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みずほ投信投資顧問 岩本 健已 常務取締役 「目指すのは投資家、販売員目線の徹底」 - トップインタビュー(第21回) - 投資信託

 

投資信託 [ トップインタビュー ]

【第21回】

みずほ投信投資顧問 岩本健已 常務取締役

目指すのは投資家、販売員目線の徹底

昨年7月に「第一勧業アセットマネジメント(株)」と「富士投信投資顧問(株)」が合併して誕生した「みずほ投信投資顧問(株)」。クライアントサービス部門を担当している岩本常務に1年ぶりに登場願った。この1年間のマーケット環境の激変。こうした中で、販売員は個人投資家にどう向き合うべきかを伺った。

合併してちょうど1年が経過しました。

岩本氏:

そうですね。合併時のテーマは"お客さまに最も近い投信会社を目指す"でした。現状はこの目標を達成する過程にあり、7月にはクライアント・サポート部を新設しました。この部署は部長を含めて15名で構成しており、うち12名が女性です。主に、研修やセミナーを通じて販売会社の現場の皆様に接していくことを目的としており、アドバイザーtoアドバイザーをモットーとしています。販社の営業員の方たちだけでなく、個人投資家の皆さまにもファンドの運用報告をさせて頂いているほか、退職間際の企業の従業員の皆さまに退職後の資産運用について説明会を開催するなど業務は多岐にわたります。今後は陣容の拡大を図りこの部門を強化する考えです。

御社のサポート面での強みは。

岩本氏:

当社はいわゆる銀行系で、販売金融機関、特に銀行の販売員の行動は熟知していると自負しています。各銀行さんによって研修やセミナーのニーズは異なります。運用面や、販売のロールプレイング、モチベーションアップなど様々なニーズに担い手のキャリアを加味しながらメニューを準備しサポートしています。

御社の特色の一つに海外の運用会社との提携がありますが。

岩本氏:

現在10社の海外運用会社と提携しています。特に1929年に設立された独立系運用会社のロード・アベット社からは、運用会社としての経営や営業を学びました。中でも、お客さまの大切なお金を預っているという意識が経営のトップから末端まで全てに共有されていること、そして経営、運用、営業、管理の目線が全て一緒だということには感嘆しました。 6月に米国の運用会社を数社訪問して来ました。その中の一社、ボストンのナティクシス社では、販社のFPに向けてのサポートプログラムを見て来ました。そこで気付いたことは、投資家と販売会社があるからこそ自分達が存在するという意識の持ち方がロード・アベット社と非常に類似していたことです。彼らは常に投資家目線で販売会社が抱える問題への的確なサポート方法を考えています。私は、こうした考え方を当社にも持ち込みたいと考えています。

ところで、現状の投信の販売環境は、昨年とは様変わりになっています。

岩本氏:

確かに、市場環境は昨年秋の金融商品取引法の施行やサブプライム問題で流れが変わって来ています。昨年の夏までは営業員は資格、知識、スキルがあれば販売ができました。しかし、流れが変わってそれだけでは動きが取れなくなってきたということでしょうか。

相場の変調局面で販売員には何が求められるか?

岩本氏:

銀行の販売員はもっともっとお客さまに声を届けるべきです。アフターフォローです。アフターフォローに勝るセールスはないと意識を変えることが必要です。時おり、銀行の販売員はお客さまに損をさせてしまって申し訳ないという気持ちから声掛けができないという話を聞きます。ただ、これでは気にかけているという気持ちは伝わりませんね。銀行の販売員はお客さまから逃げずに現状や事実をしっかり伝える必要があります。これを実行するかしないかで他の販社と差がつくと思います。従って、販売員は自ら日々、株価や為替、金利など世の中をしっかり見ておくべきです。そこを避けると連続的な販売展開ができません。販売員が最も力を入れるべきことは、お客さまに投資信託というリスク商品を保有して頂きながら、「安心」と「満足」を与えることです。投信というものは、売り切りの商品ではありません。信託報酬もアフターサービスのためにあるのではないでしょうか。

事実を伝えること以外は。

岩本氏:

事実を伝えてお客さまの反応をしっかりみることです。営業員は、お客さまの次のチャンスを待っていて、それを察知することです。アフターフォローは後ろ向きではなく、次のセールスの出発点です。そのためには、自ら日々基本データをインプットすることです。新聞やTVなどの情報やその他のメディアの活用が考えられます。われわれはまだ検討段階ですがそれをサポートしたいと考えています。

運用会社からの情報提供はいかがでしょうか。

岩本氏:

マンスリーやウィークリーベースでの運用状況の提供はもちろんのこと、販社さんにはデイリーで基準価額の要因分析したものを提供しています。投資信託という商品をやさしく親切に伝えること、さらにスピーディーな情報開示を心掛けています。例えば、海外運用会社に委託している商品と、自社の運用商品では情報開示が同じインターバルで提供できていないことがあります。この距離感をもっと縮める必要があり、これは今後の改善すべき課題です。また、運用レポートなどの法定以外の情報資料はもっと分かりやすく簡易にすることが可能ではないでしょうか。

証券と銀行で投信販売の方法は違うのでしょうか。

岩本氏:

銀行は投信の販売を開始してからまだ10年と歴史が浅いうえ、銀行のお客さまも初めて投資信託に出会ったという方が多いと思うので、運用会社側としては銀行と共に歩むという意識でいます。一方、証券は長い歴史があり、それぞれ販売スタイルを確立されているのでよりシャープな商品を提供しなくてはいけないのではないでしょうか。ただ、証券も10年前と5年前とでは変化が出ています。つまり預かり資産営業に意識が大きく動いて来ているなと感じます。

投信市場の将来について。

岩本氏:

投資信託が数ある金融商品の中で最も個人投資家に身近な商品であり、透明性が高く安心もできるという商品となるよう、投信業界全体で広める努力が必要です。高齢化という社会構造を背景にまだまだ預貯金偏重ですが、徐々に投信に資金シフトしていくと思います。明確な時期はわかりませんが、将来的に投信の残高は300兆円くらいになってもおかしくありません。団塊の世代も教育啓蒙しだいで有力な投資家になると思います。若い人も、ファンドをもっと身近に感じたいと思っていると聞きます。そのためには手軽で気軽に購入できる環境作りも必要でしょう。いずれにせよ、運用会社がしっかりとした経営哲学を持って、投資信託をもっと身近な商品にするという強い意識が不可欠です。運用だけ磨いてもお客さまや販売会社は満足しないと思います。80年の歴史を有する欧米の運用会社が様々な紆余曲折を経て今も経営を続けていられるのは、根っこのところでお客さまとリレーションシップを築くということを外していないからだと思います。

最後に個人投資家にアドバイスを。

岩本氏:

まず、最初に何のために投信を購入するのかをしっかり決めることです。そして分散です。誰でも言っていることですが長期分散がポイントです。そして投資には我慢が必要です。森林王はすぐに森林が出来ると思っているわけではありません。目の前の木をしっかり育て、必要な時は枝落としもやります。その結果、大きな森林を持つことになっただけです。自分の木を育てようとする意識です。つまり、投資も自分の意志で実行することが重要で、投資家が「ファンドを買わされた」と感じるなら投資する意味はないと思います。


聞き手:QBR 小林新

掲載日:2008年8月11日


岩本 健已(いわもと・たけみ)氏
出身地:埼玉県

経歴

1953年 埼玉県に生まれる
1977 慶應義塾大学商学部卒業
富士銀行入行
1985 富士銀投資顧問株式会社出向
1991年 大東証券株式会社出向。
1994年 富士銀行証券部証券投資室室長
1998年 同行アセットマネジメント部業務開発係次長
2001年 同行アセットマネジメント部投信推進室室長
2002年 みずほ銀行アセットマネジメント部長
2004年 同行コンサルティング業務部審議役
2004年 富士投信投資顧問株式会社常務執行役員業務本部長
2005年 同社常務取締役業務本部長
2007年7月 みずほ投信投資顧問株式会社常務取締役クライアントサービスグループ長、現在に至る


   
    

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