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大和住銀投信 投資顧問 大村 信明 社長 「日本株は歴史的にみて割安局面に」 - トップインタビュー(第16回) - 投資信託

 

投資信託 [ トップインタビュー ]

【第16回】

大和住銀投信投資顧問 大村信明 社長

「日本株は歴史的にみて割安局面に」

運用資産額が約6兆円の運用会社。ルーツは1963年4月に、大和證券調査部に設置した投資コンサルタント課。この 時以来、証券投資に対する助言を開始し40年を超える運用の歴史を有している。特に、中東政府系資金(オイルダラー) の受託は、1981年1月と草分け。1999年4月に大和投資顧問、住銀投資顧問、エス・ビー・アイ・エム投信の三社 が合併し、公募投信にも注力しだした。日本株が調整局面を迎えている現状について、大和住銀投信投資顧問の大村 信明 代表取締役社長に同社の投資スタイルである「バリュー投資」を中心に伺った。

現状の日本株についてまずお話下さい。

大村氏:

大和住銀

2003年の春頃、日経平均で8000円を下回ったときは、PBR1倍割れの銘柄が6割程度ありましたが、 現在も半数近くの銘柄がPBR1倍割れと、当時に近い水準となりました。その一方で当時と比較して企業のバランスシー トはかなり良くなっており、収益力も格段に高まっています。これらを加味すると歴史的にみて割安局面に入ったという見 方もできるのではないでしょうか。

御社がアドバイスをしている海外の投資家は日本株をどのように考えていますか。

大村氏:

年金やヘッジファンドなど運用資金の性格によって考え方やスタンスが違うように思います。年金は長期的な視 点で割安になったと判断していますが、短期の成果を追求するヘッジファンドなどの投資家は、日本の成長戦略が見えない とか日本株は割安だがいつ上昇に向かうのか分からないなど、捉え方は様々です。

お話のバリュー投資の視点ですが。

大村氏:

長期投資のポイントは銘柄のバリューに投資をすることです。相場の長い歴史の中では多様な商品が生まれ、ま た多様な投資スタイルがもてはやされることもありますが、私ども大和住銀はバリュースタイルの投資を主眼に据えてこれ を確固たるものにしたいという考えです。欧米の大きな運用会社のように、パッシブもアクティブもそしてバリューもグロ ースも取り揃えてやっているところもありますが、そういうスタイルを我々はとりません。ぶれることなくバリュースタイ ルを続けたいと思っています。投信マーケットにおいても、年金をはじめとした機関投資家の資金運用で培った運用力を生 かして行きたいですね。

一般の個人投資家に「バリュー」を伝えるにはどうすれば良いか。

大村氏:

私どもが個人投資家に直接販売をしているわけではありませんので、販社に対してそれを説いていくことになり ます。割安株という言葉では簡単なようで伝わらない。「バリュー」にも、企業利益などの「収益性」に着目する投資尺度 であるフローバリューと、貸借対照表等の財務諸表から「資産価値」に着目する投資尺度であるストックバリューとがあり ますが、どちらかというと我々は、ストックバリューを重視します。投資信託の難しさは、いかに投資家である個人に理解 していただくかということと、その担い手である販売員の方たちにいかに分かりやすくメッセージを伝えるかということで す。株式の配当や長期の事業展開等を考慮したとき、比較的安値で取引されている銘柄があります。買収価値が非常に高い 銘柄などと表現すれば分かりやすいでしょうか。

それでは無配株はバリュー銘柄ではないのでしょうか。

大村氏:

配当は1つの重要なバリュー指標ですが、無配株にも様々なケースがあり、バリュー銘柄となる可能性もありま す。配当以上に企業の成長が期待される場合、会社側は資金の社外流出を避け、再投資を選択しますが、この様な企業は典 型的なグロース銘柄です。他方、一時的に収益が悪化して、無配となった企業の中には、リストラを行い、資産効率を改善 し、市場の評価が大いに変ってくる銘柄もあります。この様な銘柄はバリュー銘柄の範疇に入ってきます。

個人投資家にバリューを説明する場合、高配当利回り銘柄に投資をすると言い切ってしまえば分かりやすいのですが。

大村氏:

そうは言い切れません。我々はいろいろな切り口で企業価値に対して株価が割安なものをバリュー銘柄と考える わけですから。分かりやすい説明は往々にしてミスリードを招くこともあります。やはり時間をかけてじっくり説明してい くことが必要です。これはお客さまに対する説明全般にも言えることだと思います。例えば、保有いただいているファンド が大きく値下がりした際に、なぜ下落しているのかを、投資家が理解できる言葉で、よりわかりやすく、きちんと説明する ことが大切です。

次に販売支援については。

大村氏:

わが社の投資信託の歴史はそんなに古くはありません。投資信託の成長はここ数年です。販売支援の人員を強化 してきています。販社は三井住友銀行や大和証券が中心ですが、昨今では地方銀行などの数も増えてきています。これらへ のフォローアップ研修や相場環境についての質問に答える勉強会が急増しています。

具体的なファンドでは 。

大村氏:

当社で一番残高が大きいグローバル好配当株オープンは21社(07年12月末現在)と採用金融機関が多いで すね。

金融商品取引法が施行されて4ヶ月が経過しました。

大村氏:

従来と比較してお客さまへの説明に時間を要するようになったのは事実でしょう。相場が大きく調整したことも あり、販売の現場では「コンプライアンス不況」と言われていることは事実です。しかし、そんな声が聞こえなくなるため には、個人のお客様に投資というものを理解してもらう啓蒙活動が必要でしょう。相場が大きく調整したこともあり販社の 対応はいろいろです。証券会社は以前から投信を取り扱っていることから、こういう時こそチャンスと考えているところも あります。そして販売の現場からは投資環境に関する質問が多く寄せられています。我々も質問に答えることを最優先にし ています。

販売の現場で投資環境の説明は御社からの情報で対応できますがそれだけでよいのでしょうか 。

大村氏:

お客さまの投資に対する考え方やリスクに対する許容度は様々です。まだまだリスク商品を購入したことのない 人もたくさんいます。我々運用会社は、ただ投資環境に関する情報を発信するのではなく、投資の魅力を個人のお客さまに 伝えていくことも使命の一つであると考えています。

団塊の世代はターゲットになるでしょうか 。

大村氏:

わたしもこの世代です。だから他人事ではないと思っています。団塊の世代にはあと20年以上の人生があるわ けですから、今からでもある程度投資を開始することに意味があります。なにせこの世代は人口が多いので、販売のターゲ ットとしての意味も大きい。この世代の特色は反骨精神があり、実はリスクをとることに意外に抵抗がない世代です。ただ 、投資という方向にあまり視線を向けてこなかっただけではないでしょうか。

投資信託の市場見通しは 。

大村氏:

金商法の施行もあり、金融機関の販売姿勢も当初は慎重になったと思います。そこにサブプライム問題に端を発 した市場の不調が重なりました。しかし金融機関の販売姿勢が基本的に前向きであることに変わりはありません。なぜなら リテール強化が金融機関のテーマだからです。投資信託はその中核を占めているはずです。個人金融資産に占める投資信託 の割合は、現在の5%が5年くらいのスパンですぐ倍になると思います。米国の例をみればおわかりの通り、市場の上昇局 面に401kという仕組みが合致しました。その意味で日本も確定拠出年金がそのスピードを決めるとみています。

最後に個人投資家に一言 。

大村氏:

まず、自分のお金を預貯金とその他に分けること、そして投資は長期で考え、投資対象は分散することです。幸 い、投資信託など小口から資産運用ができる手段も提供されています。まず、自分のお金でリスク資産に投資を少額からで も始めることです。頭で考えて何も行動を起こさないのではなく、小口からでも始めることが大切です。そうすればリスク 資産とはどういうものかを肌で感じることができます。


インタビュー:2008年2月 聞き手:QBR小林新

掲載日:2008年2月22日


大村 信明(おおむら・のぶあき)氏
出身地:東京都

経歴

1948年 東京都に生まれる
1971年 慶應義塾大学商学部卒業
大和証券(株)入社
1993年 アメリカ大和証券(株)社長
1996年 大和証券(株)経理部長兼業務部長
1997年 同社取締役債券部長
1999年 大和SBCM(株)常務取締役インベストメント・バンク業務上席担当兼海外拠点担当
2003年 大和証券SMBC(株)専務取締役海外上席担当他
2006年 大和住銀投信投資顧問(株)代表取締役社長に就任

   
    

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