よしみね・ひろし)氏
出身地:愛知県

経歴

1951年 愛知県に生まれる
1974年 名古屋大学経済学部卒業
株式会社三菱銀行入行
1998年 株式会社東京三菱銀行 商品開発部長
2002年 同行 執行役員 金融商品開発部長
2002年 三菱証券株式会社 常務執行役員 商品開発本部長
2004年 同社 常務執行役員 フィックストインカム本部長 兼 商品開発本部長
2006年 三菱UFJ証券株式会社 取締役常務執行役員 市場商品本部長
2007年 国際投信投資顧問株式会社 取締役副社長 マーケティング部門担当
2007年 同社 取締役社長 就任

   
    

特集

「証券アナリストの調査手法とこだわり」(全6回)

「証券アナリストの調査手法とこだわり」

証券アナリストの行動パターンをご紹介!個人投資家のリスク回避術を学ぼう。

特集を読む »

おもしろ企業探検隊

おもしろ企業探検隊

平林亮子&内田まさみの「そうだ!社長に会いに行こう」ナブテスコ株式会社

特集を読む »