株式・投資信託・ETF・退職・年金 投資に役立つ「ケイゾンマネー」

ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社 関崎 司 社長 「手触り感のある投資信託を目指せ」 - トップインタビュー(第17回) - 投資信託

 

投資信託 [ トップインタビュー ]

【第17回】

ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社 関崎司 社長

「手触り感のある投資信託を目指せ」

ドイチェ・アセット・マネジメントは着々と変化している。同社の営業・マーケティング担当者は五感を磨き、販売員やお客さまの目の動きを資料に反映することを大切にしている。投信に対する「わくわく感」について、ドイチェ・アセット・マネジメントの関崎 司 代表取締役社長に伺った。

まず御社の特色からお伺いします。

関崎氏:

基本に忠実にビジネスをやっている会社です。基本とは何かというと、分かりやすい、より多くの人に愛される商品を提供することです。そのためには、リスク・リターンをお客様に分かりやすく開示するという透明性のあるものを考えなくてはなりません。運用会社にとって、大切なことはファンドのローンチとその後のケアに神経を使うことです。
  例えば、日本初のマルチ・テーマファンドがあります。2006年12月に設定された『日興・DWS・ニュー・リソース・ファンド 愛称:ライジング・トゥモロー』がそれです。水と農業と代替エネルギーという三つのテーマをファンドのコンセプトにしたものです。当時は今ほど地球温暖化や環境関連に社会的、経済的、政治的なニュースがなかったときでした。しかし、これから先を考えたとき、グローバルなトレンドに基づいたテーマで分かりやすく、面白さを全面に出すことが可能であると判断しました。その後、類似コンセプトのファンドとして公開販売用に2007年8月に設定した『DWS・新資源テクノロジー・ファンド 愛称:グローバル・シフト』につながりました。

納得性は購入時点だけではないと思いますが。

関崎氏:

その通りです。このファンドのコンセプトである三つのテーマを根付かせるために販売員向けと投資家向けにグッズを用意しました。販売員のためには、レストランのワインブックがヒントになったカード式の環境用語解説書『略称:カンポケ』です。受益者向けには販売用資料付き女性向け情報誌(マネッジア)です。第一号が昨年9月に発行され、第二号がこの4月に出ます。販売用資料と情報誌がドッキングしたものでかなりカラフルで女性を意識したものに仕上がっています。

確かに投資信託に対する意識を変えることも必要ですね。

関崎氏:

マーケティングという意味では、消費財は投資信託の2世代先を行っています。つまり投資信託はまだまだです。投資理論も大切ですが、投資信託をお客さまに日々身近に見える、感じさせることが重要です。この意識改革はお客さまだけに留まらないと思います。農業ビジネスをテーマとしたファンドをやっている運用会社として、われわれ社員も山梨のブドウ園を借りて社員一同で農作業を体験する活動をしています。まず、剪定や除草を自分たちでやってみる。投資の世界や運用をもっと泥臭いものであると感じて欲しいからです。その意味で私は投資信託のマーケティングの基本形とは、人間の五感に訴えるものだと思います。目、耳、肌で感じる。この道は遠回りのようで実は一番の近道かも知れません。当社のマーケティングは、言わば『手触り感のある投資信託』ということでしょうか。

ところで、金融情報部を昨年立ち上げましたが。

関崎氏:

運用会社が証券会社のようなことをやるのかと当初言われました。情報会社にいた二人に当社に入ってもらい、金融に関する情報をリアルタイムベースで知りたいという金融機関の販売員の皆さんのニーズに応えたものです。彼らには、金曜日の深夜から月曜日の明け方まで作業をしてもらい、月曜日の朝7時にレポートを届けるようにしています。レポートの内容は、各国市場や為替の一週間の動き、これをグラフ作成し、買い材料や売り材料を整理して記述したものです。対象は先進8カ国に加えてロシアやインドの情報なども盛り込んで作成しています。このほか、今年の2月には販売員向けに経済、金融の基礎用語をもう少し掘り下げたレポートを提供するために人員を確保し情報の提供を開始しました。

販売員へのアフターフォローの目的は。

関崎氏:

私は、今後ますます日本にも一生懸命ファンドを販売する人たちが増えていくと思っています。その方たちに質の高い情報を提供するために他社に先駆けた取り組みを行っているわけです。

ロシアファンドやグローバルシフトで著名人を講師に招聘していますが。

関崎氏:

それは誰が見ても納得する人の話を聞いていただくことだと思います。ロシアファンドでは、ゴルバチョフ元ソ連大統領、グローバル・シフトでは未来学者のA・トフラー博士にお願いしました。最終受益者に保有を根付かせるのは『納得感』だと思います。

証券、銀行の対応の違いはありますか。

関崎氏:

基本は一緒です。最後は受益者であり、日本の投資家です。敢えて違いを挙げると、銀行チャンネルの皆さまには、より分かりやすく、『納得感』のでる資料を紙に落とす。セールストークの言葉が重くなるように、そこの部分を強調しています。メニューもビジュアルを多くすることでしょうか。証券チャンネルの皆さまは、ある程度金融商品に関して時間的に長く接してらっしゃいますので、キーポイントを押さえるようにしています。

団塊の世代への対応について。

関崎氏:

特に団塊の世代だからどうだという差はありません。米国にはアクティブインカムとパッシブインカムという考え方があります。アクティブインカムとは自分の本業からの収入で、そこから月々の家計費を払ったり、貯蓄に回すもので、パッシブインカムとは、アクティブインカムの一部を投資に回して、そこで更に収入を増やしていくものです。この考えはどこの国でも通用するものです。余裕資金を分散投資をしながら自分が納得できる投資信託を買っていくことでパッシブインカムを増やしていくことです。やはり老後の時にこのパッシブインカムが大切なんだということを繰り返し言い続けることでしょう。たとえ現在のような右往左往するマーケットが続いたとしてもこのことを繰り返し言うことが大切です。

金融商品取引法への対応では。

関崎氏:

私どもとしては、BtoBとBtoCのボーダーラインがどんどん無くなってきているという認識です。最終受益者への情報提供を想定して販売員の皆様に情報をきちっと正確に伝えることだと思います。例えば、縦書き目論見書『りそな 東欧フロンティア株式ファンド 愛称:こはく(琥珀)』をりそな銀行さんと共同で業界に先駆けてやったりしながら何が面白く、何が分かりやすいかを真剣に考えています。当然、透明性やリスク・リターンの問題等はやったうえでのことですが。当社は、最終受益者のことを常に考えながらもう一歩前に行こうと考えています。

今後の投信マーケットについて。

関崎氏:

バック・ツー・ザ・ベーシックでしょう。透明性やディスクロージャー性も高いので公募投信の役割はますます大きくなるだろうと考えています。規模としては、家計の流動金銭資産の10%というのはひとつのメルクマール(目安)だと思います。」

個人投資家に一言お願いします

関崎氏:

やはり、分散投資を基本にして『納得』してから投資信託を購入下さいということです。納得とは投資信託の特色を理解することです。冷蔵庫を購入することを考えてみてください。このメーカーは野菜の鮮度にこだわっているとか氷ができるスピードが速いとか違いや特色があります。これを理解した上で購入を決めるわけです。基本的に投資信託も同じです。


インタビュー:2008年3月 聞き手:QBR小林新

掲載日:2008年3月28日


関崎 司(せきざき・つかさ)氏
出身地:東京都

経歴

1963年 東京都に生まれる
1985年 ワシントン大学 財務学部卒業
信越化学工業株式会社入社
1987年 メリルリンチ証券東京支店
1993年 リーマン・ブラザーズ証券東京支店 外国債券営業部長
1997年 ドレスナー・クライオート・ベンソン証券東京支店 外国債券部マネジャー
1999年 フィデリティ投信株式会社 確定拠出年金事業部門 ディレクター
2002年 ドイチェ信託銀行株式会社 マネージング・ディレクター
2003年 同社  代表取締役社長
2005年 ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社 代表取締役社長に就任

   
    

特集

「証券アナリストの調査手法とこだわり」(全6回)

「証券アナリストの調査手法とこだわり」

証券アナリストの行動パターンをご紹介!個人投資家のリスク回避術を学ぼう。

特集を読む »

おもしろ企業探検隊

おもしろ企業探検隊

平林亮子&内田まさみの「そうだ!社長に会いに行こう」ナブテスコ株式会社

特集を読む »